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苫小牧のカビは夏に増える?霧(じり)と湿気の対策|住宅・倉庫・社員寮の季節別点検

10月26日
読了時間: 26分

更新日:1 日前

こんにちは、カビバスターズ北海道です。北海道全域でカビの調査・除去を行っている当社には、苫小牧市の住宅や事業所から「冬より夏のほうがカビに困る」「7月に入ると倉庫の段ボールが湿っぽくなる」「社員寮の北側の部屋だけ、夏に壁紙が黒ずむ」といったご相談が寄せられます。北海道のカビというと、冬の結露を思い浮かべる方が多いと思います。ところが苫小牧は太平洋に面した胆振地方の港湾・工業都市で、初夏から夏にかけて海から「じり」と呼ばれる海霧が流れ込み、湿った空気と日照不足が続きやすい土地柄です。反対に冬は雪が比較的少なく、晴れて空気が乾きやすいという、同じ北海道でも札幌や旭川とは季節の表情がかなり違います。本記事では、気象庁の平年値(1991〜2020年)で確認できる苫小牧の数字をもとに、夏の海霧と高湿度がカビに与える影響、冬の乾燥期にも油断できない理由、住宅での室内干しや北側の部屋の注意点、港湾・工業地帯の事業所や倉庫、社員寮での管理のポイントを順に整理します。苫小牧で暮らす方、苫小牧に拠点を持つ企業のご担当者に、季節ごとの点検の目安としてお役立ていただければ幸いです。夏の湿気が気になり始めた方も、秋の点検を考えている方も、まずは気になる章からお読みください。

この記事の結論 苫小牧のカビは冬より夏に注意。気象庁の平年値で見る7月の湿度88%・日照不足と海霧「じり」の影響、冬は雪が少なく晴れやすい季節差をふまえ、住宅の室内干しや北側の部屋、港湾・工業地帯の倉庫・社員寮の点検ポイントを解説します。

第1章|苫小牧の気候を平年値で読む|夏は霧と湿気、冬は晴れて乾く

カビ対策を考えるとき、当社がまず確認するのはその土地の気候です。カビは温度・湿度・栄養・時間の条件がそろったところで増えるため、同じ建物でも地域によって注意すべき季節が変わります。苫小牧については、気象庁の平年値(1991〜2020年)を見ると、ほかの道内都市とは違う特徴がはっきり表れています。平年値とは、30年間の観測値を平均した「その土地のふだんの気候」を示す数字のことです。

まず相対湿度です。気象庁の平年値では、苫小牧の相対湿度は1月・2月・12月が70%、11月が71%と、冬はおおむね70%前後にとどまります。これが5月に79%、6月に86%、7月に88%、8月に86%と上がり、夏の3か月は一年でもっとも湿った時期になります。相対湿度とは、その温度の空気が含むことのできる水蒸気の量に対して、実際にどれだけ含んでいるかを割合で示したものです。年間の平均値だけを見ると目立たなくても、月ごとに並べると夏に湿度の山ができることがわかります。

次に日照時間です。気象庁の平年値では、苫小牧の7月の日照時間は108.1時間で、一年のうちもっとも少ない月です。6月も119.7時間、8月も122.2時間にとどまります。一方で1月は142.0時間、2月は144.7時間あり、真冬のほうが真夏より日が照る計算になります。夏に日照が少ないのは、海から流れ込む霧や低い雲に覆われる日が多いためです。日が当たらないと外壁や屋根、室内の壁面が温まりにくく、濡れたものが乾きにくい状態が続きます。

そして霧日数です。気象庁の平年値ページに掲載されている苫小牧の霧日数は年間42.6日で、月別では6月が9.6日、7月が10.1日、8月が6.4日、5月が6.7日となっています。霧日数の統計期間は2004〜2020年で、ほかの要素とは期間が異なる点にご注意ください。5月から8月の4か月で年間の4分の3以上を占めており、苫小牧の霧が「夏のもの」であることが数字からも読み取れます。

月

相対湿度(%)

日照時間(時間)

霧日数(日)

