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暖房を入れる前の1か月が一番危ない|北海道の「無暖房期間」に増える住まいのカビ

4 日前
読了時間: 8分

「まだ寒くないから暖房はまだいい」。北海道で9月下旬から10月にかけて、多くのご家庭がそう考えます。ところが、私たちカビバスターズ北海道に「押し入れが急にカビ臭くなった」「窓際の壁紙に黒い点が出た」というご相談が増えるのは、まさにこの暖房を入れる直前の時期です。夏の湿気が抜けきらないまま気温だけが下がり、家の中で最も冷たい面に水分が集まり始めるからです。この記事では、気象庁の平年値をもとに「無暖房期間」に何が起きているのかを整理し、ご自身で確認できるポイントと、専門業者に相談したほうがよい判断基準までをまとめます。

1. 北海道の「無暖房期間」とは何か

ここでいう無暖房期間とは、夏の冷房も使わず、冬の暖房もまだ入れていない期間を指します。札幌でおおよそ9月中旬から10月中旬、内陸部ではもう少し早く始まります。空調が動いていないため室内の空気はほとんど動かず、外気の湿気がそのまま家の中に滞留します。

下のグラフは札幌の月別平年値です。気温は9月の18.6℃から11月の5.2℃まで一気に下がりますが、相対湿度は71%→67%とほとんど下がりません。「涼しくなった=乾いている」ではないことが、数字ではっきり出ています。

気温だけが下がると何が起きるか

空気が含むことのできる水蒸気の量は、気温が下がるほど少なくなります。同じ量の水蒸気を含んだ空気でも、冷やされれば相対湿度は上がり、ある温度を下回ると水滴になります。この温度が露点温度です。北海道の秋は、室内の空気そのものは20℃前後でも、北側の壁・押し入れの奥・玄関土間・窓のサッシといった局所的に冷えた面だけが露点温度を下回ります。カビはその一点から始まります。

2. 無暖房期間に相談が増える5つの場所

場所

冷えやすい理由

最初に出るサイン

押し入れ・クローゼットの奥

外壁に面し、扉で空気が遮断される

衣類・寝具のカビ臭、壁面のうっすらした黒点

北側の居室の壁・天井角

日射がなく壁面温度が上がらない

壁紙の隅の変色、家具裏のシミ

窓のサッシ・下枠

アルミ部分が外気温に近づく

朝の水滴、パッキンの黒い斑点

玄関・シューズクローク

土間コンクリートが冷たいまま

革靴の白カビ、下駄箱内のにおい

床下収納・階段下収納

基礎に近く地中温度の影響を受ける

紙箱のふやけ、収納物のカビ臭

共通しているのは、「扉や家具で仕切られていて、空気が動かない」「外に接していて冷えやすい」という2条件がそろっている点です。逆にいえば、この2条件を崩せば発生リスクは下げられます。

3. 露点温度で「危ない室内条件」を把握する

結露が起きるかどうかは、室温と湿度の組み合わせで機械的に決まります。下表はMagnus式(a=17.62、b=243.12℃)による計算値です。

室温\相対湿度

50%

60%

70%

80%

15℃

4.7℃

7.3℃

9.6℃

11.6℃

18℃

7.4℃

10.1℃

12.4℃

14.5℃

20℃

9.3℃

12.0℃

14.4℃

16.4℃

22℃

11.1℃

13.9℃

16.3℃

18.4℃

表の数値は「この温度まで冷えた面には水滴がつく」という意味です。たとえば室温20℃・湿度70%の部屋では、14.4℃より冷たい面はすべて結露の候補になります。10月の北海道で、外気が5℃前後まで下がる朝、断熱の弱い壁の室内側表面温度が14℃を下回ることは決してめずらしくありません。

ここで見るべきなのは、湿度計の数字そのものではなく、室内の水蒸気量と、冷えた面の表面温度の差です。無暖房期間は、この差が最も開きやすい時期にあたります。

4. 暖房を入れる前にやっておく5つのこと

やること

目安

ねらい

収納の扉を開けて風を通す

晴れた日に2〜3時間

滞留した湿った空気の入れ替え

家具を壁から5cm以上離す

常時

壁面の空気を動かし表面温度を下げない

24時間換気の給気口を清掃

年2回

目詰まりによる換気量低下の解消

収納内の湿度を測る

温湿度計を1台置く

居室との差を数値で把握

暖房初日は各室のドアを開ける

初回だけ

温度ムラを減らし局所結露を避ける

とくに効果を実感しやすいのは「家具を壁から離す」です。壁と家具の間は空気が動かず、壁面温度が周囲より数℃低くなることがあります。数cm動かすだけで空気の通り道ができ、表面温度の落ち込みが小さくなります。

暖房を入れる日にやりがちな失敗

寒くなった日に、使う部屋だけを一気に暖める。これが無暖房期間明けに最も多いパターンです。暖まった部屋の空気は水蒸気を多く含めるようになりますが、その空気がドアの隙間から暖房していない冷たい部屋へ流れ込むと、そこで一気に結露します。「暖房を入れた翌週から寝室の壁がカビた」というご相談の多くは、この温度差が背景にあります。暖房開始から数日は、家全体をゆるやかに暖めることをおすすめします。5. 自力対処の限界を示すサイン

