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岩見沢のカビ対策|すが漏り・つらら・雪庇・雪山の融雪水が招く壁内と床下のカビ

10月25日
読了時間: 26分

更新日:1 日前

冬のあいだは何ともなかったのに、3月に入って天井の角にうっすらとシミが出てきた。春になって家具を動かしたら、外壁側の壁紙の下のほうが黒ずんでいた。床下点検口を開けたらカビ臭さが上がってきた――。豪雪地帯の住まいでは、こうしたご相談が雪解けの時期にまとまって寄せられます。原因として見落とされがちなのが「雪そのものが運んでくる水」です。屋根に積もった雪が暖房の熱で少しずつ解け、軒先で凍ってつららや氷の堤防をつくり、行き場を失った水が屋根の内側へ回り込む「すが漏り」。落雪や除雪で積み上がった雪に外壁の下部や換気口、基礎が何か月も埋もれ続けること。そして春先、家の周りの雪山が一気に解けて基礎まわりに水がたまること。どれも雨漏りのように分かりやすい症状は出にくく、気づいたときには春から初夏になっていることも少なくありません。しかし、壁の中や床下の木材を静かに湿らせ、カビが育つ条件を整えてしまいます。本記事では、道内でも有数の豪雪地帯である岩見沢の気象条件を気象庁の平年値で確認しながら、雪の水がどの経路で壁内・床下のカビにつながるのか、そして季節ごとにどこを点検すればよいのかを、カビ調査・除去の現場目線で整理します。

この記事の結論 道内有数の豪雪地帯・岩見沢では、屋根雪のすが漏りやつらら、雪庇、落雪で埋まる換気口や基礎、除雪の雪山の融雪水が、壁内や床下のカビにつながります。気象庁の平年値とともに水の経路と季節別の点検法を解説します。札幌・北海道の冬の住まいで気をつけたい点も、本文で解説しています。

第1章|岩見沢でカビが「雪の水」から始まる理由|気象庁の平年値で見る豪雪地帯の条件

まず、この地域の雪がどれほどの量なのかを数字で確認しておきます。気象庁の平年値(1991〜2020年)では、岩見沢の降雪の深さの年間合計は664cmです。降雪の深さとは、その日に新たに積もった雪の深さを足し合わせた値のことで、ひと冬のあいだに合計で6メートルを超える雪が降っている計算になります。月別に見ると12月が200cm、1月が187cm、2月が137cmと、冬の前半から中盤に集中しています。最深積雪の年間の平年値は120cmで、月別では2月が118cmと最も深く、1月が101cm、3月でも99cmあります。つまり、3月に入っても家の周りにはおおむね1メートル近い雪が残っているのが平年の姿です。

雪が多いこと自体は、カビとは直接関係がないように思えるかもしれません。しかし、雪は「凍った水の貯金」です。屋根や家の周りに積もった雪は、いずれ水に戻ります。その水が屋根の上で解けて凍ってを繰り返したり、外壁の足元に長期間とどまったりすると、建物の外側を守っている部材に負担がかかり、わずかなすき間から水分が内側へ入り込みます。室内側から見えない壁の中や床下は乾きにくいため、一度入った水分が長く残り、カビにとって都合のよい環境ができあがってしまいます。

気温の条件も見ておきましょう。同じく気象庁の平年値では、1月の平均気温は−5.3℃、日最低気温の平均は−9.2℃です。一方、3月になると日最高気温の平均が3.5℃まで上がり、日最低気温の平均は−4.5℃です。昼はプラス、夜はマイナスという日が続くため、日中に解けた雪が夜に再び凍る「凍結融解」が起こりやすくなります。凍結融解とは、水が凍ると体積が増え、解けると元に戻る動きを繰り返すことで、すき間を少しずつ広げてしまう現象です。この時期に、軒先の氷やつらら、外壁下部のすき間まわりのトラブルが目立ってくるのはそのためです。

湿度にも特徴があります。気象庁の平年値では、年間の平均相対湿度は77%で、12月と1月はいずれも81%です。外気の湿度が高い季節は、濡れた外壁や基礎まわりが乾きにくくなります。また、12月の日照時間の平年値は69.0時間と、1年で最も短くなります。日射で外壁や屋根が温まって乾く機会が少ないことも、雪由来の水分が建物に残りやすい理由のひとつです。