1月

70

142.0

0.0

4月

74

173.5

3.4

6月

86

119.7

9.6

7月

88

108.1

10.1

8月

86

122.2

6.4

10月

74

156.0

0.7

年間

77

1711.5

42.6

上の表は、気象庁の平年値(相対湿度・日照時間は1991〜2020年、霧日数は2004〜2020年)から、季節の違いがわかる月を抜き出したものです。降水量も8月が197.5ミリと一年で最も多く、夏は霧と雨の両方で湿気が供給されやすいことがわかります。なお、年間の平均湿度だけで道内のほかの地域と比べても、苫小牧らしさは見えてきません。大切なのは「一年のうちいつ湿気の山が来るか」という季節の形です。

もうひとつ見ておきたいのが気温です。気象庁の平年値では、苫小牧の日平均気温は7月が18.2℃、8月が20.4℃で、真夏でも比較的涼しい部類に入ります。涼しいこと自体は過ごしやすさにつながりますが、カビ対策の面では注意点にもなります。暑さを感じにくいため冷房を使う家庭や事業所が少なく、冷房運転にともなう除湿も期待できません。さらに「涼しいから窓を開けておこう」と霧の出ている日に窓を開け放つと、湿った外気をそのまま室内に取り込んでしまいます。気温が高くないのに湿度だけが高い、という組み合わせが苫小牧の夏の特徴です。

当社の現場での傾向として、苫小牧のご相談は冬の結露由来のものに加えて、6月下旬から9月にかけて「におい」「家具の裏の白い綿のようなもの」「倉庫の段ボールや木製パレットの黒ずみ」といった夏型のご相談が目立ちます。これは統計ではなく当社の経験上の傾向ですが、平年値が示す夏の高湿度・日照不足と重なっています。苫小牧のカビ対策は、冬の結露対策に加えて、夏の湿気対策を同じくらいの比重で考える必要がある、というのがこの章の結論です。

こうした数字は、ご自宅や事業所の状況を判断する「ものさし」として役立ちます。たとえば室内に湿度計を置いて記録すると、霧の日に室内の湿度がどこまで上がるのか、除湿機や換気を使ったときにどれだけ下がるのかが見えてきます。外の平年値と室内の記録を並べてみると、「外が湿っているから仕方ない」のか「室内側に原因がある」のかを切り分けやすくなります。

第2章|海霧「じり」はなぜ生まれ、建物にどう入り込むのか

苫小牧をはじめ、太平洋に面した北海道の沿岸部では、初夏から夏にかけて発生する海霧を昔から「じり」と呼んできました。海霧とは、暖かく湿った空気が冷たい海面の上を流れるときに冷やされ、空気中の水蒸気が細かな水滴になって漂う現象です。北海道の太平洋側の沖合には夏でも水温の低い海域があり、南から湿った空気が入る季節になると霧が発生しやすくなります。この霧が南寄りの風に乗って、海沿いの市街地や工業地帯へ流れ込んでくるのです。

霧の日の空気は、ほぼ飽和に近い状態です。飽和とは、空気がそれ以上水蒸気を含めない限界まで湿っている状態のことです。この空気が建物に触れると、少しでも温度の低い面では水滴がつきやすくなります。当社の現場で見ていると、霧の日が続いたあとに、倉庫のシャッター内側、コンクリート土間、鉄骨の柱や梁、外壁に面した押入れの奥などがしっとり湿っているケースが少なくありません。雨のように目立つ水ではないため、「濡れている」と気づかれにくいのが霧の厄介なところです。

建物への入り込み方は、大きく三つに分けられます。一つ目は換気経路からの流入です。24時間換気の給気口や窓、出入口のシャッターを通じて、湿った外気がそのまま室内に入ります。二つ目は外壁や屋根を通じた吸湿です。モルタルやコンクリート、木材などの材料は湿った空気に長く触れると水分を吸い、日照が戻るまでなかなか乾きません。三つ目は室内側での冷却です。地面に接する床下や基礎、北側の外壁など温まりにくい部分では、入り込んだ湿気が表面で結露に近い状態になります。

苫小牧の市街地は海岸線に沿って東西に広がり、港湾や工場、物流倉庫の多くも海に近い場所に集まっています。海からの距離が近いほど霧の影響を受けやすいのは想像しやすいと思いますが、実際には内陸寄りの住宅地でも、霧が流れ込む日は窓ガラスや車の表面がしっとり濡れるほどになります。「うちは海から少し離れているから大丈夫」と考えず、市内のどこにお住まいでも夏の湿気には目を配っておくほうが安心です。

