top of page

落下菌検査とは?基準値でわかる空間のカビの状態|北海道の検査方法

10月3日
読了時間: 24分

更新日:1 日前

「カビ取り施工をお願いしたけれど、本当に効果があったのか目に見えて分からない」「見積書には除去・除菌と書いてあったが、施工前と何が変わったのか実感できない」——施工を依頼された住宅所有者様や施設管理者様から、こうしたお声を数多くいただきます。カビ除去工事は、表面の汚れを取り除く作業である以上、仕上がりの見た目だけでは効果を判断しにくいという性質があります。壁や天井がきれいになっていても、空間全体に漂うカビの胞子や細菌の量がどう変化したのかは、目視では確認しようがありません。こうした「施工の効果を数値で確認したい」というご要望にお応えするのが落下菌検査(有料オプション)です。空間中に浮遊している菌を一定時間かけて培地の上に自然に降り積もらせ、培養後のコロニー数から空間全体の清浄度をレベルで判定します。特別な機材を大きく持ち込む必要がなく、比較的手軽に実施できることから、空間全体の状態を把握する調査として広く使われている検査です。本記事では、落下菌検査の仕組みと具体的な方法、判定基準、医療・教育施設で重視される理由、そして北海道ならではの住宅事情との関係まで、カビバスターズ北海道の現場目線で解説します。

この記事の結論 落下菌検査とは何かを解説。オープンプレート法の手順と判定レベルの基準、病院・学校での重要性、北海道の住宅事情との関係、付着菌・浮遊菌検査との違いをまとめました。

第1章|落下菌検査とは?空間に漂うカビ胞子の量をレベル判定する検査

落下菌検査とは、室内の空気中に浮遊しているカビ(真菌)や細菌が、一定時間のうちに自然に落下し、設置した培地の上に付着する量を調べる検査です。代表的な手法は「オープンプレート法」と呼ばれるもので、蓋を開けた状態の寒天培地入りシャーレを室内の決められた高さ(多くの場合、人の呼吸域に近い床上約1メートル前後)に置き、一定時間(30分程度を目安とすることが多い)静置したのち、蓋を閉じて回収し、培養器で培養します。培養後にシャーレの表面に発育したコロニー(菌の集落)の数を数えることで、その空間にどれくらいの菌が漂っていたかを間接的に評価する仕組みです。

この検査が調べているのは「特定の壁や床の汚れ」ではなく、「その部屋の空気全体にどれだけの菌が漂っているか」という空間全体の傾向です。付着菌検査が壁や床などの表面を対象とするのに対し、落下菌検査は空間そのものを対象とする点が大きな違いです。カビ取り施工を行った後、壁の表面はきれいになっていても、施工中に舞い上がった胞子や、換気が不十分なために滞留した胞子が空間に残っていることがあります。落下菌検査は、こうした「目に見えない空間の状態」を数値として示すことができる検査です。

検査結果は、培地1枚あたりに発育したコロニー数をもとに、清浄度を段階的なレベルで判定するのが一般的です。医療施設の衛生管理などで参考にされる考え方では、コロニー数の少なさに応じて清浄度をレベル1(非常に清浄)からレベル4(汚染度が高い)程度の段階に区分し、その空間がどの程度の清浄度にあるかを相対的に把握します。数値そのものだけでなく、部屋ごとや場所ごとのレベルを比べることで、どこを優先して対策すべきかを判断しやすくなります。

落下菌検査のもう一つの特徴は、特別な吸引機材を必要とせず、比較的シンプルな器具で実施できる点です。浮遊菌検査のようにポンプで空気を強制的に吸引する方式に比べると、自然落下を待つ分だけ結果が出るまでの設置時間はかかりますが、複数の部屋で同時に検査を行いやすく、コストを抑えながら空間全体の傾向を把握できるという利点があります。

カビバスターズ北海道の現場では、落下菌検査を「施工前に空間のカビの状態を数値で把握する」という明確な目的のために活用しています(菌検査は施工前に行う有料オプションです)。施工前に同じ条件で各部屋に培地を設置して比較することで、感覚ではなく数値に基づいて「どの部屋の空気環境に問題があるか」をご説明できます。これは、ご依頼主様にご納得いただくためだけでなく、当社としても施工品質を客観的に管理するうえで欠かせない工程になっています。

