引渡し後のカビ相談の対応フロー|札幌のハウスメーカー・工務店のアフター実務
更新日:28false00 GMT+0000 (Coordinated Universal Time)
新築住宅を引き渡したあと、最初の冬を迎えた施主から「窓の下の壁紙に黒い点が出てきた」「クローゼットの中がカビ臭い」といった連絡が入ることがあります。札幌をはじめ北海道で家づくりを手がけるハウスメーカーや工務店にとって、引渡し後のカビ相談は、アフターサービスの中でも対応に悩みやすいテーマのひとつです。
カビの原因は、施工に関わるものだけでなく、建物が乾ききっていない時期の暮らし方や、換気設備の使い方などさまざまです。原因がはっきりしないまま「住まい方の問題です」と伝えてしまうと、施主の不信感を招きます。逆に、原因を確かめずに内装の貼り替えだけで済ませると、翌年の冬に同じ相談が繰り返されることにもなりかねません。
この記事では、ハウスメーカー・工務店のアフターサービス担当者向けに、引渡し後のカビ相談を受けてから、原因の切り分け、施主への説明、是正と再発防止までの対応フローを整理します。保証や契約上の責任に関わる判断は、契約内容を確認のうえ、必要に応じて弁護士などの専門家にご相談ください。
この記事の結論 引渡し後のカビ相談は、札幌では特に最初の冬に出やすく、アフターサービスの対応次第で施主の満足度が大きく変わります。受付で必要な情報をそろえ、水が関わる症状を最優先に対応し、現地調査で原因を切り分けることが対応フローの基本です。
引渡し後のカビ相談は、なぜ最初の冬に多いのか
新築住宅では、コンクリートの基礎や木材、内装の下地などに、施工時の水分がある程度残っています。入居後、暖房で室温が上がると、これらの水分が少しずつ室内へ放出されます。そこへ、家族の生活による水蒸気、室内干しや加湿器の水分が加わり、窓や外壁側の冷たい面で結露が起きやすくなります。
札幌の冬は外気温が氷点下になる日が多く、断熱性能の高い住宅でも、サッシの枠や部屋の隅など温度が下がりやすい部分があります。また、新しい住まいでは施主が換気設備の使い方に慣れておらず、寒さを理由に給気口を閉じたり、24時間換気を止めたりしてしまうこともあります。こうした条件が重なる最初の冬は、カビの相談が出やすい時期といえます。
相談への対応は、次の三つの段階で考えると整理しやすくなります。事実を集め、原因を切り分け、説明と是正につなげるという流れです。

住宅相談の統計に見る新築住宅の不具合
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)の「住宅相談統計年報2025」によると、2024年度の新築住宅に関する相談(戸建住宅)で挙げられた不具合事象は、ひび割れ、雨漏り、性能不足が上位を占めています。結露は2.0%と割合としては多くありませんが、雨漏りや漏水など、カビの原因になり得る水に関わる不具合も一定の割合を占めています。

図:新築戸建住宅の相談における主な不具合事象。住まいるダイヤルに寄せられた新築戸建住宅の相談で挙げられた不具合事象の割合です。主な項目を抜粋しています。 出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」表1-6(2024年度、新築相談・戸建住宅、n=5,759、複数カウント)
出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」表1-6(2024年度、新築相談・戸建住宅、n=5,759、複数カウント)
同年報では、戸建住宅の新築相談で不具合が発生した時期を見ると、築後3年未満までで46.5%を占めるとされています。引渡しから数年の間は、施主が不具合に気づき、相談を寄せやすい期間であることがわかります。
出典:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」図1-42
カビそのものは相談統計の分類項目として独立していませんが、現場で「カビが出た」という相談の裏には、雨漏りや漏水、結露、断熱や防湿の不具合など、別の事象が隠れていることがよくあります。カビの相談を受けたら、「カビの除去」だけでなく「水の出どころ」を確かめる視点を持つことが大切です。
受付:最初の連絡で確認すること
施主からの最初の連絡は、電話やメール、アフターサービスの窓口など、さまざまな経路で入ります。どの担当者が受けても同じ情報を聞き取れるよう、受付票の項目を決めておきましょう。
確認項目 | 聞き取りの例 | 判断への使い方 |
場所・範囲 | どの部屋のどこに、どのくらいの大きさか | 局所か、複数箇所か |