入り込み方

起こりやすい場所

カビのサイン

換気経路から湿った外気が流入

給気口まわり、窓際、倉庫の出入口付近

カーテンや窓枠の黒点、段ボールの湿り

外壁・屋根の材料が吸湿

北面の外壁、軒の出が小さい面、陸屋根の下の部屋

室内側のクロスの浮き、壁際のにおい

温まりにくい面での冷却

床下、基礎、コンクリート土間、鉄骨部材

床下のカビ臭、土間に置いた物の底面の白カビ

ここで、北海道の建物ならではの事情も押さえておきましょう。北海道では暖房期間が長く、苫小牧でも概ね10月から4月にかけて暖房を使うご家庭が多いと思います。そのため建物は冬の寒さに備えて断熱・気密を高めた造りが基本で、「冬に暖かく、熱を逃がさない」ことを優先して設計されています。この造りは冬には大きな力を発揮しますが、夏に外から湿気が入り込んだ場合、湿気もまた逃げにくいという面があります。冬を前提にした家の性能が、夏の霧の季節には裏目に出ることがあるのです。

また、札幌や旭川のように雪の多い地域では、豪雪期は窓を開けにくく、室内の湿気がこもることが冬の大きな課題になります。苫小牧は冬の雪が比較的少ないものの、室内外の温度差が大きい季節には、やはり窓を開ける機会が減ります。そして夏は夏で、霧の日に窓を開けると湿気を招き入れることになります。つまり苫小牧では、冬は寒さで、夏は霧で、窓を開けて換気するタイミングが限られやすいという二重の事情があります。窓を開ける換気に頼りきらず、機械換気と除湿を組み合わせて考えることが大切です。

霧の季節の始まりにも気を配りましょう。気象庁の平年値ページでは、苫小牧の霧日数は4月が3.4日、5月が6.7日と、春のうちから少しずつ増えていきます。暖房を止めたばかりの4月から5月は、冬の間に閉めきっていた部屋や収納にまだ冷えが残っている時期です。そこへ霧を含んだ空気が入り始めると、冬の結露とは違う形で湿気がたまり始めます。「まだ夏ではないから大丈夫」と考えず、暖房を止めたら夏支度の点検を始める、という順番を意識しておくとよいでしょう。

もう一点、霧の日は「カビが生えるまでの時間」も関係します。カビは湿った状態が一時的に訪れるだけでは増えにくく、湿った状態が何日も続くことで勢いを増します。苫小牧の夏は霧日数が多く、日照時間も少ないため、いったん湿った材料が乾くまでの時間が長くなりがちです。霧が晴れた日にしっかり乾かせるかどうかが、夏のカビを抑える分かれ目になります。晴れ間が出た日には、押入れやクローゼットの扉を開け、倉庫では荷物の配置を見直して空気の通り道をつくるなど、「乾かす日」を意識して過ごすことをおすすめします。

第3章|冬の苫小牧は雪が少なく乾きやすい|それでも結露とカビが出る理由

苫小牧の季節差をよりはっきりさせるために、同じ気象庁の平年値(1991〜2020年)で札幌と比べてみます。降雪の深さの年間合計は、札幌が479センチであるのに対し、苫小牧は145センチです。1月の日照時間は札幌が90.4時間、苫小牧が142.0時間で、苫小牧の冬は雪雲に覆われる日が少なく、晴れやすいことがわかります。反対に7月の日照時間は札幌が168.0時間、苫小牧が108.1時間で、夏は立場が逆転します。同じ北海道でも、日本海側の影響を受ける札幌と、太平洋側の苫小牧では季節のリズムがまったく違うのです。

項目(気象庁の平年値)

苫小牧

札幌

降雪の深さ 年間合計

145センチ

479センチ

1月の日照時間

142.0時間

90.4時間

7月の日照時間

108.1時間

168.0時間

1月の相対湿度

70%

69%

7月の相対湿度

88%

75%

表からわかるように、冬の相対湿度は両市とも70%前後でほぼ同じですが、7月は苫小牧が88%、札幌が75%と大きな差があります。苫小牧は「冬は札幌よりも晴れて雪が少なく、夏は札幌よりも湿って日が照らない」という、カビ対策の面では夏に重心を置くべき気候だといえます。ただし、これは「苫小牧の冬はカビの心配がない」という意味ではありません。