落下菌検査の基本的な流れを整理すると、次のようになります。

工程

内容

設置

開放した培地を室内の一定の高さに置く

静置

一定時間(目安30分程度)そのまま置いておく

回収

蓋を閉じて培地を回収する

培養・判定

培養器で培養し、コロニー数を数えて清浄度を判定

なお、落下菌検査で分かるのはあくまで「一定時間のうちに落下してきた菌の量」であり、空気中に浮遊している菌のすべてを捉えているわけではありません。軽く小さい胞子は落下に時間がかかり、逆に大きく重い粒子は早く落下するため、静置時間や設置場所によって結果に差が出ることがあります。だからこそ、条件をそろえて複数箇所・複数回にわたって検査することが、正確な傾向をつかむうえで重要になります。

落下菌検査で用いられる培地には、一般細菌用とカビ(真菌)用とで異なる種類が使われることがあります。目的が「カビの胞子量を知りたいのか」「細菌全般の量を知りたいのか」によって、選ぶ培地や培養条件が変わってくるため、検査を依頼する際には、何を調べたいのかをあらかじめ整理しておくと、より的確な検査プランをご提案しやすくなります。カビバスターズ北海道では、ご相談の内容に応じて、真菌用培地を中心とした検査プランをご提案することが多くなっています。次章では、なぜこの検査が施工前の状態把握に適しているのか、その役割について詳しく見ていきます。

第2章|なぜ落下菌検査が必要なのか|空間のカビの状態を「見える化」する役割

カビ除去施工の多くは、見た目の変化が分かりやすい表面の清掃や薬剤処理が中心です。しかし、施主様や施設管理者様が本当に知りたいのは、「表面がきれいになったこと」よりも「その空間で過ごすことが、以前より安全・快適になったかどうか」という点ではないでしょうか。壁や天井の見た目がどれだけ改善しても、空間中に漂う胞子の量が変わっていなければ、施工の本質的な効果があったとは言い切れません。落下菌検査は、この「見た目では分からない部分」を数値で示すための検査です。

多くのお客様が抱える不安として、「施工業者の言葉を信じるしかない」という状況があります。施工完了後に「きれいになりました」と説明されても、それが本当に空間全体の清浄度改善につながっているのかを確認する手段がなければ、納得感を得ることは難しいものです。落下菌検査を施工前に実施し、その結果を報告書として提示することで、感覚的な説明ではなく、客観的な根拠に基づいた説明が可能になります。これは、施主様との信頼関係を築くうえでも重要な役割を果たします。

また、落下菌検査は部屋ごと・季節ごとの状態を比べる目安としても活用できます。施工直後は数値が改善していても、換気や湿度管理が不十分な状態が続けば、時間の経過とともに再びカビが繁殖し、空間中の菌量が増加することがあります。気になる時期に落下菌検査で状態を確認しておくことで、カビが増えやすい場所を早めに把握する手がかりになります。

施設管理の観点では、落下菌検査の結果は「対策が必要かどうか」を判断する材料としても機能します。たとえば、日常的な清掃や換気だけで対応できる状態なのか、それとも本格的な除去工事が必要な状態なのかを、感覚ではなく数値の段階(レベル)に基づいて判断できます。これにより、過剰な対策でコストをかけすぎることも、逆に必要な対策を先送りにしてしまうことも防ぎやすくなります。

落下菌検査が「効果の見える化」に向いている理由をまとめると、次のようになります。

確認したいこと

落下菌検査でできること

施工前の空間の状態

同一条件での基準値の把握

施工直後の効果

部屋ごとのレベル比較

効果の持続性

季節ごとの環境の見直し

対策の要否判断

数値レベルに基づく客観的な判断材料

もうひとつ押さえておきたいのは、落下菌検査の結果は「その日、その時間帯の空間の状態」を反映しているという点です。窓を開けて換気した直後と、締め切った状態が続いた後とでは、同じ部屋でも数値が変わることがあります。そのため、部屋どうしの比較を行う際は、できるだけ同じような条件(換気状況、在室人数、時間帯など)をそろえて検査することが、正確な比較のために重要です。当社では、検査する部屋どうしの条件をできるだけ揃えたうえで検査を実施し、結果の解釈にも条件面の違いを踏まえた説明を添えるようにしています。

