札幌の地下室・半地下・ボイラー室のカビ対策|戸建てとビルの湿気の原因と点検
更新日:1 日前
地下室や半地下の車庫、ビルの地下にあるボイラー室や機械室は、窓が少なく、日が当たらず、地面に囲まれている空間です。季節を問わずひんやりしている一方で、かび臭さがこもったり、壁の下のほうが黒ずんだり、置いていた段ボールや木箱に白いカビが生えたりしやすい場所でもあります。
札幌では、冬の凍結に備えて基礎を深くつくる必要があることから、戸建てでも地下室や半地下のガレージを設けた住宅が見られます。坂の多い地域では、道路側から見ると1階、裏側から見ると地下という半地下の車庫や物置も少なくありません。また、事業用のビルでは、ボイラー室や受水槽室、電気室などの設備スペースを地下に置くことが一般的です。
この記事では、地下空間にカビが生える原因を「どこから水が来ているか」という視点で4つに整理し、札幌の雨と雪解けの季節変化、戸建てとビルそれぞれの点検ポイント、カビを見つけた時の対処方法をまとめます。
この記事の結論 札幌の地下室や半地下、ビルのボイラー室・機械室は、土からの湿気、夏の結露、雨と雪解け水、設備の水という4つの水の出どころが重なりやすい空間です。晩夏の長雨と春の雪解けの時期は、特に外からの水に注意が必要です。
札幌の地下空間の種類と、カビが出やすい場所
ひとくちに地下といっても、用途とつくりによって湿気のたまり方は違います。戸建ての地下室は、趣味の部屋や収納、ワインや保存食の貯蔵庫として使われることが多く、人の出入りが少ない時期に湿気がこもりがちです。半地下の車庫は、冬に雪をまとった車が入るため、床に解けた雪水がたまりやすいという札幌ならではの事情があります。
ビルの地下の機械室やボイラー室は、設備の運転中は暖かく乾いていることが多いものの、休止期間や設備を更新した後、配管の保温材が劣化した場所などで湿気の問題が出ることがあります。地下倉庫や書庫として使われている部屋では、外壁側の壁際や床に直接置いた荷物の裏がカビの出やすい場所です。
空間 | よくある使われ方 | カビが出やすい場所 | 主な水の出どころ |
戸建ての地下室 | 収納・趣味室・貯蔵庫 | 外壁側の壁の下部、床の隅 | 土からの湿気、夏の結露 |
半地下の車庫・物置 | 車・タイヤ・除雪道具 | 床の隅、シャッター周り | 雪解け水、車に付いた雪 |
ビルのボイラー室・機械室 | 熱源・ポンプ・受水槽 | 配管の保温材、天井の隅 | 配管の結露、漏水、排水ピット |
地下倉庫・書庫 | 書類・備品の保管 | 壁際の荷物の裏、棚の下段 | 壁からの湿気、換気不足 |
地下のカビを招く4つの水の出どころ
地下空間のカビ対策では、まず「水がどこから来ているか」を見きわめることが大切です。原因が違えば、効果のある対策もまったく変わるからです。ここでは、地下によく見られる水の出どころを4つに分けて考えます。
一つ目は、土からの湿気です。地面の中の水分は、コンクリートの壁や床をゆっくりと通り抜けて室内側へ移動します。防水や防湿の処理が十分でない、または年月とともに劣化している場合、壁の下部が常にしっとりした状態になり、白い粉(エフロレッセンスと呼ばれる、コンクリート中の成分が表面に出てきたもの)が浮くことがあります。
二つ目は、夏の結露です。地下の壁は地中の温度に近く、真夏でも外気より低い温度に保たれやすいため、窓や扉から入った暖かく湿った外気が触れると、壁や床の表面で結露します。三つ目は雨と雪解け水で、地面にしみ込んだ水が外壁の弱い部分から入り込む場合です。四つ目はボイラー室や機械室に多い、設備の配管の結露や小さな漏れ、排水ピットからの湿気です。

実際の現場では、これらの原因が一つだけということは少なく、たとえば「土からの湿気で壁がもともと湿っているところに、夏の結露が加わる」といった形で重なっています。壁のどの高さが湿っているか、季節によって症状が変わるかを観察すると、原因の見当がつけやすくなります。
札幌の雨と雪解けが地下に与える影響
気象庁の札幌の平年値を見ると、降水量が多いのは8月から9月で、9月は平年で140mmを超えます。また、11月から2月にかけても毎月100mm前後の降水がありますが、その多くは雪として地面に積もり、3月から4月にかけて一気に解けていきます。地下の外壁にとっては、晩夏の長雨と春の雪解けの時期が、外から水の影響を受けやすい季節といえます。

