中古住宅とカビ|引渡し後トラブルを防ぐ北海道の視点
更新日:18 時間前

「中古住宅を売却したあと、買主から『床下にカビがある、知っていたのではないか』と連絡が来た」「購入した中古住宅の押入れを開けたら壁一面にカビが生えていた」——不動産の仲介や売買の現場では、こうしたご相談が増えています。北海道は空き家率が15.6%と高く、中古住宅の流通そのものも多い地域です。引渡しが終わったあとにカビをめぐるやり取りが発生すると、売主・買主・仲介業者のいずれにとっても負担の大きいトラブルになりがちです。この記事では、法人の不動産仲介・売買業者の方、そして中古住宅の売主・買主の方に向けて、カビが見つかったときにどう考え、どう動けばよいかの基本的な視点を整理します。
この記事の結論 中古住宅の売買におけるカビの問題は、引渡し後に「言った・言わない」の話になりやすい領域です。一般的には、民法の契約不適合責任の考え方や、宅建業法上の重要事項説明・告知義務の考え方が関わってきますが、実際の判断は契約内容や個別の事情によって変わるため、弁護士・宅地建物取引士等の専門家にご確認いただくことが大切です。最後に要点を振り返ります。
この記事の要点
引渡し後にカビが見つかった場合、民法の契約不適合責任の考え方に基づき、追完請求・代金減額請求・損害賠償・解除などが問題になり得ます(一般的な整理であり、個別事情によります)。
宅地建物取引業法上、重要な事項について故意に告げない・事実と異なることを告げる行為は禁止されており、「知っている不具合は伝える」ことが最も現実的な防衛策です。
内覧・査定の段階で床下・押入れ奥・窓まわり・においなどを確認しておくことで、引渡し後のトラブルを未然に減らせる可能性があります。
なぜ引渡し後の「カビがあった」がトラブルになるのか
中古住宅の売買では、建物の状態をすべて把握したうえで契約に至ることは容易ではありません。売主自身が気づいていない不具合もあれば、内覧の際には見えない場所に発生しているカビもあります。ここで問題になりやすいのが、民法が定める契約不適合責任という考え方です。
契約不適合責任の一般的な考え方
民法第562条から第564条では、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき、買主は売主に対して、目的物の修補などの追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、そして契約の解除を求めることができるとされています。中古住宅の床下や壁内に契約時点で想定されていなかったカビが広範囲に発生していた場合、これが「契約の内容に適合しない」と評価される可能性があるという整理です。ただし、これは一般的な法律の枠組みであり、実際にどう判断されるかは契約書の特約(現況有姿での引渡しである旨の記載など)や個別の事情によって大きく異なります。具体的な判断については弁護士や宅地建物取引士等の専門家にご確認いただくことをおすすめします。
宅建業法が求める説明義務
宅地建物取引業法第35条では、契約締結前に宅地建物取引士が重要事項について書面を交付して説明することが求められています。また同法第47条第1号では、重要な事項について故意に事実を告げない行為、あるいは不実のことを告げる行為が禁止されています。つまり、売主や仲介業者が「カビがあることを知っていたのに黙っていた」と評価されると、単なる契約不適合の問題を超えて、より重い責任を問われる可能性があるということです。逆に言えば、知っている不具合を隠さず伝え、書面にも残しておくことが、売主・仲介の側にとって最も現実的な防衛策になります。これも一般的な考え方であり、実際の適用は個別の事案によりますので、詳細は専門家にご相談ください。
引渡しまでの管理義務という視点
民法第400条では、特定物の引渡しをすべき場合、その引渡しをするまで善良な管理者の注意をもって目的物を保存しなければならないとされています。これは一般に「善管注意義務」と呼ばれる考え方です。中古住宅の売買では、契約から引渡しまでの間に空室のまま放置され、換気が行われないまま時間が経過することがありますが、この間に湿気がこもり、カビの発生や進行につながる可能性も否定できません。売主側としては、引渡しまでの管理状況についても、可能な範囲で買主に説明できるようにしておくことが望ましいと考えられます。もっとも、この点についても契約内容や状況次第で評価は変わるため、あくまで一般的な視点としてご理解ください。
カビが見つかったタイミングによる整理
カビが発見される段階によって、一般的に想定される扱いや、売主側・買主側それぞれが確認しておきたい事項は変わってきます。以下はあくまで一般的な整理の一例です。
発見のタイミング | 一般的な扱い | 売主側の対応 | 買主側の確認事項 |
内覧時 | 契約前の情報として交渉材料になりやすい | 把握している範囲を隠さず伝える | 発生箇所・範囲・においの有無を確認 |
契約前(重要事項説明まで) | 重要事項説明書への記載対象となり得る | 宅建士と相談し告知内容を整理する | 説明書の記載内容と現地の状況を照合 |
引渡し前 | 引渡し条件の見直しが検討されやすい | 現況渡し・価格反映・処置のいずれかを協議 | 誰の負担でどう対応するか書面で確認 |
引渡し後 | 契約不適合責任が問題になり得る | 契約書の特約・告知内容を確認し専門家に相談 | 契約書・重要事項説明書の記載を確認 |
北海道の気候とカビの発生しやすさ
北海道は積雪・低温の期間が長く、住宅は気密性・断熱性を高める傾向にありますが、その分、室内外の温度差や湿気の逃げ場のなさが結露やカビにつながることがあります。また、降水量そのものも季節によって変動があり、秋口には降水量が増える時期があります。