さらに、施工前の検査を行うタイミングにも配慮が必要です。カビ取り作業そのものが空間中の胞子を一時的に舞い上げてしまうことがあるため、施工の直前に検査を行うと、通常時よりも高い数値が出てしまう可能性があります。また、清掃や換気の直後は一時的に数値が下がって見えることもあるため、どのタイミングで検査を行うかについても、現場の状況に応じた判断が求められます。当社では、こうした前後関係を踏まえたうえで、検査タイミングをご提案するようにしています。

このように、落下菌検査は「施工したかどうか」ではなく「施工によって空間がどう変わったか」を客観的に示すための検査です。感覚的な安心ではなく、数値に基づいた安心を得られることが、この検査の最大の価値だといえます。次章では、実際の検査がどのような手順で行われ、どのような基準で判定されるのかを詳しく見ていきます。

第3章|落下菌検査の方法|オープンプレート法の手順と判定レベル(1~4)の基準

落下菌検査の代表的な手法であるオープンプレート法は、比較的シンプルな手順で実施できる点が特徴です。まず、検査したい部屋の中で、代表的な位置(部屋の中央付近や、人がよく過ごす場所など)を選び、床上約1メートル前後の高さに、蓋を開けた寒天培地入りシャーレを設置します。このとき、エアコンの風が直接当たる場所や、窓のすぐそばなど、局所的な気流の影響を強く受ける位置は避け、できるだけ室内全体の空気を代表できる位置を選ぶことが重要です。

設置後は、一定時間(目安として30分程度とすることが多い)そのまま静置します。この間、空気中に浮遊していた菌が自然に重力で落下し、培地の表面に付着していきます。静置時間が短すぎると検出される菌量が少なくなり、長すぎると外部からの人の出入りなど別要因の影響を受けやすくなるため、あらかじめ決められた時間で統一して行うことが、結果の比較可能性を保つうえで大切です。

静置が終わったら、シャーレの蓋を閉じて回収し、専用の培養器で一定期間培養します。培養条件(温度・期間)によって発育する菌の種類にも違いが出るため、目的に応じた培養条件が選ばれます。培養後、シャーレの表面に発育したコロニーの数を数え、その数値をもとに空間の清浄度を判定します。

判定にあたっては、コロニー数を段階的な「レベル」に区分する考え方がよく用いられます。医療施設等の衛生管理の分野で参考にされる区分の一例では、コロニー数が非常に少ない状態を「レベル1」、やや増えてきた状態を「レベル2」、注意が必要な状態を「レベル3」、明らかに汚染度が高い状態を「レベル4」とするような、段階的な考え方が採用されることがあります。ただし、具体的な基準値は、施設の種類や参照するガイドラインによって異なるため、一律の数値で単純に判断するのではなく、「その施設・その用途において、この数値がどう位置づけられるか」を踏まえて評価することが実務上のポイントになります。

検査から判定までの流れを整理すると、次のようになります。

工程

内容

ポイント

設置

床上約1m前後に開放した培地を置く

気流の影響が少ない代表的な位置を選ぶ

静置

一定時間(目安30分程度)そのまま置く

条件をそろえて統一時間で実施する

培養

培養器で一定期間培養する

目的に応じた培養条件を選択

判定

コロニー数を数えレベル判定する

施設の用途に応じた基準で評価する

検査の精度を高めるためには、1回の検査で複数箇所・複数枚の培地を設置することも有効です。1枚だけの結果では、たまたまその場所・その瞬間の数値に左右されてしまう可能性がありますが、複数箇所のデータを合わせて見ることで、部屋全体としての傾向をより正確に把握できます。また、部屋どうしの比較を行う場合は、同じ高さ・同じ静置時間で検査することが、意味のある比較のための大前提になります。当社では、検査位置と条件を記録し、報告書に明記するようにしています。