項目(気象庁 平年値 1991〜2020年・岩見沢)

値

住まいへの影響の目安

降雪の深さ 年間合計

664cm

屋根雪・落雪・除雪の雪山が大きくなりやすい

最深積雪(年間)

120cm

外壁下部・換気口・基礎が雪に埋まりやすい

最深積雪(3月)

99cm

雪解け期まで大量の雪が家の周りに残る

1月の日最低気温の平均

−9.2℃

軒先の氷やつららが成長しやすい

3月の日最高気温の平均

3.5℃

昼に解けて夜に凍る凍結融解が増える

12月・1月の平均相対湿度

81%

濡れた外装材が乾きにくい

雪の季節の長さも見逃せません。平年値では11月の降雪の深さ合計が70cm、3月が72cmあり、4月でも最深積雪の平年値は32cmです。冬の入口と出口にもまとまった雪があるため、屋根や外壁が雪と水にさらされる期間は、真冬の数か月だけにとどまりません。

さらに、同じ平年値では、積雪1cm以上が長く続く「長期積雪」の始まりが12月1日、終わりが4月6日とされています。約4か月にわたって地面が雪に覆われ続けるということです。この期間、建物の足元は常に雪と接しており、外壁の最下部や土台まわりは「乾く季節がない」状態に置かれます。当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、豪雪地帯のお住まいで見つかる壁内・床下のカビは、室内の結露だけでは説明できず、外からの雪解け水が関わっているケースが目立ちます。

ここで大切なのは、雪の多い地域のカビ対策は「室内の湿度管理」だけでは足りないという視点です。窓の結露や部屋干しの湿気に気を配っていても、屋根や外壁の足元から水が入っていれば、壁の中のカビは止まりません。次章からは、雪の水が建物に入り込む代表的な経路を、屋根、軒先、外壁、基礎、そして敷地の順に見ていきます。いずれも「冬に水が入り、春から初夏にカビとして表に出る」という時間差があるため、症状が出た時期だけでなく、その前の冬に何が起きていたかをさかのぼって考えることが、原因を突き止める手がかりになります。

第2章|すが漏りとつらら|軒先で凍った氷が雪解け水をせき止め、天井裏と壁の中へ

雪の多い地域ならではの水の入り方として、最初に知っておきたいのが「すが漏り」です。すが漏りとは、屋根の雪解け水が軒先で凍って氷の堤防のようになり、その氷にせき止められた水が屋根材の重なり目から逆流して、室内側へ漏れてくる現象です。雨漏りは上から降ってくる水が原因ですが、すが漏りは屋根の上で水がたまって「下から上へ」押し上げられるように入り込むのが特徴です。通常の雨では問題の出ない屋根でも起こり得るため、「雨漏りしたことがないのに天井にシミが出た」というご相談につながります。

すが漏りの出発点は、屋根の上の雪が下から解けることにあります。北海道の住宅は暖房期間が長く、概ね10月から4月まで暖房を使い続けます。室内と屋外の温度差が大きいため、断熱や気密に弱い部分があると、室内の熱が天井裏へ伝わり、屋根の表面を温めます。すると屋根に積もった雪の底の部分だけが解け、水となって軒先へ流れていきます。ところが軒先は室内の熱が届きにくく、外気で冷やされているため、流れてきた水はそこで再び凍ります。これを繰り返すうちに軒先の氷は厚くなり、つららも伸びていきます。すが漏り自体は札幌や旭川の住宅でも見られる現象ですが、屋根に載る雪の量が多い地域ほど、解け水の量も氷の堤防も大きくなりやすいといえます。

つららが大きく育つ家は、それだけ屋根の上で雪が解けている家だともいえます。つららは見た目の問題や落下の危険として語られることが多いのですが、カビの視点では「屋根の上に水が生まれているサイン」として捉えることが大切です。軒先の氷の堤防が高くなると、その手前に解けた水がたまり、屋根材の重なり目や板金の継ぎ目、屋根と外壁の取り合いといった弱い部分から、少しずつ屋根の内側へ入り込みます。

