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札幌の月別カビリスクを気象データで解説|気温・湿度・降水量の平年値でわかる季節の注意点

9月28日
読了時間: 11分

更新日:1 日前

「札幌は本州より涼しくて湿気も少ないから、カビはあまり気にしなくていい」と思われがちです。確かに札幌には本州のような長い梅雨はありません。しかし、実際には夏の終わりから秋にかけて、そして暖房を使う冬の間に、カビのご相談が多く寄せられます。

カビの発生には、温度、湿気、栄養(ほこりや汚れ)の三つがそろうことが関係します。このうち温度と湿気は季節によって大きく変わるため、札幌の気候を月ごとに知っておくと、いつ・どこを点検すればよいかがはっきりします。

この記事では、気象庁が公開している札幌の平年値(1991〜2020年の30年間の平均)を使い、気温・湿度・降水量・水蒸気量を月別に読み解きます。そのうえで、札幌のカビリスクを「夏型」と「冬型」に分けて整理し、月ごとの点検ポイントを紹介します。

この記事の結論 気象庁の平年値で札幌の気候を見ると、カビのリスクには二つの山があることがわかります。7〜9月は外気の湿気が多く、冷えた場所で結露する夏型。12〜3月は暖房した室内の水蒸気が冷たい窓や外壁で結露する冬型です。そして、その間の春と秋は、点検と準備に最適な時期です。

札幌の月別平年値を確認する

まずは基本となる数字を確認しましょう。下の表は、気象庁の札幌の平年値から、平均気温、平均湿度(相対湿度)、降水量、平均蒸気圧を月別にまとめたものです。蒸気圧は空気に含まれる水蒸気の量を表す値で、数字が大きいほど空気中の水分が多いことを意味します。

月

平均気温

平均湿度

降水量

平均蒸気圧

1月

-3.2℃

69%

108.4mm

3.4hPa

2月

-2.7℃

68%

91.9mm

3.5hPa

3月

1.1℃

65%

77.6mm

4.4hPa

4月

7.3℃

61%

54.6mm

6.2hPa

5月

13.0℃

65%

55.5mm

9.6hPa

6月

17.0℃

72%

60.4mm

14.0hPa

月

平均気温

平均湿度

降水量

平均蒸気圧

7月

21.1℃

75%

90.7mm

18.9hPa

8月

22.3℃

75%

126.8mm

20.2hPa

9月

18.6℃

71%

142.2mm

15.3hPa

10月

12.1℃

67%

109.9mm

9.7hPa

11月

5.2℃

67%

113.8mm

6.2hPa

12月

-0.9℃

68%

114.5mm

4.1hPa

出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)

表を見ると、平均湿度は7月と8月が75%で最も高く、4月が61%で最も低くなっています。ただし、冬の1月でも69%と、相対湿度の数字だけを見ると夏とそれほど変わりません。ここに、札幌の湿気を考えるうえでの落とし穴があります。

相対湿度は「その温度で空気が抱えられる上限に対する割合」なので、気温の低い冬は、わずかな水蒸気でも数字が高く出ます。実際の水蒸気の量を表す蒸気圧で比べると、8月の20.2hPaに対して1月は3.4hPaと、6分の1ほどしかありません。冬の外気は、数字の印象よりずっと乾いているのです。

降水量は9月が142.2mmで最も多く、8月の126.8mmがそれに続きます。年間の降水量は1146.1mmで、夏の終わりから秋にかけて雨が多くなるのが札幌の特徴です。11月から12月も110mm台と多めですが、この時期は雨から雪へと変わっていきます。

出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)

露点温度で見ると夏と冬の違いがはっきりする

水蒸気の量をもっと直感的に比べるために、蒸気圧を露点温度に換算してみます。露点温度は、その空気を冷やしたときに結露が始まる温度です。Magnus式で換算すると、札幌の露点温度は8月が約17.7℃、7月が約16.6℃で、1月は約-7.8℃、2月は約-7.5℃になります。

札幌の月別平均気温と露点温度(平年値)

図:札幌の月別平均気温と露点温度(平年値)。露点温度が高い7〜8月は、外気の湿気そのものが多い時期です。冬は外気の露点が低く、室内で出る水蒸気が結露の主な原因になります。 出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)。露点温度は平均蒸気圧からMagnus式で換算した計算値

夏の外気の露点温度が17℃前後ということは、表面温度がそれより低い場所に外気が触れると結露するということです。地下室や半地下の倉庫、北側の床下、冷房で冷やされた部屋の壁や家具の裏などは、夏の間でも表面温度が17℃を下回ることがあり、外から入ってきた湿気が水滴になってカビの原因になります。

一方、冬の外気の露点温度は氷点下なので、外気そのものが結露を起こすことはほとんどありません。冬の結露の主な原因は、室内で出る水蒸気です。人の呼吸、調理、入浴、室内干しなどで増えた水蒸気が、氷点下の外気に冷やされた窓や外壁の内側に触れて結露します。同じ「結露によるカビ」でも、夏と冬では湿気の出どころがまったく違うのです。