検査当日の状況を記録しておくことも、結果を正しく解釈するうえで欠かせません。検査時の在室人数、窓の開閉状況、空調の稼働状況、直前の清掃の有無といった情報は、コロニー数に影響を与える要因になり得ます。同じ部屋であっても、大勢の人が出入りした直後と、誰もいない状態が続いた後とでは、数値が大きく異なることがあります。こうした周辺情報を記録に残しておくことで、単純な数値の比較だけでなく、「なぜこの数値になったのか」という背景まで含めた説明が可能になります。

このように、オープンプレート法は手順自体はシンプルですが、正確な結果を得るためには、設置位置や条件をそろえるといった実務上の配慮が欠かせません。次章では、この落下菌検査がなぜ医療・学校・保育施設といった現場で特に重視されているのか、衛生管理基準との関係から解説します。

第4章|医療・学校・保育施設で落下菌検査が重視される理由(衛生管理基準との関係)

医療機関、学校、保育施設といった場所では、一般住宅以上に空間の衛生状態が重視されます。これらの施設を利用する方の中には、免疫力が低下している患者様、感染症への抵抗力がまだ十分でない乳幼児や児童など、空気中の菌に対して影響を受けやすい方が多く含まれるためです。こうした背景から、医療関連施設の建築・維持管理に関するガイドラインや、学校の環境衛生管理に関する基準の中では、空気環境の清浄度を確認する手段のひとつとして、落下菌検査のような手法が参考にされることがあります。

病院では特に、手術室や処置室、無菌室といった清浄度が強く求められる区域だけでなく、一般病室や待合室、給食を扱う厨房といった区域についても、定期的な環境モニタリングの一環として落下菌検査が実施されるケースがあります。手術部位感染や院内感染のリスクを低減するためには、空間の清浄度を継続的に把握し、基準から外れる傾向が見られた場合には早期に対策を講じることが重要とされています。

学校や保育施設では、給食室や調理室、プールの更衣室、保健室といった場所が検査対象になりやすい傾向があります。多くの児童・園児が長時間を過ごす環境であることに加え、体調を崩しやすい年齢層が中心であることから、「目に見える汚れがないから大丈夫」という感覚的な判断ではなく、数値に基づいた確認が保護者や職員の安心材料として重要な役割を果たします。特に給食室は食中毒対策の観点からも衛生管理が求められる区域であり、落下菌検査の結果は施設の衛生管理体制を示す資料としても活用されています。

これらの施設で落下菌検査が重視される理由を整理すると、次のようになります。

施設種別

検査が重視される主な理由

病院

免疫力の低い患者への感染リスク低減、院内感染対策

学校

給食室の衛生管理、児童・生徒の健康リスクへの配慮

保育施設

乳幼児の抵抗力の弱さへの配慮、保護者への説明責任

高齢者施設

抵抗力の低下した利用者への配慮、継続的な環境モニタリング

こうした施設では、一度検査を行って終わりにするのではなく、定期的に検査を継続し、季節や設備の変化に応じて数値がどう推移しているかを追跡することが望ましいとされています。特に空調設備の稼働状況や、清掃・消毒の頻度が変わるタイミングでは、数値に変化が現れやすいため、継続的なモニタリングによって早期に異常を察知できる体制を整えておくことが重要です。当社でも、こうした施設からのご依頼では、単発の検査ではなく、定期検査としての実施をご提案することが多くなっています。

また、こうした施設では、検査結果を職員間で共有し、清掃・換気のルールに反映させるまでを一連の流れとして捉えることが重要です。数値が悪化した場合に、どの区域の清掃頻度を見直すか、換気設備の点検を行うかといった対応方針をあらかじめ決めておくことで、検査結果を「見て終わり」にせず、実際の衛生管理の改善につなげることができます。当社でも、検査結果のご報告に加えて、こうした運用面のご相談に対応することがあります。

また、こうした施設からのご相談では、検査結果を保護者や利用者のご家族にどう説明するかという点も重要になります。専門的な数値をそのまま伝えるだけでは、かえって不安を招いてしまうこともあるため、「一般的な傾向と比べてどうか」「今後どのような対策を予定しているか」まで含めて分かりやすくお伝えすることが、施設としての信頼につながります。当社では、施設管理者様がそのまま保護者説明に使えるよう、平易な表現でまとめた報告書のご用意にも対応しています。