入り込んだ水は、まず屋根の下地や天井裏の断熱材を湿らせます。天井裏は人の目が届かず、冬は窓を開けて換気することもできません。豪雪期は窓を開けにくく、室内の空気を入れ替える機会も減るため、室内の湿気が天井裏に上がりやすい条件も重なります。濡れた断熱材は乾きにくく、そのまま春を迎えると、気温の上昇とともにカビが一気に広がることがあります。天井のシミが出るのは、水がそれなりの量まで達してからであり、シミが見えた時点で天井裏ではすでに湿った状態が続いていたと考えたほうが安全です。

比較項目

すが漏り

雨漏り

室内の結露

主な時期

厳冬期〜雪解け期

雨の日・雨のあと

暖房期全般

水の出どころ

屋根雪の解け水

降雨

室内の水蒸気

水の動き

軒先の氷でせき止められ逆流

上から下へ浸入

冷たい面で水滴化

出やすい場所

軒に近い天井・外壁上部

屋根の不具合箇所の真下

窓まわり・外壁側の壁

気づきにくさ

晴れた日に起こるため気づきにくい

雨と結び付けやすい

目に見えやすい

表のとおり、すが漏りは「晴れて気温が上がった日」に起こりやすいのが厄介な点です。雨の日に天井を確認しても症状が出ないため、原因の特定が遅れがちになります。当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、軒に近い部屋の天井の隅、外壁の上部と天井が接する入隅、2階の押入れの天井などに、春先になってシミやカビが見つかる例が多くあります。

すが漏りが壁の中に回り込むこともあります。屋根と外壁の取り合い部分から入った水は、外壁の内側を伝って下へ流れ、壁の中の断熱材や柱、室内側の石こうボードを湿らせます。こうなると壁紙の表面にはっきりしたシミが出る前に、壁の内側でカビが広がっていることがあります。壁紙の浮きや、壁の一部だけ触ると冷たい、部屋に入るとかび臭いといった変化は、見逃さずに記録しておくとよいでしょう。

対策としては、まず室内の熱が天井裏へ逃げないようにすることが根本になります。天井の断熱が不十分な部分や、照明器具・点検口まわりのすき間は、熱と湿気の通り道になりやすい場所です。また、軒先に大きなつららが育つ場合は、屋根の雪下ろしや軒先の氷の処理を専門業者に依頼することも検討してください。屋根の上での作業は転落などの危険が伴いますので、ご自身での無理な作業は避けることをおすすめします。あわせて、春に雪が解けたら、軒に近い部屋の天井や外壁側の壁の上部を見回り、シミや壁紙の浮き、かび臭さがないかを確認してください。冬のあいだに撮っておいたつららの写真と見比べると、すが漏りが起きていた場所の見当をつけやすくなります。

第3章|雪庇・屋根雪・無落雪屋根|屋根の形ごとに異なる水の入り口と小屋裏の湿気

屋根の上の雪がつくる水の問題は、すが漏りだけではありません。次に注意したいのが「雪庇(せっぴ)」です。雪庇とは、風によって運ばれた雪が屋根の端から外へ庇のように張り出して固まったものです。雪庇は重さで軒先や雨どいを傷めるだけでなく、屋根の端に雪と氷の塊が長く居座ることで、その付け根の部分に解け水がたまりやすくなります。雪庇の付け根は屋根材の端部や板金の折り返しにあたることが多く、わずかなすき間から水が入り込むきっかけになります。

屋根の形によって、雪と水の動き方は大きく変わります。北海道では、雪を屋根の上に載せたまま自然に解かして排水する「無落雪屋根」が多く採用されています。無落雪屋根は、屋根の中央付近に設けた排水口(スノーダクトと呼ばれることもあります)から、建物の内部を通る配管で雪解け水を流す仕組みが一般的です。落雪の心配がない反面、排水口が落ち葉や氷でふさがったり、配管の途中で水が凍ったりすると、屋根の上に水がたまり、防水層の継ぎ目や立ち上がり部分から建物の内側へ浸入するおそれがあります。

三角屋根のように雪を落とすタイプの屋根では、屋根雪そのものは落ちていきますが、落ちきらずに軒先に残った雪がすが漏りや雪庇の原因になります。片流れ屋根では、雪が一方向に集中して落ちるため、落雪側の外壁や基礎が大量の雪に埋まりやすいという別の問題が生まれます。これについては次章で詳しく扱います。