気づいた時期 | いつ気づいたか、季節や天候との関係 | 結露性か、雨天時か |
水の有無 | 壁や床、天井が濡れていないか | 雨漏り・漏水の緊急性 |
換気設備の状態 | 24時間換気の運転、給気口の開閉 | 使い方か、設備の不具合か |
暮らし方 | 室内干し、加湿器、暖房の方法 | 室内の水蒸気量の見当 |
写真 | 引き・中距離・近接の写真を依頼 | 現地調査の準備 |
天井から水が垂れる、床が濡れているなど、水が関わる症状がある場合は、カビよりも先に水の原因を止めることが優先です。雨漏りや配管からの漏水が疑われる場合は、速やかに現地を確認しましょう。
受付の際は、施主の話を遮らず、まずは状況を受け止めることが大切です。最初の対応で「それは結露なので仕方がない」と決めつけてしまうと、その後の調査や説明を受け入れてもらいにくくなります。
現地調査:原因を切り分ける
現地調査では、カビの範囲だけでなく、周囲の環境と建物の状態をあわせて確認します。原因をおおまかに分類し、それぞれに対応する主体と対処を整理しておくと、説明がしやすくなります。
原因の分類 | 典型的な症状 | 主な対応 |
雨水の浸入 | 雨天後に天井や窓まわりにしみ、カビ | 浸入経路の調査と防水の是正 |
配管からの漏水 | 水回り周辺の床・壁の継続的な湿り | 配管の点検と修理 |
断熱・防湿の不具合 | 特定の壁や隅だけ毎冬カビ | 壁内の確認、断熱・防湿の是正 |
換気設備の不具合 | 換気量不足で家全体の湿度が高い | 設備の点検・修理・調整 |
初期含水と暮らし方 | 最初の冬に窓まわり中心に結露 | 換気・除湿の説明と経過観察 |
調査では、室内の温湿度、窓や外壁側の壁の表面温度、給気口と換気扇の作動状況、家具の配置などを確認します。見た目だけでは判断しにくい場合は、壁や床の含水率を測定し、周囲の部分と比べて湿っている範囲を把握します。
当社では、ハウスメーカーや工務店からのご依頼で、含水率測定や付着菌検査(有料オプション)、ファイバースコープによる壁内部の観察などを行い、カビの範囲と原因の見当を報告書にまとめています。第三者の立場で測定結果を示すことで、施主への説明の材料としてご活用いただいています。
保証・契約との関係は、一般論を押さえて専門家に確認
新築住宅については、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分について、引渡しから10年間の瑕疵担保責任が定められています。また、住宅瑕疵担保履行法により、新築住宅を供給する事業者には、その責任を果たすための保険加入または保証金の供託が義務づけられています。
雨漏りが原因でカビが発生した場合などは、こうした制度との関係を確認する必要があります。一方、結露や暮らし方が関係するカビの扱いは、請負契約の内容や、各社のアフターサービス基準・保証書の内容によって異なります。
どのケースが保証の対象になるか、費用をどう負担するかは、契約書や保証書の内容、個別の状況によって判断が変わります。ここで紹介したのは一般的な情報ですので、具体的な判断にあたっては、社内の法務担当や弁護士などの専門家、加入している保険法人に確認してください。
請負契約書・保証書・アフターサービス基準の該当条項
雨漏りなど法定の瑕疵担保責任の対象となり得る事象か
保険法人への連絡が必要なケースか
施主とのやり取りの記録が残っているか
施主への説明と、是正・再発防止
調査結果を施主に説明するときは、事実、原因の見立て、対処の方法を分けて伝えます。写真や測定結果を示しながら、「どこに、どの程度のカビがあり、何が原因と考えられるか」「どのように是正し、再発を防ぐか」を具体的に説明しましょう。原因が暮らし方に関係している場合も、責めるような言い方は避け、改善の方法を一緒に考える姿勢が大切です。
建物側に原因がある場合は、原因の是正を先に行い、そのうえでカビの除去と内装の復旧を進めます。原因を残したまま内装だけを貼り替えると、再び同じ場所にカビが出るおそれがあります。
カビの除去では、仕上げ材や下地を必要以上に傷めないことも大切です。当社のMIST工法®では、素材を削ったり強くこすったりせず、素材に合わせて調整した専用剤でカビを分解・除去し、仕上げに除菌を行います。新築間もない住まいで、できるだけ既存の仕上げを活かしたい場合にもご相談ください。
暮らし方に関係する場合は、換気設備の使い方や、冬の湿度管理、室内干しの工夫などを、引渡し時の説明よりも具体的に伝えます。温湿度計の設置をすすめ、一定期間後にもう一度連絡を取って状況を確認すると、施主の安心感につながります。