図:札幌の月別降水量(平年値)。8〜9月は雨が多く、11〜2月の降水は主に雪として積もります。積もった雪は3〜4月に解けて地面にしみ込むため、地下の外壁は春と晩夏に水の影響を受けやすくなります。 出典:気象庁「過去の気象データ」札幌 平年値(1991〜2020年)
地下室のある住宅やビルでは、外壁のまわりにドライエリア(からぼり)と呼ばれる掘り下げた空間を設け、採光や換気を確保していることがあります。ドライエリアの底には雨水を排水する設備が必要ですが、落ち葉や土砂で排水口が詰まったり、雪が解けて一度に大量の水が流れ込んだりすると、水がたまって壁や窓まわりから浸入することがあります。
建築基準法では、住宅の居室などを地階に設ける場合、からぼりなどの開口部、換気設備、湿度を調節する設備のいずれかを設けることや、外壁などに防水の措置をとることが定められています。からぼりの寸法や雨水の排水設備についても告示で基準が示されており、地下空間では、法令上も湿気と水への備えが重視されていることがわかります。
出典:気象庁「過去の気象データ」札幌 平年値(1991〜2020年)/建築基準法 第29条・同施行令 第22条の2/平成12年建設省告示第1430号
季節ごとに変わる地下のリスク
地下空間の湿気は季節によって表情を変えます。夏は外気の湿気が多く、地下の冷たい壁や床で結露が起きやすい時期です。気象庁の平年の蒸気圧から計算すると、札幌の8月の外気の露点は約17.7℃で、これより冷たい壁に外気が触れると結露が始まります。夏に換気のつもりで地下の窓や扉を開け放すと、かえって湿気を招いてしまうことがある点に注意が必要です。
冬は外気が乾いているため、地下の湿度は下がりやすい時期です。ただし、半地下の車庫では車に付いた雪が解けて床がぬれ続けたり、暖房の効いた部屋から湿った空気が地下へ流れて冷たい外壁側で結露したりすることがあります。春は雪解け水の浸入、秋は夏の湿気の残りと長雨に注意します。
季節 | 地下で起きやすいこと | 点検・対策のポイント |
春(3〜5月) | 雪解け水の浸入、ドライエリアの滞水 | 排水口の清掃、壁の下部のぬれ確認 |
夏(6〜8月) | 冷たい壁・床での結露 | 窓の開けっぱなしを避け、除湿機を運転 |
秋(9〜11月) | 長雨による浸入、夏の湿気の残り | カビの発生状況を確認、荷物の配置見直し |
冬(12〜2月) | 車の雪解け水、外壁側の結露 | 車庫の床の水切り、室内からの湿気の流入確認 |
出典:気象庁「過去の気象データ」札幌 平年値(1991〜2020年)。露点は蒸気圧の平年値から計算した値(Magnus式による近似)
ビルのボイラー室・機械室で見るべきポイント
ビルの地下の設備室は、運転中の機器の熱で暖かいことが多く、一見すると湿気とは無縁に見えます。しかし、冷水や給水の配管は表面が冷たく、保温材の継ぎ目が切れていると、その部分で結露が起きます。保温材の中に水がたまり、外からは見えないまま内部でカビが広がっていることもあります。
排水ピットや釜場(排水を一時的にためてポンプでくみ上げる場所)のまわりは、常に水面があるため湿度が高くなりやすい場所です。点検口のふたのすき間から湿った空気が上がり、天井や壁の隅にカビが出ることがあります。受水槽室では、夏場に水槽の表面で結露が起きることもあります。
また、暖房シーズンが終わってボイラーを止める春から秋にかけては、設備室の温度が下がり、湿度が上がります。この休止期間に、壁や天井のカビが一気に目立つようになることがあります。設備の定期点検にあわせて、湿気とカビの確認も点検項目に加えておくと、早期発見につながります。
管理を担当する方は、カビを見つけた場所・日付・周辺の設備の状況を写真付きで記録しておくと、原因の特定や業者への説明がしやすくなります。同じ場所に繰り返しカビが出る場合は、その直上や隣接する部屋の水まわり、外壁の防水の状態も含めて確認範囲を広げることが大切です。テナントや入居者から「地下のにおいが上がってくる」という声があった場合も、設備室の状況を点検するきっかけになります。
冷水・給水配管の保温材に、ぬれ・しみ・はがれがないか
排水ピットや釜場のふたの周囲、天井の隅に黒ずみがないか
設備を止めている期間の室内の湿度(温湿度計の記録)
換気ファンが止まっていないか、給気口がふさがれていないか
床に直接置かれた予備品や段ボールの裏にカビがないか