上のグラフは、気象庁「過去の気象データ 札幌 平年値(1991〜2020年)」による札幌の月別降水量(平年値)を示したものです。中古住宅の内覧や査定を行う時期によって、周辺の降水傾向を把握しておくと、床下や外壁まわりの状態を確認する際の参考になります。
内覧・査定の段階でできる確認
引渡し後のトラブルを完全に防ぐことは難しいものの、内覧や査定の段階で確認できることを丁寧に見ておくことは、売主・買主・仲介のいずれにとっても有効な備えになります。
床下点検口を開け、断熱材や土台にシミ・黒ずみ・カビ臭がないかを確認する
押入れやクローゼットの奥、家具の裏側など、普段人の目が届きにくい場所を確認する
窓まわりのサッシ・パッキン部分に黒い斑点状の汚れがないかを見る
室内に入った瞬間のにおい(カビ臭・湿った土のようなにおい)に注意する
過去のリフォーム歴・水回りのトラブル歴について売主に確認する
空室期間が長い物件では、換気が行われていたかどうかを確認する
これらはあくまで「気づくきっかけ」を増やすための確認であり、内部までは目視で判断できないケースも少なくありません。少しでも気になる兆候があれば、次の段階で専門家や専門業者への相談を検討する材料にしていただければと思います。
自分たちだけでの判断が難しいと感じたら
以下のような状態が見られる場合は、売主・仲介・買主のいずれの立場であっても、社内の判断だけで進めず、外部の専門家や専門業者の確認を挟むことを検討していただきたい場面です。
床下や壁内など、目視できない範囲にカビやシミが広がっている可能性がある
過去に浸水・漏水があったと聞いているが、その後の処置内容が不明である
室内ににおいがあるものの、発生源が特定できない
空き家期間が長く、換気や通気の状況が分からない
買主・売主間でカビの発生時期や原因について認識が食い違っている
このような場合、建物の状況を専門的な立場から確認し、必要であれば処置を行ったうえで取引を進めるという選択肢もあります。現況のまま説明を尽くして引き渡す、引渡し前に処置を行う、価格に反映するなど、複数の選択肢を比較検討できるようにしておくことが、後のトラブルを減らすことにつながると考えられます。
業者に相談するときに確認したいこと
カビの調査や処置を外部に依頼する場合、仲介業者・売主・買主のいずれが依頼するにしても、次の点を確認しておくと安心です。
目視だけでなく、床下や壁内などの確認方法についても説明を受けられるか
調査結果や処置内容を、重要事項説明や契約書に反映できる形の書面で受け取れるか
処置後に再発した場合の考え方について、事前に説明を受けられるか
費用については現地確認のうえで見積りを提示してもらえるか
費用は建物の状況や範囲によって大きく異なるため、具体的な金額は現地確認のうえでの見積りとなるのが一般的です。また、仲介業者としては、調査や処置を依頼するタイミングも重要です。契約前であれば重要事項説明への反映や価格交渉の材料として使いやすく、引渡し直前であれば残された時間の中で現況渡しとするか処置を行うかを判断する材料になります。逆に引渡し後に発覚した場合は、既に成立している契約内容を前提に対応を検討することになるため、選べる選択肢が限られてくることも念頭に置いておく必要があります。
引渡し後にカビを見つけた時の初動
引渡し後にカビを見つけた場合は、まず落ち着いて、次のことを行いましょう。
・カビの場所や広さがわかるよう、日付入りで写真を撮る
・においや濡れ、シミの有無もあわせて記録する
・ご自身で大がかりな掃除や解体をする前に、売主や仲介会社に連絡する
記録を残す前に掃除や工事をしてしまうと、状況を説明しにくくなることがあります。責任の範囲や対応については、契約書の内容を確認し、必要に応じて弁護士などの専門家に相談しましょう。
よくある質問
Q. 引渡し前にカビの調査をしてもらうことはできますか。
A. 売主の了承が得られれば、引渡し前に建物の状態を確認するご相談もお受けしています。日程や範囲は、事前にご相談ください。
Q. 中古住宅を買った後、カビを防ぐために最初にすることは何ですか。
A. 換気設備が正しく動いているか確認し、家具を壁から少し離して配置しましょう。最初の冬は、窓や外壁側の壁、北側の部屋の結露をこまめに確認すると安心です。
まとめ
中古住宅の売買におけるカビの問題は、引渡し後に「言った・言わない」の話になりやすい領域です。一般的には、民法の契約不適合責任の考え方や、宅建業法上の重要事項説明・告知義務の考え方が関わってきますが、実際の判断は契約内容や個別の事情によって変わるため、弁護士・宅地建物取引士等の専門家にご確認いただくことが大切です。最後に要点を振り返ります。
引渡し後のカビは契約不適合責任の考え方に基づき問題になり得るが、判断は個別事情による
知っている不具合を隠さず伝えることが、売主・仲介にとって現実的な防衛策になる
内覧・査定段階での確認と、必要に応じた専門業者への相談が、トラブルを減らす備えになる
北海道のカビのお困りごとは、カビバスターズ北海道へ
カビバスターズ北海道では、MIST工法®によるカビの除去と再発対策のご相談を承っています。カビは「見えている部分」だけを拭き取っても、湿気の供給源が残っていれば同じ場所に戻ってくることが少なくありません。まずは現地で建物の状況と湿気の経路を確認し、必要な処置と再発対策をご提案します。
ご相談・お見積りは無料です。費用は建物の状況や範囲によって変わるため、現地確認のうえでご提示します。「これはカビなのか判断がつかない」「一度自分で掃除したが戻ってきた」という段階でも構いませんので、お気軽にお問い合わせください。
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