対応が終わったら、相談内容、原因、是正の内容を社内で共有し、設計や施工の段階にフィードバックしましょう。同じような相談が複数の物件で出ている場合は、仕様や施工方法、引渡し時の説明内容を見直すきっかけになります。
相談内容と調査結果を記録し、社内で共有する
原因の分類ごとに件数や傾向を整理する
設計・施工・引渡し説明の改善点を洗い出す
引渡し時の取扱説明に、冬の換気と湿度管理を盛り込む
最初の冬を迎える前に、施主へ注意喚起の連絡をする
社内ルールとして決めておきたいこと
引渡し後のカビ相談は、担当者の経験や判断によって対応がばらつきやすい分野です。誰が受けても同じ水準で対応できるよう、受付から完了までの目安を社内ルールとして決めておくと、施主への説明にも一貫性が生まれます。
症状の区分 | 初動の目安 | 社内の対応 |
水が垂れる・床や天井が濡れている | 当日〜翌日に現地確認 | 責任者へ即時報告、必要に応じて保険法人へ連絡 |
同じ場所に繰り返しカビが出る | 日程を調整して現地調査 | 施工記録を確認し、原因調査を計画 |
最初の冬の窓まわりの結露・小さなカビ | 写真確認と電話での助言 | 換気・湿度管理の説明と経過確認の予定を登録 |
においのみで目に見えるカビがない | 現地で収納・床下などを確認 | 必要に応じて検査を手配 |
ここで示した目安は一例です。自社の体制や地域、物件の数に合わせて調整してください。大切なのは、目安を決めて施主に伝え、約束した日までに連絡や訪問を行うことです。対応が遅れると、カビの範囲が広がるだけでなく、施主の不安が大きくなり、話し合いが難しくなる場合があります。
また、相談の受付から完了までの記録を、物件ごとに一元管理しておくことも重要です。施工時の写真や図面、使用した材料の情報とあわせて保管しておけば、将来同じ物件で相談があったときにも、経緯をたどって原因を考えやすくなります。担当者が異動しても情報が途切れないよう、個人のメモではなく社内で共有できる仕組みにしておきましょう。
よくある質問
Q. 引渡し後、最初の冬に窓まわりのカビ相談が多いのですが、事前にできることはありますか。
A. 引渡し時に、24時間換気の使い方や給気口を閉じないこと、室内干しや加湿器の使い方、結露の拭き取りなどを具体的に説明しておくことが有効です。暖房を使い始める秋に、注意喚起の連絡を入れるのもよいでしょう。
Q. 施主から、カビで体調を崩したと言われました。
A. 事業者が健康状態を判断することはできません。気になる症状があれば医療機関に相談するよう伝えたうえで、住まいの状態の調査と対応を速やかに進めることを説明しましょう。やり取りの内容は記録に残してください。
Q. 施主が自分で市販のカビ取り剤を使ってしまいました。
A. 使用した製品名と使った場所、時期を聞き取り、記録しておきましょう。製品によっては仕上げ材の変色や劣化につながることもあります。塩素系と酸性の製品を混ぜたり続けて使ったりすると有毒なガスが出るおそれがあるため、今後使う場合は製品表示に従うよう伝え、範囲が広い場合は自己処理を控えてもらうよう案内します。
Q. 原因がどうしても特定できない場合はどうすればよいですか。
A. 一度の調査で原因がわからない場合は、温湿度の記録を一定期間とる、季節や天候を変えて再調査する、含水率測定や壁内部の観察など別の方法を組み合わせるといった方法があります。経過を施主と共有しながら進めることが大切です。
まとめ
引渡し後のカビ相談は、札幌では特に最初の冬に出やすく、アフターサービスの対応次第で施主の満足度が大きく変わります。受付で必要な情報をそろえ、水が関わる症状を最優先に対応し、現地調査で原因を切り分けることが対応フローの基本です。
保証や費用負担は契約内容や個別の状況で判断が分かれるため、一般的な制度を押さえたうえで専門家に確認しましょう。原因を是正してからカビを除去し、暮らし方の助言や社内へのフィードバックまで行うことで、同じ相談の繰り返しを減らすことができます。
原因の特定が難しいケースや、仕上げ材をできるだけ傷めずに除カビしたいケースでは、検査から施工まで対応できる専門業者との連携もご検討ください。
カビのご相談はカビバスターズ北海道へ
カビバスターズ北海道では、含水率測定や付着菌検査・落下菌検査(有料オプション)などの調査から、MIST工法®による除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案まで一貫して対応しています。札幌市内をはじめ北海道全域からのご相談を受け付けています。
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