管理会社向けカビ相談の一次対応手順|札幌の賃貸で入居者から相談を受けたら
更新日:1 日前
札幌の賃貸住宅を管理している管理会社にとって、秋から冬にかけて増えてくるのが入居者からの「カビが出た」「窓の結露がひどい」という相談です。電話口で「換気してください」と伝えるだけで済ませてしまうと、原因が建物側にあった場合に被害が広がったり、入居者の不満が募ったりして、後の対応がかえって難しくなることがあります。
一方で、すべての相談に業者を手配していては、コストも手間もかかります。大切なのは、最初の受付で必要な情報をそろえ、緊急度を見極め、暮らし方で改善できるものと建物側の対応が必要なものを切り分けることです。
この記事では、管理会社の担当者向けに、入居者からカビの相談を受けたときの一次対応の手順を、受付・ヒアリング・判定・現地確認・記録の流れで整理します。費用負担や契約の解釈など法的な判断が必要な場面は、契約内容を確認のうえ、必要に応じて弁護士などの専門家にご相談ください。
この記事の結論 札幌は住宅の約半数が借家という賃貸住宅の多い都市で、冬の結露やカビに関する入居者からの相談は、管理会社にとって避けて通れない業務です。受付で必要な情報をそろえ、水の有無を最優先に緊急度を判定し、暮らし方と建物側の要因を切り分けることが、一次対応の基本になります。
札幌は賃貸住宅が多く、カビ相談も避けて通れない
札幌市は、住宅のおよそ半数が借家という、賃貸住宅の多い都市です。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、札幌市の居住世帯のある住宅のうち、持ち家は49.4%、借家は47.2%で、借家のほとんどを民営借家が占めています。

図:札幌市の住宅の所有関係(2023年)。札幌市では住宅の約半数が借家で、その大半が民営借家です。所有関係不詳を含むため各割合の合計は全体と一致しません。 出典:札幌市まちづくり政策局「令和5年『住宅・土地統計調査』結果の概要」(2024年10月)。原資料は総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
出典:札幌市まちづくり政策局「令和5年『住宅・土地統計調査』結果の概要」(2024年10月)。原資料は総務省「令和5年住宅・土地統計調査」。所有関係不詳を含むため各割合の合計は全体と一致しません
また、同調査では札幌市の住宅のうち共同住宅が64.3%を占めています。アパートやマンションは隣戸や上下階とつながっており、ひとつの住戸の結露や漏水が、隣の住戸や共用部に影響することもあります。管理会社にとって、カビの相談は一件一件の対応だけでなく、建物全体の状態を把握する手がかりにもなります。
出典:札幌市まちづくり政策局「令和5年『住宅・土地統計調査』結果の概要」(2024年10月)
札幌では、暖房を使い始める10〜11月から、結露が最も多くなる1〜2月にかけて相談が増える傾向があります。繁忙期を迎える前に、一次対応の手順を社内でそろえておくことをおすすめします。
一次対応の全体像
カビの相談への一次対応は、次の三つの段階で考えると整理しやすくなります。受付の段階で情報をそろえ、その情報をもとに緊急度と原因の見当をつけ、必要な対応につなげるという流れです。

受付:相談内容を聞き取り、写真を依頼する
判定:緊急度と、暮らし方・建物側のどちらが疑わしいかを見極める
現地確認:必要に応じて担当者または専門業者が確認する
対応:暮らし方の助言、清掃・修繕の手配、オーナーへの報告
記録:相談から対応完了までを時系列で残す
この流れを担当者ごとにばらばらに進めると、同じ物件でも対応に差が出てしまいます。受付票の様式を決め、誰が受けても同じ項目を聞き取れるようにしておくと、判断のばらつきを減らせます。
受付時に聞き取りたいこと
最初の電話やメールで、できるだけ多くの情報を聞き取っておくと、現地に行くべきかどうかの判断がしやすくなります。入居者にとっても、何を伝えればよいかが明確になり、やり取りの回数を減らせます。
聞き取り項目 | 具体的な質問例 | 判断に使うポイント |
場所と範囲 | どの部屋のどこに、どのくらいの大きさか | 局所か広範囲か |
いつから | いつ気づいたか、毎年出るか | 季節性か、急に出たか |
水の有無 | 壁や床が濡れていないか、水が垂れていないか | 漏水の可能性 |
結露の状況 | 窓や壁にどのくらい水滴が付くか | 暮らし方・断熱の問題か |
換気・暖房の使い方 | 給気口は開いているか、換気扇は回しているか | 設備の使い方か故障か |
体調や困りごと | においや生活上の支障があるか | 対応の優先度 |
写真は、部屋全体、場所がわかる中距離、カビの近接の3種類を送ってもらうよう依頼します。可能であれば、温湿度計の数字や、窓の結露の様子も撮影してもらうと、原因を考えるうえで役立ちます。
