カビは寒さで死ぬ?|何度でカビは死ぬのか、札幌の冬の低温・乾燥とカビの本当の関係
更新日:1 日前
「冬は寒いから、カビの心配はいらない」。そう思われている方は少なくありません。ところが、札幌では冬になってから、窓まわりや部屋の角、押入れの中にカビが出てきたというご相談が増えていきます。
カビは寒さや乾燥に出会うと、増えるのをやめて「休む」ことはあっても、それだけでいなくなるわけではありません。そして、暖房で暖められた冬の室内は、カビにとって決して寒い場所ではないのです。
この記事では、カビは何度で死ぬのかという疑問から、低温と乾燥がカビに与える影響、札幌の冬の室内でカビが増える理由、熱や乾燥を使ったカビ対策の注意点までを整理しました。
この記事の結論 カビは寒さや乾燥で増えるのをやめることはあっても、それだけでいなくなるわけではありません。札幌の冬の外は1月の平均気温が-3.2℃と氷点下でも、暖房した室内は20℃前後と、カビが育ちやすい温度のままです。
カビは何度で死ぬのか
カビが死ぬ温度は、カビの種類や、胞子なのか菌糸なのか、どれくらいの時間その温度にさらされるのかによって大きく変わります。「何度になれば必ず死ぬ」という一つの答えはありません。
一般的には、多くのカビは高い温度に弱く、熱湯や蒸気で一定時間加熱すると死滅しやすくなります。一方で、低い温度には強く、冷凍庫の中でも胞子が生き残ることがあります。冷凍した食品を解凍すると、時間がたってからカビが生えてくることがあるのはこのためです。
条件 | カビの状態 | 暮らしの中での例 |
高い温度(熱湯・蒸気) | 種類によるが死滅しやすい | 食器やふきんの煮沸 |
室温(15〜30℃前後) | 多くのカビが育ちやすい | 暖房した冬の室内、夏の室内 |
低い温度(冷蔵庫の中) | 増え方がゆっくりになる | 冷蔵庫の中でもカビが生える |
氷点下(冷凍庫・冬の屋外) | 増えないが、胞子は生き残りやすい | 解凍後にカビが生えることがある |
乾燥 | 増えないが、休んだ状態で残る | 湿気が戻ると再び育つ |
札幌の冬、外は氷点下でも室内は暖かい
気象庁の平年値では、札幌の1月の平均気温は-3.2℃、日最低気温の平均は-6.4℃です。外の空気だけを見れば、カビが増えにくい寒さです。しかし、私たちが暮らす室内は、暖房で20℃前後に保たれています。

図:札幌の月平均気温と日最低気温の平均(平年値)と、暖房した室内の例(20℃)。外が氷点下でも、室内はカビが育ちやすい温度のままです。外と室内の温度差が大きいほど、窓や外壁側の壁が冷え、結露が起こりやすくなります。
出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)
暖房した室内は、カビにとって「暖かく過ごしやすい場所」です。そこに、外の寒さで冷えた窓や壁の結露という水分が加わると、カビが育つ条件がそろいます。冬のカビは、外の寒さではなく、外と室内の温度差から生まれる結露によって増えるのです。
乾燥でもカビは死なずに休む
冬の室内は乾燥しやすいため、カビも乾燥で死ぬのではないかと考えられがちです。たしかに、カビは水分がなければ増えることができません。ただ、乾燥した状態でも、胞子は長い間生き残ることができます。
部屋全体の湿度が低くても、窓の下の木枠やサッシ、外壁側の家具の裏、押入れの奥の壁など、冷えた場所だけが局所的に湿っていることがあります。カビは、その小さな湿った場所で育ちます。
部屋の中央の湿度計が40%でも、窓際や壁際はずっと湿っていることがある
朝の結露が昼に乾いても、毎朝の結露が繰り返されるとカビが育つ
乾燥していた場所でも、雪解けや梅雨の時期に湿気が戻ると再びカビが増える