冬の屋外の空気は冷たく、含むことのできる水蒸気の量がもともと少ないため、暖房で温めた室内に取り込むと相対湿度は大きく下がります。これが「冬は室内が乾燥する」と感じる理由です。ところが室内では、調理、入浴、洗濯物の室内干し、人の呼吸などで水蒸気が日々発生しています。暖房期間が長い北海道では、概ね10月から4月まで窓を閉めて過ごす時間が長く、発生した水蒸気が室内にとどまりやすくなります。苫小牧は豪雪地帯ほど雪で窓がふさがることは少ないものの、冬の冷たい風の中で窓を開けて換気する習慣は根づきにくいものです。

そして、室内外の温度差が結露を生みます。外気で冷やされた窓ガラスやサッシ、外壁に面した壁の室内側、断熱が途切れやすい天井と壁の取り合い部分などは、室内の空気より温度が低くなります。暖かく湿った室内の空気がこうした冷たい面に触れると、水蒸気が水滴に変わります。冬の晴れた夜は放射冷却で外気温が下がりやすく、晴天の多い苫小牧では、朝方に窓の結露が目立つという声もよく伺います。放射冷却とは、雲のない夜に地面や建物の熱が空へ逃げ、冷え込みが強まる現象のことです。

季節

苫小牧の気候の特徴

主なカビの原因

重点的に見る場所

初夏〜夏(5〜8月)

霧が多く湿度が高い、日照が少ない

湿った外気の流入、乾きにくさ

北側の部屋、押入れ、床下、倉庫の土間

秋(9〜10月)

湿度が下がり始める、日照が戻る

夏に吸った湿気の残り、暖房開始前の冷え

家具の裏、収納の奥、夏に閉めきった部屋

冬(11〜3月)

雪が比較的少なく晴れやすい、室内は乾きやすい

室内の水蒸気と温度差による結露

窓・サッシ、外壁側の壁、天井の隅

春(4月)

暖房終了期、霧が増え始める

冬の結露跡の放置、湿気の季節への移行

窓まわりのパッキン、結露跡のあるクロス

冬によく見かけるのが、給気口から入る冷気を嫌って24時間換気のスイッチを切ったり、給気口を閉じたりしているケースです。24時間換気とは、窓を開けなくても室内の空気を少しずつ入れ替えるための換気設備のことです。寒さを我慢したくない気持ちはよくわかりますが、換気を止めると室内の水蒸気の逃げ場がなくなり、結露が増える原因になります。冬の乾燥しやすい外気は、本来なら室内の湿気を薄めてくれる味方です。冷気が気になる場合は、給気口の位置と家具の配置を見直すなど、換気を止めずに済む工夫を考えましょう。

このように、苫小牧のカビは一年の中で「原因の主役」が入れ替わります。夏は外からの湿気、冬は室内で生まれる水蒸気と温度差です。両方に共通するのは、湿った状態が長く続く場所でカビが増えるという点です。季節によって点検する場所を変えるだけで、見落としはぐっと減ります。

当社の現場での傾向として、冬の結露で傷んだ窓まわりのクロスやパッキンを春に手当てしないまま夏を迎え、霧の季節にカビが一気に広がったという例が見られます。これは統計ではなく経験上の傾向ですが、冬の結露跡は「夏のカビの予備軍」と考えて、暖房を止める4月前後に一度きれいにしておくことをおすすめします。

第4章|苫小牧の住宅に多い夏のカビ|室内干し・北側の部屋・収納の奥

ここからは、苫小牧の住宅で夏に起こりやすいカビを場面ごとに見ていきます。まず室内干しです。北海道では冬に洗濯物を室内に干すご家庭が多いと思いますが、苫小牧では夏も室内干しが増えやすい事情があります。霧の日や曇りの日が続くと、外に干しても洗濯物が乾かないためです。気象庁の平年値で7月の日照時間が一年で最も少ない108.1時間であることを考えると、夏に「外干しをあきらめる日」が多いのは自然なことだといえます。