一般住宅では、こうした厳密な基準が法的に義務付けられているわけではありませんが、「同じ考え方を家庭でも応用できないか」というご相談をいただくことも増えています。次章では、一般家庭においても落下菌検査がどのように役立つのか、特に北海道の気候特性との関係から解説します。

第5章|一般家庭でも落下菌検査は必要?北海道の気候(長い暖房期間・気密性)との関係

落下菌検査は病院や学校といった施設だけのものと思われがちですが、一般家庭でも活用場面は少なくありません。特に北海道の住宅は、他の地域と比べて特有の気候条件を抱えているため、空間全体の菌の状態を確認する意義が高いといえます。

北海道の住宅は、寒冷な気候に対応するため、高気密・高断熱の構造を採用しているケースが多く見られます。この構造は室内の温度を快適に保つうえで大きなメリットがある一方で、室内の空気が外部と入れ替わりにくく、換気が不十分になると湿気や胞子が室内にとどまりやすいという側面もあります。特に10月から4月頃までの長い暖房シーズンには、窓を開けての自然換気が減り、24時間換気システムに頼る割合が高くなるため、換気設備の性能やフィルターの状態によって、室内の空気環境に差が出やすくなります。

このような環境では、目に見えるカビが発生していなくても、空間中に胞子が滞留しやすい条件が整ってしまっていることがあります。落下菌検査を行うことで、「今、この部屋の空気はどのくらい清浄なのか」を数値で確認でき、換気習慣の見直しや、除湿・空気清浄機の導入といった対策の必要性を客観的に判断する材料になります。特に、暖房シーズンの前など、カビが気になり始める時期に状態を確認しておくと、対策の優先順位を決めやすくなります。

また、小さなお子様やアレルギー体質の方がいるご家庭では、「今の空気環境が適切かどうか」を知りたいというご要望も多くいただきます。この場合、落下菌検査の結果だけで健康上の安全性を断定することはできませんが、「一般的な住宅と比較して、この部屋の清浄度はどのあたりに位置するか」という相対的な目安を得ることで、換気や清掃といった日常的な対策を見直すきっかけとして活用いただけます。

北海道の住宅で落下菌検査が役立つ主な場面を整理すると、次のようになります。

場面

落下菌検査が役立つ理由

暖房シーズン前後の点検

換気量が減る時期の空気環境の変化を把握

施工前の現状把握

除去施工の効果がどれだけ持続しているか確認

換気設備の見直し検討

数値をもとに換気改善の必要性を客観的に判断

アレルギー体質の方がいる家庭

日常対策を見直すきっかけとしての目安の取得

北海道特有の傾向として、暖房を使わない夏場は自然換気の機会が増えるため、他の季節に比べて数値が落ち着いていることが多い一方、暖房シーズンに入ると窓を開ける機会が減り、数値が上昇しやすい傾向があります。このため、「いつ検査を行うか」によって受け止め方が変わる点も、他の地域とは異なる北海道ならではの特徴といえます。継続的に状態を把握したいご家庭では、暖房シーズンの前後で年に1〜2回程度の定点検査を行い、季節による変化を記録しておくという方法も有効です。

新築住宅や高気密・高断熱リフォームを行った直後のご家庭からのご相談も増えています。気密性能が高くなるほど、計画換気の設計や実際の運用が室内の空気環境に与える影響は大きくなります。24時間換気システムのフィルターが目詰まりしていたり、給気口が家具でふさがれていたりすると、設計上は十分な換気量があっても、実際には空気の入れ替わりが不十分になっていることがあります。落下菌検査は、こうした「設計上は問題ないはずなのに、実際はどうなのか」というギャップを確認する手段としても活用いただけます。

このように、落下菌検査は施設だけでなく、北海道の住宅事情に合わせて一般家庭でも活用できる調査です。次章では、この落下菌検査と、よく比較される浮遊菌検査・付着菌検査との違いについて、分かりやすく整理します。