熱や乾燥を使ったカビ対策の注意点
カビが熱に弱い性質は、ふきんや食器の煮沸など、熱に強い物の手入れに活かせます。ただし、住まいのカビ対策で熱を使う時には注意が必要です。
ドライヤーやヒーターで壁や家具を加熱すると、火災や素材の変形の原因になる
スチームクリーナーは、壁紙や木材、電気製品のまわりでは使えないことがある
熱で表面が乾いても、素材の奥の湿気やカビが残っていれば、また出てくる
乾燥させることは、カビを増やさないための大切な対策です。ただ、乾燥はカビを取り除く方法ではなく、増えるのを止める方法だと考えてください。すでに生えているカビは、取り除いたうえで、乾燥した状態を保つことが基本になります。
冬に行いたいカビ対策
冬のカビ対策の中心は、外と室内の温度差から起こる結露を減らすことです。
温湿度計を置き、室内の湿度を40〜60%程度に保つ
窓の結露は朝のうちに拭き取り、カーテンを窓から少し離す
家具は外壁から離し、空気が通るすき間をつくる
24時間換気を止めず、冬でも短時間の換気を行う
押入れやクローゼットは、ときどき戸を開けて空気を入れ替える
これらは、冬にカビを増やさないための対策であると同時に、春や梅雨の時期にカビが一気に増えるのを防ぐ準備にもなります。
冬でもカビが増えている時は
冬の間に、窓まわりや部屋の角、押入れ、北側の部屋にカビが広がっている場合は、結露が続いている場所があるサインです。春になって気温が上がると、さらに増えることがあります。
当社では、含水率測定で壁や床の水分の状態を調べ、必要に応じて有料オプションの付着菌検査などでカビの種類を確かめ、検査報告書をお出ししています。除去が必要な場合はMIST工法®で対応し、カビが生えにくい環境づくりをご提案しています。菌検査についてはカビ検査のページをご覧ください。
札幌の1年で見る、カビが動きやすい時期と場所
札幌の住まいでは、季節によってカビが出やすい場所が変わります。冬だけ、夏だけと考えるのではなく、1年を通した湿気の動きを知っておくと、点検する場所の見当がつけやすくなります。
春(3〜5月)は雪解けの時期です。建物のまわりに積もっていた雪がとけると、基礎のまわりや床下に水分がたまりやすくなります。床下の換気口が雪でふさがっていた家では、春先に床下や1階の床まわりからカビ臭さを感じることがあります。
夏(7〜9月)は、1年の中でいちばん蒸し暑い時期です。浴室や洗面所、押入れ、クローゼット、エアコンの内部など、湿気がこもりやすい場所でカビが増えやすくなります。窓を開けて過ごす時間が長くても、雨の日が続くと室内の湿度は上がります。
秋(10〜11月)は、朝晩の冷え込みが強くなり、暖房を使い始める時期です。外と室内の温度差が広がり始め、窓ガラスやサッシに結露が出始めます。夏の間にたまった湿気が押入れや家具の裏に残っていると、この時期からカビが目立ってくることがあります。
冬(12〜2月)は、外が氷点下でも室内は暖房で暖かく、窓や外壁に面した壁、北側の部屋、押入れの奥など、冷えやすい場所で結露が起こります。加湿器や部屋干し、調理、入浴で出る水蒸気が加わると、冷えた場所に水分が集まり、カビが育つ条件がそろいます。
冬にやりがちな、かえってカビを増やす対策
「寒いとカビは死ぬ」と考えて行った対策が、かえって結露やカビを増やしてしまうことがあります。次のような対策には注意が必要です。
1つ目は、窓を長時間開けて部屋を冷やすことです。部屋が冷えると壁や家具も冷え、その後に暖房を入れると、冷えた表面で結露が起こりやすくなります。換気は、湿気を外に出すことが目的です。短い時間で空気を入れ替え、部屋を冷やしすぎないようにしましょう。