屋根のタイプ

雪と水の主な動き

カビにつながりやすいポイント

無落雪屋根(排水口付き)

屋根の上で解かし、内部の配管で排水

排水口の詰まり・配管の凍結による屋根上の滞水、配管まわりの結露

三角屋根(落雪型)

勾配で雪を落とす

軒先に残る雪のすが漏り、雪庇の付け根からの浸水

片流れ屋根

一方向へ集中して雪を落とす

落雪側の外壁下部・基礎が長期間埋まる

屋根と外壁の取り合い・下屋

上の屋根の雪が下の屋根に落ちてたまる

壁と屋根の境目からの浸水、壁内の断熱材の湿り

屋根の上の問題と深く関わるのが、小屋裏(屋根と天井のあいだの空間)の湿気です。小屋裏には外気を取り入れて湿気を逃がすための換気口が設けられていますが、雪が多い地域ではこの換気口が雪でふさがってしまうことがあります。北海道の住宅は暖房期間が概ね10月から4月までと長く、そのあいだ室内は暖かく、屋外は氷点下という大きな温度差が続きます。室内の湿った空気が天井のすき間から小屋裏へ上がると、冷えた屋根の裏側に触れて結露し、霜となって付着します。これが春先に一斉に解けると、断熱材や天井板を濡らし、カビの原因になります。

豪雪期は窓を開けて換気しにくいため、室内に水蒸気がこもりやすくなります。調理や入浴、洗濯物の室内干しで出た湿気の行き場がなくなると、一部は天井のすき間を通って小屋裏へ向かいます。そのうえ屋根の雪で小屋裏の換気口がふさがれていれば、湿気は逃げ場を失います。屋根の外側からはすが漏りや雪庇の解け水、内側からは室内の湿気と結露という、二方向から水分が集まってしまうのが豪雪地帯の小屋裏の特徴です。

当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、小屋裏のカビは、野地板(屋根材の下に張られた板)の裏側や、垂木(屋根を支える斜めの木材)に沿って黒い斑点状に広がっていることが多く見られます。天井の点検口から懐中電灯で照らすだけでも、黒ずみや木材の変色、断熱材のへこみ・シミといった手がかりが見つかる場合があります。ただし、小屋裏は足場が悪く、断熱材を踏み抜く危険もありますので、中に入っての確認は専門業者にお任せください。点検口から見える範囲に異常がなくても、軒先に近い奥の部分だけに症状が出ていることもあるため、天井のシミやかび臭さが続く場合は調査を検討されると安心です。

屋根まわりの予防としては、秋のうちに雨どいや排水口の落ち葉・ごみを取り除いておくこと、冬のあいだは雪庇が大きく育つ前に対応を検討すること、そして春に雪が解けたあと、天井や小屋裏にシミや変色がないかを確認することが基本になります。屋根の形によって注意点が異なるため、ご自宅の屋根がどのタイプかを把握しておくことが、点検の第一歩です。設計図書や建築時の資料が残っていれば、排水口の位置や小屋裏換気口の場所もあわせて確認しておくと、冬のあいだの見回りがぐっと楽になります。

第4章|落雪で埋まる外壁下部・換気口・基礎|床下と壁の足元が「乾かない」状態になる仕組み

屋根から落ちた雪や、屋根の雪下ろしで下ろした雪は、建物のすぐ脇に積み上がります。雪の多い年には、1階の窓の高さ近くまで雪が迫ることも珍しくありません。気象庁の平年値でも、この地域の2月の最深積雪は118cmあり、地面に積もった雪だけでも1メートルを超えます。そこへ屋根からの落雪が加わると、建物の外壁の足元は、ひと冬のあいだ厚い雪の壁に押し付けられた状態になります。

雪に埋もれた外壁の下部では、何が起きているのでしょうか。雪は冷たく乾いたもののように見えますが、建物に接している部分は室内からわずかに伝わる熱や日中の気温上昇で少しずつ解け、外壁の表面を常に湿らせています。外壁材の継ぎ目や、外壁と基礎の境目にある水切り(雨水を外へ逃がす金物)のすき間から水が入り込むと、壁の最下部にある土台や断熱材が湿り続けます。土台とは、基礎の上に据えられ、柱を支える横向きの木材のことです。ここが長期間湿った状態になると、カビだけでなく木材の腐朽につながるおそれもあります。