出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)(平均蒸気圧)をもとにMagnus式で換算した計算値

札幌のカビリスクは2つの山

夏型のカビリスク:7月から9月

夏型のカビリスクは、外気に含まれる湿気の多さが原因です。7月から9月は気温が高く、水蒸気の量も一年で最も多い時期です。この時期に窓を開けて換気をすると、湿った外気が家の中に入り、家の中の冷たい場所で結露やカビにつながることがあります。

特に注意したいのが、床下、地下室、北側の押入れ、使っていない部屋などの「冷えたまま空気が動かない場所」です。札幌の住まいは冬の寒さに備えて断熱されていますが、夏は床下や基礎まわりが外気より低い温度のまま残ることがあり、湿った空気が入り込むと湿気がたまりやすくなります。

8月から9月にかけては降水量も多くなります。大雨の後は、床下や外壁のまわりの土が湿った状態が続き、建物の低い部分の湿気が抜けにくくなります。夏の終わりに押入れや収納の奥、床下点検口のまわりを確認しておくと、秋冬に向けて安心です。

  • 晴れて乾いた日の換気を中心にし、雨の日や蒸し暑い日は除湿機を併用する

  • 冷房を使う部屋は、家具の裏や外壁側の壁に湿気がこもっていないか確認する

  • 地下室・半地下・床下収納は除湿機や送風で空気を動かす

  • 大雨の後は床下点検口を開けて、におい・水たまり・湿りを確認する

冬型のカビリスク:12月から3月

冬型のカビリスクは、暖房した室内の水蒸気が、冷たい窓や外壁に触れて結露することが原因です。札幌の平均気温は12月が-0.9℃、1月が-3.2℃、2月が-2.7℃と氷点下で、この間、窓や外壁の室内側の表面は冷やされ続けます。

冬の外気は乾いているため、本来は換気をすれば室内の湿気は下がります。ところが、寒さを避けて24時間換気や給気口を閉じてしまう、室内干しや加湿器で水蒸気を足し続ける、といった暮らし方が重なると、室内の水蒸気がたまり、窓際や北側の部屋、家具の裏、押入れの奥などで結露とカビが進みます。

また、札幌の降雪の深さの合計(平年値)は、年間で479cmに達します。1月は137cm、12月は113cm、2月は116cmです。屋根や外壁まわりにたまった雪は、融けたり凍ったりを繰り返しながら、建物の外側の湿気にも影響します。冬の間は、室内の結露だけでなく、外壁や屋根まわりの雪の状態にも目を向けておきましょう。

出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)(平均気温・降雪の深さ合計)

冬型のカビは、住まいの中でも場所によって出方が違います。窓ガラスの下端やサッシの角、北側の部屋の外壁の隅、天井と外壁の取り合い、押入れやクローゼットの奥の壁などが代表的です。いずれも外気に近く、暖房の暖かい空気が届きにくい場所です。こうした場所は、ひと冬の間に少しずつ湿気がたまり、春になってから黒ずみやカビ臭さとして気づくことも少なくありません。

  • 24時間換気と給気口は冬の間も止めずに運転する

  • 朝の窓の結露は早めに拭き取り、窓枠やカーテンの下部を乾かす

  • 家具は外壁から少し離し、押入れは定期的に扉を開けて空気を入れ替える

  • 室内干しは除湿機を使う部屋にまとめ、加湿器との同時使用は控える

見落としがちな端境期:春と秋

夏型と冬型の間にある春と秋は、カビリスクが低い時期と思われがちですが、実は点検に最適な時期です。3月から4月は雪解けが進み、建物のまわりの地面や外壁の下部が湿った状態になります。冬の間に進んだ結露やカビも、この時期に表に出てくることが多くなります。

5月から6月は湿度が上がり始める時期です。6月の平均湿度は72%で、露点温度も約12.0℃まで上がります。本州のような梅雨はありませんが、この時期に冬の間閉めきっていた収納や押入れを開けて点検し、夏に向けて換気と除湿の準備をしておくとよいでしょう。

10月から11月は、夏の湿気が建物に残ったまま、気温が大きく下がる時期です。平均気温は10月の12.1℃から11月の5.2℃へと下がり、暖房を使い始めると、夏の間に湿った部分で結露が起き始めます。冬を迎える前に、夏型の湿気が残っていないかを確かめておくことが、冬型のカビを防ぐことにもつながります。

時期

主なリスク

点検・対策のポイント

3〜4月(雪解け)

外壁下部・基礎まわりの湿り

冬の結露跡、収納の奥、床下の水分を確認

5〜6月(湿度上昇)

閉めきった収納・空き部屋の湿気

収納を開けて点検し、除湿と換気を準備

7〜9月(夏型)

