札幌の床下カビ対策|基礎断熱・床下換気口と冬の床下環境を点検する
更新日:1 日前
床下は、住まいの中でいちばん目にする機会が少ない場所です。キッチンや洗面所の床下収納を開けたときに、かび臭さや土っぽいにおいを感じたことはないでしょうか。床下の湿気やカビは、床板のたわみや室内のにおいとして表に出てくるまで気づかれにくく、見つかったときには範囲が広がっていることも少なくありません。
札幌の戸建て住宅の床下は、大きく分けて「床下換気口から外気を通す床断熱」と「基礎そのものを断熱して換気口を設けない基礎断熱」の2つのつくりがあります。どちらのつくりかによって、湿気がたまりやすい季節も、点検で見るべきポイントも変わります。
この記事では、気象庁の札幌の平年値から計算した外気の露点を手がかりに、夏と冬の床下環境の違い、ご自宅でできる点検口からの確認手順、カビを見つけたときの注意点を順番に整理します。床下へ潜る作業は危険もあるため、無理をしない範囲でのチェックを前提にしています。
この記事の結論 札幌の床下は、換気口のある床断熱と、換気口のない基礎断熱で湿気のたまり方が異なります。床断熱では夏の湿った外気による結露、基礎断熱では室内の湿気や漏水、そして両方に共通して冬の凍結と雪によるトラブルに注意が必要です。
札幌の床下は2種類:床断熱と基礎断熱の違い
まず、ご自宅の床下がどちらのつくりかを確認しましょう。外から見て、基礎のコンクリートに格子や金網のついた四角い穴(床下換気口)が並んでいる、または土台と基礎の間に通気用の部材(基礎パッキン)が入っている場合は、床の下に断熱材を入れる「床断熱」のことが多いです。床下は外気が出入りする「屋外に近い空間」として扱われます。
一方、基礎の外側や内側に断熱材が貼られ、換気口が見当たらない場合は「基礎断熱」の可能性があります。こちらは床下を室内の一部として扱い、室内の換気や暖房の影響を受ける空間です。北海道では凍結対策や配管の保護の面から採用例が多いつくりです。
建築基準法施行令第22条では、最下階の居室の床が木造の場合、床の高さを地面から45cm以上とし、外壁の床下部分に壁の長さ5m以下ごとに面積300平方センチメートル以上の換気孔を設けることを定めています。ただし、床下をコンクリートなどで覆う場合などの例外もあり、基礎断熱はこの例外や別の防湿方法で計画されるのが一般的です。
出典:建築基準法施行令 第22条(居室の床の高さ及び防湿方法)
比較項目 | 床断熱(換気口あり) | 基礎断熱(換気口なし) |
床下の扱い | 外気に近い空間 | 室内の一部に近い空間 |
湿気が増えやすい時期 | 夏〜初秋の暖かく湿った外気 | 新築初期や漏水時、換気不足時 |
冬の注意点 | 換気口の雪ふさがり、配管の冷え | 室内の湿気の流入、換気の停止 |
点検で見る場所 | 土台・大引の裏、断熱材の下面 | 基礎内側の断熱材の継ぎ目、隅角部 |
カビが出やすい部位 | 北側の土台、配管まわり | コンクリートの隅、配管の貫通部 |
床下のカビが見つかりにくい理由と、表に出るサイン
床下のカビが見つかりにくいのは、人が普段入らないうえに暗く、少し湿った状態が長く続いても誰も気づかないからです。カビは表面に白い綿のような菌糸を広げることから始まり、黒や緑の斑点として目立つ頃には、木材の表面にかなりの範囲で根を張っていることがあります。
床下の空気は、床の継ぎ目や配管の貫通部、床下収納のすき間を通って室内へ少しずつ上がってきます。そのため、床下の状態は「におい」として先に気づかれることが多く、特に冬に窓を閉め切り、暖房で室内の空気が上へ抜けるようになると、下から空気が引き込まれてにおいが強まる場合があります。
床下収納や点検口を開けると、土っぽい・かび臭いにおいがする
1階の北側の部屋や洗面所だけ、床がひんやり湿っぽく感じる
畳やカーペットの裏、フローリングの継ぎ目に黒い点が出てきた
床がふわふわする、きしむ場所が増えた
冬に水道の凍結や水漏れがあったのに、床下を確認していない
こうしたサインがひとつでも当てはまる場合は、まず点検口から床下をのぞいてみることをおすすめします。以下の図に、床下カビを見つけるための考え方を3つにまとめました。

外気の露点で考える夏〜初秋の床下
床断熱の家で湿気が問題になりやすいのは、意外にも冬より夏です。床下換気口から入った暖かく湿った外気が、地面や基礎の影響でひんやりした床下の木材やコンクリートに触れると、その表面で空気中の水蒸気が水滴や湿りになります。これが「夏型結露」と呼ばれる現象です。
目安になるのが「露点温度」です。露点は、空気を冷やしていったときに水蒸気が水に変わり始める温度のことで、触れる面の温度が露点以下だと結露が起きます。気象庁が公表している札幌の平年の蒸気圧から露点を計算すると、7月は約16.6℃、8月は約17.7℃となり、真夏の外気は17℃前後より冷たい面に触れると結露しうる空気だとわかります。