問題は、夏の室内干しは冬の室内干しよりも乾きにくいという点です。冬は暖房で室温が上がり、外から入る空気も乾いているため、洗濯物から出た水蒸気は比較的早く室内の空気に吸収されます。ところが夏の霧の日は、室内の空気そのものがすでに湿っており、洗濯物の水分を受け止める余地が小さくなっています。暖房も使わない季節なので、洗濯物が半日以上湿ったまま、というご家庭も少なくありません。乾ききらない洗濯物から出るにおいや、干している部屋の壁・カーテンのカビにつながりやすくなります。

夏の室内干しでは、除湿機やエアコンの除湿運転を使い、干す部屋を決めて扉を閉め、その部屋だけを集中的に乾かす方法が効果的です。家じゅうに洗濯物を分散させると、湿気が家全体に広がってしまいます。扇風機やサーキュレーターで洗濯物に風を当てると、乾く時間が短くなります。浴室乾燥機がある場合は、換気扇を回しながら浴室で干すのもひとつの方法です。

場所

夏に起こりやすいこと

ご家庭でできる対策

室内干しの部屋

霧の日は洗濯物が乾きにくく、壁やカーテンが湿る

部屋を決めて扉を閉め、除湿機と送風で短時間に乾かす

北側の部屋

日が当たらず外壁が冷えたまま、湿気がこもる

家具を壁から離す、晴れた日に扉を開けて空気を通す

押入れ・クローゼット

扉を閉めきると湿気が抜けず、布団や衣類にカビ

すのこで床と壁から離す、詰め込みすぎない

玄関・靴箱

霧で濡れた靴や傘の湿気がたまる

濡れた靴はすぐにしまわず乾かしてから収納する

床下

湿った外気が入り、地面からの湿気と重なる

換気口をふさがない、においが続けば専門家に点検を依頼

夏の換気のタイミングも見直してみましょう。霧が出ている日や、窓ガラスの外側が濡れるほど湿った日は、窓を大きく開けるとかえって湿気を招き入れてしまいます。こうした日は窓を閉めて24時間換気を基本にし、除湿機で室内の湿気を取り除くほうが効果的です。反対に、霧が晴れて日が差し、風が乾いている日は、窓を開けて家じゅうの空気を入れ替える好機です。天気予報や窓の外の様子を見ながら、換気の「開けどき」を選ぶ習慣をつけると、夏の湿気をためこみにくくなります。

次に北側の部屋です。北側の部屋は一年を通して日が当たりにくく、外壁が冷えやすい場所です。冬の北側の部屋の結露は北海道全体に共通する悩みですが、苫小牧では夏にも北側の部屋でカビが目立つことがあります。霧で日照が少ない日が続くと、北側の外壁はほとんど温まらず、室内側の壁の表面温度も上がりません。そこへ湿った空気が入り込むと、壁の表面が湿った状態が長く続きます。とくに、外壁に面した壁にぴったりと家具を置いている場合、家具の裏側は空気が動かず、夏のうちにカビが広がりやすくなります。

押入れやクローゼットも要注意です。扉を閉めきったままの収納は、湿気が入ると抜け出しにくい空間です。夏の霧の季節に布団や衣類を詰め込んでいると、秋に取り出したときに白や黒のカビが付いていた、というご相談を当社でもよくいただきます。収納の床にすのこを敷き、壁との間に少し隙間をあけ、晴れた日には扉を開けて空気を入れ替えるだけでも状況は変わります。除湿剤は補助的なものと考え、空気を動かすことを基本にしましょう。

床下にも目を向けてください。床下は地面に近く、もともと湿気がたまりやすい場所です。夏に湿った外気が床下換気口から入ると、冷えた基礎や土台の表面で湿気が水滴になりやすくなります。床下はふだん目にしない場所なので、「夏になると和室や廊下がカビ臭い」「床下収納を開けるとにおいがする」といったサインで気づくことが多いものです。においが続く場合は、床下で湿気やカビが進んでいる可能性がありますので、早めに点検されることをおすすめします。なお、カビのにおいや室内環境が気になり、体調に不安がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

第5章|港湾・工業地帯の事業所・倉庫・社員寮で気をつけたいこと

苫小牧は北海道を代表する港湾・工業都市で、港の周辺や臨海部には工場、物流倉庫、事業所、そこで働く方のための社員寮や社宅が数多く立地しています。こうした建物は、住宅とは違う理由で夏の霧の影響を受けやすい面があります。この章では、苫小牧の事業所のご担当者に向けて、当社の現場で見えてきた注意点を整理します。