第6章|浮遊菌検査・付着菌検査との違いをわかりやすく整理

カビ・細菌に関する検査には、落下菌検査のほかに「浮遊菌検査」「付着菌検査」と呼ばれる方法もあります。名前が似ているため混同されがちですが、それぞれ調べる対象や得られる情報が異なります。目的に応じて使い分ける、あるいは組み合わせることで、より立体的に室内の状況を把握することができます。

落下菌検査は、これまで解説してきた通り、一定時間のうちに自然に落下した菌の量を調べる検査です。空間全体の傾向を、比較的シンプルな器具で把握できる点が特徴で、部屋ごとの比較や、施設の状態把握に適しています。

浮遊菌検査は、専用のポンプを使って一定量の室内空気を強制的に吸引し、その空気中に浮遊している菌の量をリアルタイムに近い形で測定する検査です。落下菌検査が「時間をかけて自然に落ちてきた量」を見るのに対し、浮遊菌検査は「今、その瞬間の空気中にどれだけ菌が浮遊しているか」を数値化できる点が特徴です。換気設備の状態や室内の空気環境をより精密に把握したい場合など、精度の高い空間評価が必要な場面で選ばれることが多い検査です。

付着菌検査は、これらとは異なり、壁や床、エアコン内部といった「表面」にすでに付着している菌を対象とした検査です。スタンプ培地と呼ばれる器具を対象面に押し当てて採取し、培養・顕微鏡判定によって、どのような種類の菌が、どれくらいの密度で付着しているかを特定します。特定の壁のシミやにおいの発生源など、あらかじめ気になる箇所が分かっている場合に適した検査です。付着菌検査についての詳しい内容は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:付着菌検査とは?なぜ必要か|カビの種類がわかる北海道の検査方法

3つの検査の違いを整理すると、次のようになります。

検査名

調べる対象

わかること

向いている場面

落下菌検査

一定時間で落下した菌

空間全体の菌の降下量の目安

部屋ごとの比較、施設の状態把握

浮遊菌検査

空気中に浮遊する菌

その瞬間の空気中の菌の濃度

換気・空清効果など精密な評価が必要な場合

付着菌検査

表面に付着した菌

特定箇所の菌の種類・密度

気になる箇所がすでにある場合

どの検査から始めるべきか迷われる場合は、まず「何を確認したいか」を基準に考えていただくと分かりやすくなります。「部屋全体の空気環境を大まかに知りたい」という場合は落下菌検査、「換気や空気清浄の効果をより精密に数値で確認したい」場合は浮遊菌検査、「特定の壁や場所のカビの正体を知りたい」場合は付着菌検査、というように使い分けるのが基本的な考え方です。実際の現場では、まず付着菌検査で原因箇所を特定し、空間全体の状況把握として落下菌検査を組み合わせるといった段階的な進め方もご提案しています。

含水率測定との関係についても触れておきます。含水率測定は「水分の状態」を数値化する調査であるのに対し、落下菌・浮遊菌・付着菌検査は「実際に存在する菌」を調べる調査です。両者は調べている対象が異なるため、片方だけでは全体像をつかみきれません。水分の多い場所を特定したうえで、空間全体の状態を落下菌検査で確認するというように、組み合わせて実施することで、原因と現状の両面から状況を把握することができます。含水率測定についての詳しい内容は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:含水率測定とは?なぜ必要か|北海道住宅のカビ調査で最初に行うこと

このように、3つの検査は互いに補い合う関係にあります。当社では現地の状況やご要望に応じて、どの検査を組み合わせるのが適切かをご提案しています。過去に実施した菌検査全般の考え方については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

関連記事:北海道新築引渡し前の菌検査の重要性|見えないカビ・細菌リスクと二次被害を未然に防ぐために

次に、実際に落下菌検査を依頼する前に知っておきたいポイントを、依頼から結果の見方までまとめます。

まとめ|落下菌検査の依頼から結果の見方まで

ここまで、落下菌検査の仕組みと方法、判定レベルの基準、医療・教育施設で重視される理由、そして北海道の住宅事情との関係、浮遊菌検査・付着菌検査との違いについて解説してきました。最後に、実際に検査を依頼される前に知っておいていただきたいポイントを整理します。