もうひとつ大きな問題が、床下の換気口がふさがれることです。基礎に床下換気口を設けている住宅では、外の空気を床下に取り込み、湿気を逃がす仕組みになっています。この換気口が雪に埋まると、床下の空気が入れ替わらなくなり、湿気がこもります。さらに、雪解けの時期には、換気口のすぐ外まで来ている解け水が換気口から床下へ流れ込むこともあります。当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、春の床下点検で、換気口の真下の土や束(床を支える短い柱)の根元だけが湿っていたり、そこから放射状にカビが広がっていたりする例がみられます。

雪に埋まる箇所

起こりやすいこと

カビ・劣化への影響

外壁の下部・水切りまわり

解け水が継ぎ目から浸入

土台・壁内断熱材の湿り、壁紙下部の黒ずみ

床下換気口

換気停止・解け水の流入

床下の湿気滞留、束・大引のカビ

基礎の立ち上がり

長期間の濡れと凍結融解

基礎表面の劣化、床下への水分移動

24時間換気の給気口・排気口

換気量の低下

室内湿度の上昇、結露の増加

FF式暖房などの給排気筒

給排気の妨げ

機器の停止・不完全燃焼の危険(安全上最優先)

表の最後に挙げた暖房機器の給排気筒については、カビ以前に安全の問題として強く意識していただきたい点です。外壁から突き出したFF式ストーブやボイラーの給排気筒が雪でふさがると、機器が正常に給気・排気できなくなり、停止や不完全燃焼につながるおそれがあります。取扱説明書やメーカーの案内に従い、給排気筒の周りは常に雪を取り除いておいてください。異常を感じた場合は使用を止め、販売店やメーカーにご相談ください。

24時間換気の給気口や排気口が外壁の低い位置にある住宅も注意が必要です。これらが雪に埋まると、計画どおりの換気ができなくなり、室内の湿度が上がります。北海道の冬は暖房期間が長く、豪雪期には窓を開けて空気を入れ替えることも難しいため、機械換気が止まると室内の水蒸気の逃げ場がほとんどなくなります。室内外の温度差が大きい季節ですから、湿度の上がった空気は外壁側の壁や窓まわり、押入れの奥などの冷たい面で結露し、外から入った雪解け水と合わせて、壁の中を二重に湿らせてしまいます。

埋まりやすい場所は、住宅ごとにほぼ決まっています。屋根の落雪方向の外壁、除雪した雪を寄せる側の外壁、風下で吹きだまりができる面などです。まずはご自宅の外周を見て、どの面に雪がたまりやすいかを把握しておきましょう。そのうえで、換気口や給排気筒の周りだけでも雪をよけておく、外壁から少し離れた場所に雪を寄せる、といった工夫が有効です。雪が外壁に直接押し付けられない距離を確保するだけでも、壁の足元の濡れ方は変わってきます。物置や車庫の壁際、ウッドデッキの下など、雪が長く残りやすい場所が建物に接している場合は、そこも見回りの対象に加えておきましょう。

室内側からできる確認もあります。雪に埋まりやすい面の部屋で、幅木(壁と床の境目の化粧材)の近くの壁紙が浮いていないか、家具の裏の壁の下部に黒い点が出ていないか、床がひんやりと湿っぽく感じないかを見てみてください。外から見えない壁の足元の変化は、室内側の最下部に最初に表れることが多いため、春先の模様替えや大掃除のついでに確認する習慣をつけておくと安心です。

第5章|除雪の雪山と融雪期の浸水|3〜4月に基礎まわりから床下へ水が回る流れ

冬のあいだ、玄関先や駐車スペースを除雪した雪は、敷地の空いている場所に積み上げられます。雪の多い地域では、この「雪山」がひと冬で人の背丈を超える高さになることも少なくありません。問題になるのは、雪山を建物のすぐそばに作ってしまった場合です。雪山は冬のあいだは静かにそこにありますが、春になると大量の水に変わります。気象庁の平年値では、この地域の長期積雪の終わりは4月6日とされています。3月から4月上旬にかけて、家の周りの雪と雪山が集中的に解け、敷地内には短期間に多くの水が発生します。