図:札幌の月別平均気温と外気の露点(平年値から計算)。露点は、その空気が触れた面がこの温度以下だと結露が始まる目安です。7〜8月は外気の露点が16〜18℃近くまで上がり、ひんやりした床下の面に湿気が集まりやすくなります。 出典:気象庁「過去の気象データ」札幌 平年値(1991〜2020年)の平均気温・蒸気圧。露点は平年の蒸気圧から計算した値(Magnus式による近似)
床下の地面に近い部分や北側の基礎まわりは、日射が当たらず、外気より温度が低い状態が続きやすい場所です。そこへ露点の高い外気が入り込むと、木材の表面がじわじわと湿り、カビにとって好都合な状態が長く続きます。9月も露点は13℃台と高めで、夏の湿気が抜けきらないまま秋を迎えることがあります。
反対に、12月から3月の外気の露点は氷点下になり、外気そのものは乾いた空気です。ただし、冬の床下は後で述べるように、雪による換気口のふさがりや水道管のトラブルなど、別の理由で湿気がたまる場合があります。季節ごとに原因が違う、と考えておくと点検の優先順位がつけやすくなります。
出典:気象庁「過去の気象データ」札幌 平年値(1991〜2020年)。露点は蒸気圧の平年値から計算した値(Magnus式による近似)
冬の床下環境:雪・凍結・基礎断熱の床下
札幌の冬の床下で最も注意したいのは、水道管の凍結と、それに続く漏水です。北海道の住まいには水抜き栓があり、長く家を空けるときや冷え込みの厳しい夜に水を抜くのが一般的ですが、水抜きを忘れて配管が凍ると、解けたときに継ぎ目から水がにじみ出ることがあります。床下の漏水は気づかれにくく、春先まで湿ったまま放置されがちです。
床断熱の家では、雪が基礎まわりに積もって床下換気口をふさいでしまうことがあります。屋根からの落雪や除雪の雪山が換気口の前にあると、床下の空気が入れ替わらず、湿気がこもったまま春を迎えることになります。開閉式の換気口を冬に閉じている場合は、春に開け忘れないことも大切です。
基礎断熱の床下は、室内に近い温度に保たれるため、配管が凍りにくいという利点があります。その反面、室内の換気が止まったり、浴室や洗面所の湿気が床下に流れ込んだりすると、湿気の逃げ場が少ない空間になります。24時間換気を止めない、床下に物を置いて空気の流れを妨げない、といった室内側の管理が床下の環境にも直結します。
また、新しく建てた家では、基礎コンクリートや木材に含まれていた水分が数年かけて抜けていきます。基礎断熱の家で床下にカビが出たときは、こうした初期の水分、配管の結露や小さな漏水、室内からの湿気の流入など、複数の原因が重なっていないかを順に確認することが大切です。
点検口から始める床下セルフチェックの手順
床下の点検は、床下収納のケースを持ち上げた下にある点検口や、洗面所・和室の床にある点検口から行います。潜り込む必要はなく、懐中電灯で照らしてのぞくだけでも多くのことがわかります。床下は釘や金物、断熱材の繊維などがあり、狭い空間での作業は危険ですので、無理に奥へ入らないようにしてください。
点検口を開けたら、まずにおいを確認する(土臭さ、かび臭さ、下水のようなにおい)
懐中電灯で土台・大引・床板の裏を照らし、白い綿状のもの、黒や緑の斑点がないかを見る
配管の継ぎ目や保温材の下に、水滴や濡れた跡、しみがないかを確認する
地面やコンクリートの表面に水たまりや湿った色の変化がないかを見る
床断熱の家は断熱材が垂れ下がったり、濡れて変色したりしていないかを見る
気になる箇所はスマートフォンで撮影し、日付と場所を記録しておく
点検の時期は、夏の湿気が残る9〜10月と、雪解け後の4〜5月の年2回が目安です。特に冬に水道の凍結や水漏れがあった年は、雪解けを待たずに一度確認しておくと安心です。下の表を点検の予定づくりに使ってください。
時期 | 主な点検ポイント | あわせて確認すること |
4〜5月(雪解け後) | 漏水の跡、配管まわりの湿り | 換気口前の雪山や落ち葉の撤去 |
7〜8月(高温多湿) | 木材表面の湿り、白い菌糸 | 換気口がふさがれていないか |
9〜10月(夏の後) | カビの広がり、においの変化 | 開閉式換気口の設定、冬支度 |
12〜2月(厳冬期) | 水抜きの実施、凍結の有無 | 換気口の雪ふさがり、落雪の位置 |
カビを見つけたときの対処と注意点
点検口の近くの木材に、薄く白い菌糸や小さな斑点が出ている程度であれば、まずは原因となっている湿気を止めることが先決です。漏水が見つかった場合は、水道業者に修理を依頼し、床下が乾くまで換気を確保します。原因が残ったまま表面だけを拭いても、同じ場所に再びカビが出やすくなります。