受付時の言葉づかいにも気を配りましょう。最初から「結露は住み方の問題です」と決めつけると、入居者は責められていると感じ、その後の情報提供に協力してもらいにくくなります。まずは「状況を確認させてください」と受け止め、事実を一緒に整理する姿勢で聞き取ることが、正確な情報を集める近道です。
体調について相談された場合、管理会社が医学的な判断をすることはできません。「気になる症状があれば医療機関に相談してください」と伝えたうえで、住まいの対応を進めることを説明しましょう。
緊急度の判定と、原因の切り分け
聞き取った情報をもとに、まず緊急度を判定します。水が関係している場合は、カビよりも先に水の原因を止めることが優先です。
緊急度 | 主な状況 | 対応の目安 |
高 | 天井や壁から水が垂れる、床が濡れている | 当日〜翌日に現地確認、漏水調査を手配 |
高 | 上下階・隣戸でも同じ症状が出ている | 建物側の要因を疑い、オーナーへ速やかに報告 |
中 | 同じ場所に毎年カビが出る、範囲が広い | 日程を調整して現地確認、専門業者の調査も検討 |
中 | 換気扇・給気口の故障や不具合がある | 設備点検・修理を手配 |
低 | 窓まわりの結露と小さなカビのみ | 暮らし方の助言と経過観察、再相談の目安を伝える |
次に、原因が入居者の暮らし方にあるのか、建物側にあるのかの見当をつけます。窓まわりの結露と小さなカビであれば、換気や加湿器の使い方、室内干しの場所などを見直すことで改善することが多くあります。一方で、同じ場所に繰り返し出る、壁の下地が湿っている、漏水の跡があるといった場合は、断熱の不足や雨水の浸入、配管の漏れなど、建物側の要因も考えられます。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、建物の構造上の問題で発生する結露は貸主側の負担とされることが多い一方、借主が結露を放置して拡大させたカビやシミは借主の負担になり得るという考え方が示されています。また、民法では、借主は修繕が必要な状態に気づいたときに遅滞なく貸主に通知することとされています。入居者から相談があった時点を記録しておくことは、後の判断のためにも重要です。
出典:国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(2011年8月)、民法第615条
入居者への助言と、現地確認のポイント
暮らし方で改善できそうな場合は、具体的な方法を伝えます。「換気してください」だけでは、入居者は何をすればよいかわかりません。次のように、行動に落とし込んで伝えるのがコツです。
24時間換気のスイッチは切らず、給気口は閉じない
窓の結露は朝のうちに拭き取り、サッシの水も除く
室内干しは浴室乾燥や換気扇のある場所で行う
家具は外壁から少し離して置く
湿度計を置き、結露が増えたら加湿器の設定を下げる
助言をした場合は、「2週間ほど様子を見て、改善しなければ再度ご連絡ください」のように、再相談の目安を伝えておきます。入居者が「相談したのに放置された」と感じることを防ぎ、状況が悪化したときにすぐ対応できるようになります。
現地確認では、カビの範囲だけでなく、周囲の状況も確認します。窓や外壁側の壁の状態、給気口と換気扇の作動、室内の温湿度、家具の配置、上階の水回りの位置などをあわせて見ておくと、原因の見当がつけやすくなります。
見た目だけでは判断が難しい場合は、専門業者による調査を検討しましょう。当社では、壁や床の湿り具合を数値で確認する含水率測定や、壁の中を小さな穴から観察するファイバースコープ調査などで原因の見当をつけ、報告書にまとめてお渡ししています。オーナー様への説明資料としてもご活用いただけます。
対応後の記録とオーナーへの報告
カビの相談は、その場で解決したように見えても、翌年の冬に同じ症状が出ることがあります。相談の日時、聞き取った内容、写真、助言や手配した内容、入居者の反応、対応完了日を時系列で記録しておきましょう。物件ごと、住戸ごとに記録を蓄積すると、建物全体の傾向が見えてきます。
記録は担当者の個人メモではなく、社内で共有できる形で残すことが大切です。担当者が異動や退職をしても、過去の相談内容や対応の経緯を引き継げるようにしておけば、同じ住戸で再び相談があったときにも、すぐに状況を把握できます。
オーナーへの報告では、事実と判断を分けて伝えることが大切です。「どこに、どの程度のカビがあり、どのような状況だったか」という事実と、「暮らし方の問題と考えられる」「建物側の調査が必要と考えられる」という判断、そして「提案する対応と概算の費用」を分けて示すと、オーナーも判断しやすくなります。
除カビが必要と判断された場合、当社では、素材を削ったり強くこすったりせず、素材に合わせて調整した専用剤でカビを分解・除去し、仕上げに除菌を行うMIST工法®で対応しています。入居中の住戸でも、作業範囲や日程を入居者と調整しながら進めることができます。