戸建ての地下室・半地下でできるセルフチェックと予防
戸建ての地下室や半地下の車庫では、まず温湿度計を置いて、季節ごとの湿度の変化を記録することから始めましょう。湿度が高い状態が長く続く時期がわかれば、除湿機をいつ運転すればよいかの判断がしやすくなります。除湿機を使う場合は、タンクの水がすぐにいっぱいになるか、排水ホースで連続排水できる場所かも確認しておきます。
収納として使っている場合は、荷物を壁から10cmほど離し、床に直接置かずに棚やすのこの上にのせると、裏側に空気が通りやすくなります。段ボールは湿気を吸いやすく、カビが生えやすい素材のため、長期保管にはふた付きのプラスチックケースを使うと安心です。
壁の下から30cmほどの高さを中心に、しみ・白い粉・黒い斑点がないかを見る
床の隅や排水口のまわりに水たまりや水の跡がないかを確認する
荷物や家具を動かし、壁側の面にカビや湿りがないかを確かめる
においが強い場所がないか、扉を開けた直後に確認する
ドライエリアや半地下の出入口前の排水口に、落ち葉や土がたまっていないかを見る
半地下の車庫では、冬に車から落ちた雪や氷が解けて床にたまるため、こまめに水を切って床を乾かすことが大切です。タイヤや除雪道具、ゴムマットなどをしまう場合は、ぬれたまま積み重ねず、乾かしてから収納するようにしましょう。
地下室を居室として使っている場合は、エアコンの除湿運転や除湿機を上手に組み合わせ、湿度の高い時期でも室内の空気を動かすことを意識しましょう。家具は外壁側を避けて内壁側に置き、ベッドや本棚などの大きな家具を外壁にぴったりつけないようにすると、壁際の結露とカビを減らすことにつながります。
カビを見つけたときの対処と専門調査
地下空間は空気がこもりやすく、薬剤を使うとにおいやミストが残りやすい場所です。市販のカビ取り剤を使う場合は、製品の表示に従い、換気と手袋・マスクなどの保護具を確保してください。塩素系の製品と酸性の製品を混ぜたり、同じ場所で続けて使ったりすると有毒なガスが発生するおそれがあるため、特に換気の悪い地下では注意が必要です。
壁の広い範囲にカビが出ている、においが上の階まで届く、コンクリートの壁から水がしみ出している、といった場合は、専門の調査をおすすめします。当社では、壁や床の含水率を測定して湿りの範囲を確認し、浮遊菌検査や付着菌検査(有料オプション)で空気中や表面のカビの状況を把握したうえで、対処方法をご提案しています。
カビバスターズのMIST工法®は、素材を削ったり強くこすったりせず、素材に合わせて調整した専用剤でカビを分解・除去し、仕上げに除菌を行う方法です。コンクリートや木材、仕上げ材など素材の違いに合わせて対応できます。ただし、地下のカビは水の出どころを止めなければ再発しやすいため、防水の補修や排水の改善、除湿・換気計画とあわせて検討することが大切です。
よくある質問
Q. 地下室は窓を開けて換気したほうがいいですか?
A. 夏の暖かく湿った外気を入れると、冷たい壁で結露することがあります。夏は窓を閉めて除湿機を使い、外気が乾いている時期に換気するなど、季節で使い分けるのがおすすめです。
Q. コンクリートの壁に白い粉が出ています。カビでしょうか?
A. コンクリート中の成分が水とともに表面に出てきたエフロレッセンスのことが多く、カビとは別のものです。ただし、壁の中を水が移動しているサインでもあるため、周囲のカビや湿りもあわせて確認してください。
Q. ボイラー室のカビは誰に相談すればいいですか?
A. 配管の結露や漏水が原因の場合は設備業者による修理が必要です。カビの範囲や空気の状態の確認、除去については、カビの専門業者にご相談ください。建物の管理会社を通じて両者に連携してもらうとスムーズです。
まとめ
札幌の地下室や半地下、ビルのボイラー室・機械室は、土からの湿気、夏の結露、雨と雪解け水、設備の水という4つの水の出どころが重なりやすい空間です。晩夏の長雨と春の雪解けの時期は、特に外からの水に注意が必要です。
温湿度計での記録、荷物の置き方の工夫、排水口の清掃といった日常の管理に加えて、季節ごとの点検でカビや湿りを早めに見つけることが大切です。原因がわからない場合や範囲が広い場合は、測定と検査で水の出どころを確かめてから、除去と再発防止の対策を組み立てましょう。
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