床下は狭く、空気の入れ替わりが少ない空間です。市販のカビ取り剤や消毒剤をスプレーすると、薬剤のミストや臭いがこもりやすく、作業する人が吸い込んでしまうおそれがあります。使用する場合は製品の表示に従い、換気と保護具を確保してください。塩素系の製品と酸性の製品を同じ場所で使うと有毒なガスが発生するため、混ぜたり続けて使ったりしないよう注意が必要です。
範囲が広い場合や、においが室内まで強く上がってくる場合、断熱材が濡れている場合は、専門の調査をおすすめします。当社では、木材の含水率測定で湿りの程度を数値で確認し、手の届かない奥の部分はファイバースコープで確認するなど、原因と範囲を見きわめてから対処方法をご提案しています。
カビバスターズのMIST工法®は、素材を削ったり強くこすったりせず、素材に合わせて調整した専用剤でカビを分解・除去し、仕上げに除菌を行う方法です。床下の木材のように削ると強度や寸法に影響が出る部材でも、素材をいためにくい点が特長です。ただし、どの方法でも湿気の原因への対策とセットで考えることが欠かせません。
床下に湿気をためない住まい方と改修の考え方
日常でできる対策は、換気口の前に物や雪を置かないこと、雨樋や屋根からの水が基礎まわりに集中しないようにすること、床下収納に濡れたものや食品を長期間しまいっぱなしにしないことです。特に建物の北側は雪が解けにくく、春まで湿った状態が続くため、除雪の際に雪山を基礎から少し離しておくと効果的です。
床断熱の家で夏の結露が繰り返される場合は、地面からの湿気を抑えるために防湿シートを敷いたり、防湿コンクリートを打ったりする改修が検討されます。基礎断熱の家では、室内の換気計画や、浴室・洗面所の湿気の扱いを見直すことが基本になります。いずれも家のつくりによって適した方法が違うため、施工した工務店や専門家に相談して決めることをおすすめします。
床下は一度きれいにしても、湿気の条件が変わらなければ再びカビが生える可能性があります。年2回の点検を習慣にし、冬の凍結や水漏れがあった年は必ず確認する、といったルールを家族で共有しておくと、早めの発見につながります。
原因 | 起きやすいつくり | 主な対策の方向 |
夏の湿った外気の流入 | 床断熱(換気口あり) | 地面の防湿、換気口前の障害物撤去 |
配管の凍結・漏水 | 両方(床断熱で多め) | 水抜きの徹底、配管の保温・修理 |
室内の湿気の流入 | 基礎断熱 | 24時間換気の継続、水まわりの換気 |
雪による換気不足 | 床断熱(換気口あり) | 雪山を基礎から離す、落雪位置の確認 |
よくある質問
Q. 床下換気口は冬の間ふさいだほうがいいですか?
A. 開閉式の換気口を寒さ対策として冬に閉じる住まいもありますが、閉じたままだと湿気がこもりやすくなります。閉じる場合でも春には必ず開け、雪で自然にふさがっていないかも確認してください。家のつくりによって考え方が違うため、施工した会社に確認するのが確実です。
Q. 北海道で床下換気口を閉める時期・開ける時期の目安は?
A. 開閉式の換気口の場合、最低気温が0℃を下回る日が増えて水道管の凍結が心配になる晩秋(札幌では11月ごろ)に閉じ、雪解けが進んで凍結の心配がなくなる春(4月ごろ)に開ける住まいが多く見られます。ただし住宅の仕様や凍結防止ヒーターの有無で適切な運用は変わるため、建てた会社や管理会社の案内を優先してください。開けたあとは、換気口の前に雪や物が残っていないかもあわせて確認しましょう。
Q. 基礎断熱の家なら床下のカビは心配ないですか?
A. 基礎断熱は配管が凍りにくいなどの利点がありますが、室内の換気が止まったり漏水があったりすると湿気の逃げ場が少ない空間になります。つくりに関係なく、年に数回は点検口から確認することをおすすめします。
Q. 床下のにおいが部屋に上がってきます。体への影響が心配です。
A. においの原因を突き止め、湿気とカビへの対策を進めることが大切です。咳や鼻の症状など気になる体調の変化がある場合は、医療機関にご相談ください。
Q. 自分で床下に潜って掃除してもいいですか?
A. 床下は狭く、釘や金物、断熱材の繊維などがあり、薬剤を使うと空気もこもりやすいため、奥まで入る作業はおすすめしません。点検口からの確認にとどめ、範囲が広い場合は専門業者にご相談ください。
まとめ
札幌の床下は、換気口のある床断熱と、換気口のない基礎断熱で湿気のたまり方が異なります。床断熱では夏の湿った外気による結露、基礎断熱では室内の湿気や漏水、そして両方に共通して冬の凍結と雪によるトラブルに注意が必要です。
まずはご自宅の床下のつくりを確認し、雪解け後と夏の後の年2回、点検口からにおい・湿り・菌糸をチェックすることから始めてみてください。原因がはっきりしない場合や範囲が広い場合は、含水率などを測ったうえで対処方法を考えることが、再発を防ぐ近道です。
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