2つ目は、加湿器で湿度を上げすぎることです。乾燥が気になる冬でも、室内の湿度が高いままだと、窓や北側の壁で結露が続きます。温湿度計を置き、窓に水滴がたまるようなら加湿を控えめにしてください。
3つ目は、暖房する部屋としない部屋の差を大きくしすぎることです。暖かい部屋の湿った空気が、ドアのすき間から寒い部屋や廊下、押入れに流れると、そこで冷やされて結露します。使っていない部屋も、ドアを閉め切ったままにせず、ときどき空気を入れ替えましょう。
4つ目は、給気口や換気扇を止めてしまうことです。冷たい空気が入るのを嫌って給気口を閉じると、室内の湿気が逃げにくくなります。寒さが気になる場合は、給気口のそばに家具を置かない、フィルターを掃除して風の通りを確保するなど、止めずに使う工夫をしてください。
なお、カビを落とすために市販のカビ取り剤を使う時は、換気をしながら製品の表示に従い、塩素系の製品と酸性の製品を混ぜないよう注意してください。
冬のカビ点検は「冷える場所」から
冬にカビを見つけやすいのは、部屋の中でも特に冷えやすい場所です。暖房の効いた部屋の真ん中ではなく、外気に近い場所から順に確認していくと、早い段階で気づくことができます。
まず確認したいのは、窓ガラスの下の方とサッシのレール、窓枠のゴムパッキンです。次に、北側の部屋の壁の角や、天井と壁の境目、家具の裏側を見ます。押入れやクローゼットは、外壁に面した奥の壁と、床に直接置いた収納ケースの下も確認しましょう。
点検は、暖房を入れてから数時間たった夕方から夜、または冷え込みの強い朝が向いています。結露が出ている時間帯に見ることで、どこに水分が集まりやすいのかがわかります。気になる場所は、スマートフォンで写真を残しておくと、変化を比べる時に役立ちます。
よくある質問
Q. 冬に窓を開けて部屋を冷やせば、カビは死にますか。
A. 部屋を冷やしても、カビが死にきることはあまり期待できません。冷えた部屋で暖房を再開すると、かえって結露が増えることもあります。換気は湿気を逃がす目的で行ってください。
Q. 布団やカーペットを冬の外に干すとカビは死にますか。
A. 寒い外気に当てるだけでは、カビが死にきることは期待しにくいです。乾燥させることで増えるのを抑える効果はあるため、天気の良い日に乾かすことは役立ちます。
Q. 冷凍庫に入れた食品はカビが生えませんか。
A. 冷凍庫の中ではカビは増えにくくなりますが、胞子は生き残ることがあります。解凍した食品は早めに食べ、カビが生えた食品は食べずに捨ててください。
Q. 暖房を切って出かけると、カビは増えますか。
A. 出かけている間に室温が下がると、窓や壁が冷え、帰宅して暖房を入れた時に結露が起こりやすくなります。出かける前に短時間の換気をして湿気を逃がし、洗濯物の部屋干しや加湿器のつけっぱなしは避けると、結露を減らすことができます。
Q. 冬にカビが出やすい部屋はどこですか。
A. 北側の部屋、暖房をあまり使わない部屋、外壁に面した押入れやクローゼット、窓の多い部屋で出やすくなります。こうした場所は壁や窓が冷えやすく、ほかの部屋から流れてきた湿気が結露しやすいためです。家具は壁から少し離し、収納は詰め込みすぎないようにしましょう。
まとめ
カビは寒さや乾燥で増えるのをやめることはあっても、それだけでいなくなるわけではありません。札幌の冬の外は1月の平均気温が-3.2℃と氷点下でも、暖房した室内は20℃前後と、カビが育ちやすい温度のままです。
冬のカビは、外と室内の温度差による結露から生まれます。カビを寒さで退治しようとするのではなく、結露を減らし、湿気をためない暮らし方を続けることが、冬のカビ対策の基本です。
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