退去時の原状回復や費用負担をめぐって入居者と意見が分かれた場合は、記録をもとに冷静に話し合うことが基本です。判断が難しい場合は、契約内容を確認のうえ、弁護士などの専門家に相談してください。
冬の繁忙期に備えて、社内で準備しておきたいこと
カビや結露の相談は、寒さが厳しくなる時期に集中します。相談が増えてから対応方法を考えるのではなく、暖房シーズンが始まる前に社内の体制を整えておくと、担当者の負担を減らし、入居者への対応の質をそろえることができます。
まず取り組みたいのが、入居者への事前の案内です。入居時の説明や、秋に配布するお知らせで、24時間換気や給気口の使い方、結露の拭き取り、室内干しの注意点などを伝えておくと、暮らし方が原因の相談を減らせる可能性があります。あわせて、「壁や床が濡れている」「水が垂れている」といった場合はすぐに連絡してほしいことも明記しておきましょう。
次に、協力業者の連絡先を整理しておきます。漏水の調査、設備の修理、カビの調査と除去など、状況に応じて依頼先が変わるため、緊急時にすぐ連絡できるよう一覧にしておくと安心です。前年の冬に相談が多かった物件は、秋のうちに換気設備の点検や、共用部の状態確認を行っておくのも有効です。
受付票・ヒアリング項目の様式を統一する
入居者向けの結露・換気の案内文を用意する
漏水・設備・カビの協力業者の連絡先を一覧にする
前年に相談が多かった物件を洗い出して点検する
オーナーへの報告書の書式を決めておく
よくある質問
Q. 入居者から「カビで体調が悪い」と言われました。どう対応すればよいですか。
A. 管理会社が健康状態を判断することはできません。気になる症状があれば医療機関に相談するよう伝えたうえで、住まいの状況を確認し、必要な対応を進めることを説明しましょう。聞き取った内容と伝えた内容は記録に残しておきます。
Q. 暮らし方の問題だと思われる場合でも、現地確認は必要ですか。
A. 写真と聞き取りで明らかに窓まわりの結露と小さなカビにとどまる場合は、助言と経過観察でよいこともあります。ただし、同じ場所に繰り返し出る、範囲が広がっている、においが強いといった場合は、現地確認をおすすめします。
Q. 入居者が自分でカビ取り剤を使ってもよいか聞かれました。
A. 小さな範囲であれば、製品の表示に従って使う方法もあります。ただし、塩素系と酸性の製品を混ぜたり続けて使ったりすると有毒なガスが出るおそれがあること、壁紙や建具を傷める場合があることも伝えましょう。範囲が広い場合や、素材を傷めたくない場合は、自己判断で処理せず管理会社に相談してもらうよう案内します。
Q. 同じ建物で複数の相談が来ています。
A. 複数の住戸で同じような症状がある場合、断熱や換気、雨水の浸入など建物側の要因が関係している可能性があります。相談内容を住戸ごとに整理し、オーナーに報告したうえで、建物全体の調査を検討しましょう。
まとめ
札幌は住宅の約半数が借家という賃貸住宅の多い都市で、冬の結露やカビに関する入居者からの相談は、管理会社にとって避けて通れない業務です。受付で必要な情報をそろえ、水の有無を最優先に緊急度を判定し、暮らし方と建物側の要因を切り分けることが、一次対応の基本になります。
入居者には具体的な行動で助言し、再相談の目安を伝えること。現地確認や専門業者の調査が必要な場合は早めに手配し、相談から完了までを記録してオーナーに報告すること。こうした積み重ねが、入居者の満足度と建物の資産価値を守ることにつながります。
原因の特定が難しいケースや、範囲の広いカビへの対応でお困りの際は、検査から除カビまで対応できる専門業者にご相談ください。
カビのご相談はカビバスターズ北海道へ
カビバスターズ北海道では、含水率測定や付着菌検査・落下菌検査(有料オプション)などの調査から、MIST工法®による除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案まで一貫して対応しています。札幌市内をはじめ北海道全域からのご相談を受け付けています。
まずはご自宅のカビ発生リスクを確認したい方は カビ自己診断・費用概算 をご利用ください。料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。
お電話:090-8957-8975 / お問い合わせフォーム
あわせて読みたい
カビバスターズ北海道(MPソリューション株式会社)
所在地:〒064-0807 北海道札幌市中央区南7条西1丁目6-2
受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝休み)
対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。




コメント