まず倉庫です。倉庫は大きな出入口を持ち、荷物の搬入・搬出のたびにシャッターが開きます。霧の日にシャッターを開けていると、湿った外気が一気に庫内へ流れ込みます。庫内は天井が高く空気が動きにくいうえ、コンクリートの土間や鉄骨の柱、外壁の鋼板は温まりにくいため、流れ込んだ湿気が表面で水滴になりやすくなります。当社の現場での傾向として、土間に直接置いた段ボールの底面、壁際に積んだ荷物の背面、木製パレットなどにカビが出やすいと感じています。これは統計ではなく、あくまで当社の経験上の傾向です。

事務所棟や工場の休憩室、更衣室も見落とされがちです。作業着や安全靴、雨具などが湿ったまま置かれる更衣室は、夏の霧の季節ににおいやカビが出やすい場所です。休憩室の冷蔵庫や自動販売機の裏、使用頻度の低い会議室なども、空気が動かないためカビの温床になりがちです。事業所では「誰かが気づくだろう」と点検が後回しになることもあるため、夏の前後に担当者を決めて点検する仕組みをつくると安心です。

建物・場所

苫小牧の夏に起こりやすいこと

管理のポイント

倉庫・物流施設

シャッター開放で霧を含む外気が流入、土間や鉄骨で結露

霧の日は開放時間を短く、荷物を土間や壁から離して保管

工場の更衣室・休憩室

湿った作業着・雨具からの湿気、においの発生

ロッカー内の換気、乾燥スペースの確保、定期清掃

事務所・会議室

使用頻度の低い部屋で空気がよどむ

定期的に扉を開けて空気を通す、書類を床に直置きしない

社員寮・社宅

居室での室内干し、北側居室の湿気、入居者ごとの差

入居時の説明、共用部の換気、空室の定期点検

社員寮や社宅では、住宅と同じく室内干しや北側の居室の湿気が課題になります。加えて寮ならではの事情として、入居者によって換気や除湿の意識に差があることが挙げられます。単身の入居者が日中ずっと不在で、窓も換気設備も閉めきったまま、室内に洗濯物を干して出勤する、という暮らし方が重なると、夏の霧の季節に居室のカビが進みやすくなります。入居時に「霧の日は窓を閉めて除湿機を使う」「換気設備は止めない」といった簡単な説明をしておくだけでも、トラブルの予防につながります。

共用部にも目を配りましょう。寮の共用の浴室や脱衣所、ランドリースペースは湿気の発生源が集中する場所です。夏は乾燥機の排気や浴室の湯気が抜けにくく、天井や壁の隅にカビが出やすくなります。換気扇のフィルターや給気口の汚れは換気量の低下につながるため、定期的な清掃を管理項目に入れておくと安心です。

事務所の書類や備品にも夏の湿気は影響します。段ボール箱に入れたまま倉庫や書庫の床に置いた書類、保管期間の長い帳票や図面などは、霧の季節を越すうちに紙がしっとりし、においやカビが出ることがあります。棚の最下段は床からの湿気の影響を受けやすいため、重要な書類ほど上の段に置き、箱は壁から少し離して並べるのが基本です。

苫小牧の季節差は、事業所の管理にも活かせます。夏の霧の季節は湿気をためこまないことを優先し、冬の晴れて外気が乾きやすい時期には、夏に湿気を吸った荷物や資材、倉庫の内装を乾かす期間と考えるのです。たとえば冬の間に倉庫の奥まで空気を通し、夏に使わなかった区画の荷物を動かして床や壁の状態を確かめておくと、翌年の夏に向けた準備になります。庫内や居室に温湿度を記録できる機器を置き、季節ごとの変化を見える化しておくと、どの区画で湿気がたまりやすいかが担当者の間で共有しやすくなります。

事業所の建物は延べ床面積が大きく、カビが広がってから対応すると、清掃や荷物の移動、業務の調整に手間がかかります。夏の霧の季節に入る前の5月ごろと、霧のピークを過ぎた9月ごろに点検のタイミングを設けておくと、被害が小さいうちに手を打ちやすくなります。点検の際は、目で見てわかるカビだけでなく、におい、材料の湿り気、荷物の底面の状態などもあわせて確認してください。対策の方法や費用は建物の規模や現地状況により異なりますので、気になる場合は早めに専門家へご相談いただくことをおすすめします。