市販のカビ取り剤やアルコールで表面を拭けば、見た目は消えます。ただし次のようなサインが出ている場合、汚染が表面だけで終わっていない可能性があります。

サイン

示唆される状態

拭き取って1か月以内に同じ場所へ再発する

下地・裏面まで菌糸が及んでいる

掃除しても部屋のにおいが取れない

目視できない位置に発生源がある

壁紙が浮く・波打つ・押すと柔らかい

下地ボードが吸湿している

複数の部屋で同時期に発生している

換気・断熱など建物側の要因

木部が黒く、削っても色が抜けない

木材内部まで着色・浸潤している

とくに「同じ場所への再発」は重要な判断材料です。表面のカビだけを除去しても、下地に残った菌糸や、そもそも結露を生む建物側の条件が変わっていなければ、条件がそろい次第また表に出てきます。

6. 相談するかどうかの判断基準

次の3点のいずれかに当てはまるなら、一度専門業者に見てもらう価値があります。

判断軸

相談を検討する目安

範囲

1か所あたり概ね1平方メートルを超える、または3か所以上に分散

再発

同じ場所に2回以上再発している

構造

壁の内部・床下・天井裏など、開けないと見えない場所が疑われる

逆に、範囲が手のひら程度で初発、かつ下地が硬く健全であれば、換気改善と表面処理で様子を見る判断も十分に成り立ちます。私たちは「とりあえず工事」をおすすめしません。まず現地で状況を確認し、ご自身で対処できる範囲かどうかを含めてお伝えします

7. MIST工法®という選択肢

カビバスターズ北海道が採用するMIST工法®は、素材の状態に合わせて専用剤を調整し、強くこすり落とさずにカビを除去することを基本とした工法です。木材や造作材を削らずに処理できるため、年数の経った建具や、削ると強度が落ちる下地にも適用しやすいという特徴があります。除去後は防カビ処理を行い、再発しにくい環境づくりまでを一連で行います。

費用は、面積・素材・下地の状態・作業環境によって変わります。ウェブ上の一律価格では実態に合わないことが多いため、現地確認のうえでお見積りをご提示しています。調査・お見積りのご依頼だけでもお気軽にどうぞ。

8. 賃貸住宅にお住まいの方へ

賃貸物件で無暖房期間にカビが出た場合、「自分の責任にされるのでは」と心配される方が少なくありません。国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用によって生じる損耗と、借主の善管注意義務違反による損耗を区別して考える整理が示されています。結露やカビについても、建物側の性能に起因するものと、換気を著しく怠ったことによるものとを分けて判断するという考え方です。

状況

記録しておきたいこと

発生に気づいた

日付入りの写真、発生位置がわかる引きの写真

管理会社へ連絡

連絡した日時、担当者名、回答内容をメールで残す

換気していた事実

換気扇の稼働状況、窓開けの習慣、温湿度計の記録

建物側の要因が疑われる

同じ建物の他室でも発生していないかの確認

大切なのは、発見した時点で記録を残し、管理会社に共有しておくことです。放置して範囲が広がってから連絡すると、原因の切り分けが難しくなります。オーナー様・管理会社様からのご依頼で調査に入るケースもありますので、入居者様・貸主様どちらからのご相談も承っています。9. よくいただくご質問

Q. 除湿機を回せば無暖房期間の結露は防げますか

室内全体の水蒸気量を下げる効果は期待できます。ただし、押し入れの奥や家具裏など空気が動かない場所には除湿機の効果が届きにくいという限界があります。扉を開ける、家具を離すといった空気の通り道づくりと組み合わせてください。なお気温が低い時期は方式によって除湿能力が落ちるため、機種選定にも注意が必要です。

Q. カビ取り剤を使えば根本的に解決しますか

表面に露出したカビの除去には有効です。一方で、下地の内部に入り込んだ菌糸や、結露を生む建物側の条件までは変えられません。同じ場所に繰り返し出る場合は、除去方法ではなく環境側に原因があると考えたほうが解決に近づきます。

Q. においだけがして、カビは見当たりません

床下、壁の内部、天井裏、家具の裏面など、視界に入らない場所が発生源であることがあります。においの強さが場所によって変わるか、時間帯や天候で変わるかを確認すると、範囲を絞り込みやすくなります。ご自身で判断がつかない場合は、調査のご相談をおすすめします。

10. まとめ

  • 北海道の9〜11月は気温が約24℃下がる一方、相対湿度は71%→67%とほぼ横ばい(気象庁 札幌平年値)。「涼しい=乾いている」ではありません。

  • 結露は「冷えた面の温度が露点温度を下回る」ことで機械的に起きます。室温20℃・湿度70%なら14.4℃以下の面が候補です。

  • 暖房開始直後の急な温度差が、無暖房期間に蓄えた湿気を一気に結露させます。最初の数日は家全体をゆるやかに暖めてください。

  • 同じ場所への再発、取れないにおい、下地の柔らかさは、表面処理では届いていないサインです。

「これは自分でやれる範囲か、頼んだほうがよいのか」——その線引きこそ、いちばん判断が難しいところだと思います。写真を見せていただくだけでも状況の見立てはできます。北海道内であればお気軽にご相談ください。

出典

  • 気象庁「過去の気象データ検索 平年値(1991〜2020年)」札幌

  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」

  • 露点温度はMagnus式(a=17.62、b=243.12℃)による計算値

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