外気の湿気と冷えた場所の結露

床下・地下・北側の部屋を除湿、大雨後を点検

10〜11月(端境期)

夏の湿気が残ったまま気温が低下

暖房前に収納・壁の湿りとにおいを確認

12〜2月(冬型)

室内の水蒸気による窓・外壁の結露

換気を止めず、結露を拭き取り、家具を離す

出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)(平均湿度・平均気温。露点温度は計算値)

日照時間から見る「乾きにくい季節」

カビのリスクを考えるうえでは、湿気の量だけでなく「濡れたものが乾きやすいかどうか」も大切です。気象庁の平年値によると、札幌の月間日照時間は5月が200.4時間で最も長く、4月の175.8時間、6月の180.0時間がそれに続きます。一方、12月は82.7時間、1月は90.4時間、11月は99.1時間と、晩秋から冬にかけて大きく短くなります。

日照時間が短く、気温も低い11月から1月は、外に干した洗濯物や、雨や雪で濡れた外壁・玄関まわりが乾きにくい季節です。この時期は室内干しが増えるため、室内の水蒸気も多くなりがちです。冬型のカビリスクが高まる背景には、暖房と結露だけでなく、こうした「乾きにくさ」も重なっていると考えられます。

反対に、日照時間が長く湿度の低い4月から5月は、布団や衣類、収納ケースなどを外で乾かしたり、窓を開けて家じゅうの空気を入れ替えたりするのに向いた時期です。冬の間にたまった湿気を抜くつもりで、晴れた日を選んで押入れやクローゼットを開け放ち、中の物を干すとよいでしょう。

月

日照時間(平年値)

住まいでの活用

4月

175.8時間

雪解け後の点検と、収納の中身の虫干し

5月

200.4時間

布団・衣類・収納ケースを外で乾かす好機

11月

99.1時間

室内干しが増えるので除湿機の準備を

12月

82.7時間

結露の拭き取りと換気をこまめに

1月

90.4時間

窓際・北側の部屋の結露とカビを点検

出典:気象庁「過去の気象データ検索」札幌 平年値(1991〜2020年)(日照時間)

月別カレンダーを住まいの点検に生かす

月別のカビリスクを知ったら、それを年間の点検計画に落とし込みましょう。大がかりな作業は必要ありません。季節の変わり目ごとに、決まった場所を決まった順番で確認するだけで、カビの早期発見につながります。

点検のときは、目で見るだけでなく、におい、手で触ったときの冷たさや湿り気、壁紙の浮きやしみにも注意します。温湿度計を使って部屋ごとの湿度を記録しておくと、同じ季節でも年によって違う変化に気づきやすくなります。記録は写真で残しておくと、翌年との比較がしやすくなります。

毎年同じ時期に同じ場所でカビが出る、拭いてもにおいが消えないといった場合は、壁の中や床下など見えない部分に湿気がたまっている可能性があります。当社では含水率測定や付着菌検査(有料オプション)、ファイバースコープ調査などで、目に見えない部分の状態を確認し、原因に合わせた対処をご提案しています。

よくある質問

Q. 札幌でカビが一番出やすいのは何月ですか。

A. 場所によって異なります。床下や地下など外気の湿気の影響を受ける場所は7〜9月、窓や外壁側の壁など結露の影響を受ける場所は12〜3月にリスクが高まります。どちらか一方ではなく、二つの山があると考えてください。

Q. 冬の湿度は夏と同じくらい高いのに、なぜ乾燥するのですか。

A. 冬の相対湿度は、低い気温に対する割合なので高く見えますが、水蒸気の量そのものは少ないためです。この外気を暖房で暖めると、室内の相対湿度は大きく下がります。

Q. 平年値とは何ですか。

A. 気象庁が30年間の観測値を平均して求めた値で、現在は1991〜2020年の値が使われています。その年ごとの天候は平年値から外れることもあるので、目安として活用してください。

まとめ

気象庁の平年値で札幌の気候を見ると、カビのリスクには二つの山があることがわかります。7〜9月は外気の湿気が多く、冷えた場所で結露する夏型。12〜3月は暖房した室内の水蒸気が冷たい窓や外壁で結露する冬型です。そして、その間の春と秋は、点検と準備に最適な時期です。

湿度の数字だけにとらわれず、水蒸気の量や露点温度、住まいの冷たい場所に目を向けることで、札幌の季節に合ったカビ対策ができるようになります。年間の点検カレンダーを作り、季節の変わり目ごとに住まいを見直してみてください。原因がわからないカビや繰り返すカビは、専門業者の調査も選択肢の一つです。

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カビバスターズ北海道では、含水率測定や付着菌検査・落下菌検査(有料オプション)などの調査から、MIST工法®による除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案まで一貫して対応しています。札幌市内をはじめ北海道全域からのご相談を受け付けています。

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