第6章|苫小牧でカビに気づいたら|原因を数値で確かめる調査と対策の流れ

夏の霧の季節にカビを見つけると、まず表面を拭き取りたくなると思います。小さな範囲であれば、ご家庭での清掃で落ち着くこともあります。しかし、同じ場所に何度も繰り返し出る、においが続く、広い範囲に広がっている、といった場合は、表面の下で湿気やカビが進んでいる可能性があります。そうしたときは、見た目だけで判断せず、原因を数値で確かめることが大切です。苫小牧のように季節によって原因の主役が入れ替わる地域では、「夏の外気の湿気」なのか「冬の結露の名残」なのか、あるいは「建物側の不具合」なのかを切り分けることで、対策の方向が定まります。

当社が行う調査の代表的なものが含水率測定です。含水率測定とは、壁や床、木材などの材料にどれだけ水分が含まれているかを専用の機器で測ることです。霧の季節のあとに壁の含水率が高いままであれば、材料が湿気を吸ったまま乾いていないことがわかります。あわせて、空気中にどのくらいカビの胞子が漂っているかを調べる浮遊菌検査(有料オプション)や、表面にどんな種類のカビが付いているかを調べる付着菌検査などを組み合わせることで、見えない部分の状態を把握していきます。

調査の種類

わかること

苫小牧で役立つ場面

含水率測定

壁・床・木材に含まれる水分の多さ

霧の季節のあと、北側の壁や床下が乾いているかの確認

付着菌検査

表面に付いているカビの種類や量

倉庫の荷物や寮の居室で繰り返し出るカビの確認

浮遊菌検査

室内の空気中に漂うカビの量

におい、換気の効き具合

調査で原因の見当がついたら、カビの除去と再発を防ぐ対策に進みます。当社ではMIST工法®によるカビ除去と、カビが生えにくい環境づくりのご提案を行っています。MIST工法®は、素材を削ったりこすったりせず、素材を傷めにくい方法でカビにアプローチする施工です。木材やクロス、倉庫の内装など、素材を大切にしたい場所でもご検討いただけます。ただし、除去をしても湿気の原因が残っていれば再発のおそれがあるため、調査で見えた原因に合わせて、換気や除湿、荷物の置き方、暮らし方の見直しもあわせてご提案しています。

苫小牧で調査のタイミングを考えるなら、霧の季節の前後がひとつの目安です。5月ごろに調査しておけば、夏に向けてどこを重点的に管理すべきかがわかります。9月から10月に調査すれば、夏にどれだけ湿気の影響を受けたかを確かめたうえで、暖房期間に入る前に手を打てます。事業所や社員寮では、年間の管理計画の中に点検時期を組み込んでおくと、担当者が代わっても対応が途切れにくくなります。

ご自身で状況を整理する際は、「いつから気になり始めたか」「霧の日や雨の日に悪化するか」「冬にも同じ場所で結露があったか」「においはどの部屋が強いか」をメモしておくと、ご相談の際に原因の絞り込みがスムーズになります。写真を季節ごとに撮っておくのも有効です。こうした記録は、苫小牧のように季節で原因が変わる地域では特に役立ちます。

ご自身で清掃される場合は、いくつか注意していただきたい点があります。乾いたカビを強くこすったり、掃除機でそのまま吸ったりすると、胞子を周囲に広げてしまうことがあります。市販のカビ取り剤を使う場合は、製品の注意書きを守り、換気をしながら使ってください。種類の違う洗剤を混ぜると危険な場合があります。また、クロスの裏側や床下、壁の中まで広がっているカビは、表面を拭いても根本的な解決にはなりにくいものです。社員寮や賃貸の建物では、入居者が自己判断で処理する前に、管理者へ報告してもらう流れを決めておくと、原因の確認と対応の記録が残しやすくなります。

なお、調査の内容や施工の範囲、費用は、建物の構造や広さ、カビの状態など現地状況により異なります。まずは現地を確認したうえで、必要な調査と対策をご説明しますので、気になる点があればお気軽にお問い合わせください。