まず、検査を受けるタイミングについてです。落下菌検査が最も効果を発揮するのは、部屋ごとの状態を同じ条件で比較する場合です。除去施工を検討している場合は、施工前に検査を行い、空間の状態を数値で記録しておくことで、どの部屋・どの範囲を優先して対策すべきかを判断する材料になります。また、過去にカビが出た場所については、暖房シーズンの前後など、環境が変化しやすいタイミングで結露や湿度を点検しておくと、再発の兆しに早く気づけます。

検査箇所と回数については、部屋の広さや目的に応じて適切な数を検討する必要があります。1部屋につき1箇所だけの検査でも傾向はつかめますが、複数の部屋、あるいは同じ部屋の複数箇所で検査を行うことで、より精度の高い比較が可能になります。特に施設全体の衛生管理を目的とする場合は、代表的な区域を複数選んで定期的に検査することで、施設全体としての傾向を継続的に把握できます。正確な検査箇所数や費用は現場の状況によって異なりますので、まずは無料相談やお見積もりの中で、目的に応じた検査プランをご提案させていただいています。

依頼の流れとしては、まずお電話やお問い合わせフォームから現在のお悩みやご状況をお伺いします。その後、必要に応じて現地調査を行い、含水率測定や付着菌検査などとあわせて、どの箇所に落下菌検査を実施するのが適切かをご提案します。検査自体は現地での設置・回収作業が中心のため比較的短時間で完了し、培養・判定を経て、後日、検査結果と今後の対策方針をまとめた報告書をお渡しします。除去工事が必要と判断された場合は、その内容と、カビが生えにくい環境づくりのご提案もあわせてご説明し、ご納得いただいたうえで施工に進みます。施工後は、換気・湿度管理など、カビが生えにくい環境づくりのポイントもあわせてご案内します。

報告書をお渡しする際には、数値の羅列だけで終わらせず、「この結果から何が読み取れるか」「今後どのように対応していくのが望ましいか」という現場目線での説明を必ず添えるようにしています。検査結果は専門的な内容を含むため、数値だけをお渡ししても、施主様や施設管理者様がその後の判断に活かしにくいことがあります。カビバスターズ北海道では、調査から施工、そしてカビが生えにくい環境づくりのご提案まで一貫して対応しており、「検査だけして終わり」にならないよう、次の一手につながるご提案を心がけています。

結果の見方については、コロニー数の絶対値だけにとらわれず、「施工前と比べてどう変化したか」「同じような施設・住宅の一般的な傾向と比べてどうか」という相対的な視点で捉えることが大切です。

ここで、よくいただくご質問を一つ紹介します。

Q. 落下菌検査を行えば、カビが再発しないと保証されますか?

A. 落下菌検査はあくまで検査時点での空間の清浄度を示すものであり、将来にわたる再発を保証するものではありません。施工直後の数値が良好であっても、その後の換気・湿度管理が不十分であれば、時間の経過とともに再び数値が悪化することがあります。そのため、カビが生えにくい環境を維持するためには、日常的な換気習慣の見直しや湿度管理を続けることが重要です。

落下菌検査は、目に見えない空間の清浄度を明らかにし、感覚ではなく数値に基づいた判断を可能にするための検査です。「今の空気環境が適切か知りたい」「どの部屋に問題があるか知りたい」といったご要望をお持ちでしたら、まずは現在の状況をお聞かせください。カビバスターズ北海道では、MIST工法®による除去施工やカビが生えにくい環境づくりのご提案とあわせて、落下菌検査を含む各種カビ調査をワンストップでご提案しています。北海道全域に対応しておりますので、住宅・店舗・学校・病院・高齢者施設など、建物の種類を問わずお気軽にご相談ください。


あわせて読みたい


カビバスターズ北海道(MPソリューション株式会社)

所在地:〒064-0807 北海道札幌市中央区南7条西1丁目6-2

受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝休み)

対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。

料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。

コメント


bottom of page
電話090-8957-8975 LINE相談写真1枚でOK メール24時間受付