関連記事:北海道の社宅・寮|空室期間の湿気管理

まとめ|苫小牧のカビ対策は「夏の霧」と「冬の結露」の二本立てで考える

本記事では、苫小牧市のカビ問題を、気象庁の平年値で確認できる気候の特徴から整理してきました。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、苫小牧の相対湿度は冬の70%前後から7月には88%まで上がり、7月の日照時間は一年で最も少ない108.1時間です。霧日数(2004〜2020年の統計)は年間42.6日で、その多くが5月から8月に集中しています。一方、冬の降雪の深さの年間合計は145センチと札幌より少なく、1月の日照時間は142.0時間と、冬のほうが晴れやすい気候です。同じ北海道でも、苫小牧は夏に湿気の山が来る地域だといえます。

この気候は、建物のカビの出方にも表れます。夏は海霧「じり」を含む湿った外気が換気経路やシャッターから入り込み、北側の部屋や押入れ、床下、倉庫の土間や鉄骨など、温まりにくく乾きにくい場所でカビが増えやすくなります。冬は外が乾いていても、暖房期間が概ね10月から4月と長く、窓を閉めて過ごす時間が長いため、室内で生まれた水蒸気と室内外の温度差によって、窓まわりや外壁側の壁で結露が起こります。苫小牧のカビ対策は、夏の湿気対策と冬の結露対策の二本立てで考えることが大切です。

住宅では、夏の室内干しは部屋を決めて除湿機と送風で短時間に乾かすこと、霧の日は窓を閉めて換気設備と除湿を基本にし、晴れて乾いた日に窓を開けること、北側の部屋や収納では家具や荷物を壁から離して空気の通り道をつくることがポイントです。事業所や倉庫では、霧の日のシャッター開放を短くし、荷物を土間や壁から離して保管すること、更衣室や使用頻度の低い部屋の点検を習慣にすることが有効です。社員寮では、入居時の説明と共用部の換気、空室の定期点検が予防につながります。

点検のタイミングとしては、霧の季節に入る前の5月ごろと、霧のピークを過ぎた9月から10月ごろがひとつの目安です。冬の結露跡は、暖房を止める4月前後に手当てしておくと、夏のカビの予備軍を減らせます。そして、同じ場所に繰り返し出るカビやにおいが続く場合は、表面の清掃だけで終わらせず、含水率測定や浮遊菌検査などで原因を数値で確かめることをおすすめします。

Q. 苫小牧の家は冬に乾燥するのに、なぜ夏にカビが増えるのですか?

A. 気象庁の平年値では、苫小牧は夏に相対湿度が高く、日照時間が少ない気候です。海霧を含む湿った外気が建物に入り込み、日が差さないため材料が乾きにくい状態が続くことが、夏にカビが増えやすい理由のひとつと考えられます。冬は外気が乾いていても、室内の水蒸気と温度差による結露が起こるため、季節ごとに点検する場所を変えることをおすすめします。

Q. 霧の日は窓を開けて換気したほうがよいのでしょうか?

A. 霧が出ている日は、外の空気そのものが非常に湿っているため、窓を大きく開けると湿気を室内に招き入れることがあります。霧の日は窓を閉めて24時間換気を止めずに運転し、除湿機やエアコンの除湿運転を併用する方法が考えられます。霧が晴れて風が乾いている日に、窓を開けてしっかり空気を入れ替えるとよいでしょう。

カビは、気候と建物と暮らし方の組み合わせで発生のしやすさが変わります。苫小牧ならではの季節のリズムを知っておくことは、ご家庭でも事業所でも、カビを早めに見つけて小さいうちに手を打つための第一歩です。健康面で気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

カビバスターズ北海道では、含水率測定や付着菌検査、浮遊菌検査などの各種調査と、MIST工法®による素材を傷めにくいカビ除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案をワンストップで行っています。苫小牧市の住宅、港湾・工業地帯の事業所や倉庫、社員寮・社宅のご相談にも対応しており、札幌・旭川・函館・帯広・釧路・北見をはじめ北海道全域でご依頼を承っています。費用や工期は現地状況により異なりますので、まずは現地の状況を拝見したうえでご説明いたします。夏の湿気や冬の結露によるカビが気になる方は、お気軽にご相談ください。※菌検査は施工前に行う有料オプションです。


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