雪解け水が建物に向かって流れる敷地では、基礎の周りに水たまりができやすくなります。地面がまだ凍っていて水が地中に染み込まない時期には、水は表面を流れて低いほうへ集まります。基礎の周りの地面が建物側に傾いていたり、雪山が建物と道路のあいだに壁のように残っていたりすると、行き場を失った水が基礎に沿ってたまり続けます。この水が基礎の換気口や配管の貫通部、基礎と土台のすき間から床下へ入り込むと、床下の土や木材が一気に湿ります。

床下に入った水は、乾くまでに時間がかかります。床下は日が当たらず、空気の流れも限られているからです。春から初夏にかけて気温が上がると、湿った床下はカビにとって好条件になります。当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、5月から7月ごろに「床下からかび臭さが上がってくる」「1階の押入れの下段だけカビる」といったご相談が入り、調べてみると雪解け期に床下へ水が回った痕跡が見つかる、という流れがみられます。

時期

敷地・建物で起きること

注意したいポイント

12月〜1月

雪山が成長、外壁下部が雪に埋まる

雪山は建物から離して作る、換気口の周りを確保

2月

積雪が最も深くなる

落雪側の外壁と給排気筒の周りを確認

3月

昼に解けて夜に凍る日が増える

軒先の氷、つらら、天井のシミを確認

4月上旬

長期積雪の終わり、雪山が一気に解ける

基礎まわりの水たまり、換気口への水の流入

5月〜7月

気温上昇で床下・壁内が乾ききらない

かび臭さ、1階の押入れ・収納下部の黒ずみ

融雪期の浸水は、大雨による床下浸水のように目に見える被害ではないため、見過ごされやすいのが特徴です。床上まで水が来ることはなく、数日で水たまりも消えてしまうため、「何も起きなかった」と判断されがちです。しかし、床下の土や基礎の内側、束や大引(床を支える太い横木)の根元が一度濡れると、その湿気は室内側へも少しずつ上がってきます。北海道の住宅は気密性が高いものが多く、冬の暖房期間を通じて室内を閉め切っている時間が長いため、床下から上がった湿気が室内にこもりやすい点にも注意が必要です。

雪山の位置を工夫するだけでも、融雪期のリスクはかなり抑えられます。建物の外壁からできるだけ距離をとる、基礎の換気口の前には積まない、雪解け水が道路側や排水ますのほうへ流れる位置に積む、といった点を意識してください。敷地に余裕がない場合でも、春先に雪山を少しずつ崩して日の当たる場所へ広げておくと、一度に大量の水が基礎まわりに集まるのを避けやすくなります。雪山を崩す作業は、屋根からの落雪の危険がない場所で、周囲の安全を確かめながら行ってください。

また、雪が解けたあとの基礎まわりの状態を観察しておくことも大切です。基礎の表面に水の跡が線状に残っていないか、換気口の下に泥がたまっていないか、地面が建物側に向かってへこんでいないかを確認しましょう。こうした痕跡は、翌年以降も同じ場所に水が集まるサインです。水の通り道が分かれば、次の冬の雪山の位置や、排水の改善を考える手がかりになります。敷地の勾配や排水ますの改善が必要な場合は、外構工事を扱う業者に相談するとよいでしょう。

室内からは、床下点検口を開けて確認する方法があります。雪解けが終わった4月中旬から5月ごろに、点検口から懐中電灯で床下を照らし、土の表面が黒く湿っていないか、基礎の内側に水の跡がないか、木材に白い綿状や黒い斑点状のものが付いていないかを見てみてください。かび臭さが強い場合や、床下に水が残っている場合は、無理に潜らずに専門業者へ相談するのが安全です。春の雪解け水が多い地域では、この「雪解け後の床下点検」を毎年の恒例にしておくことをおすすめします。

第6章|豪雪地帯の住まいで実践する季節別点検と、壁内・床下カビの調べ方

ここまで見てきたように、雪の多い地域のカビは、屋根、軒先、外壁の足元、基礎、敷地という複数の経路から入る水が関わっています。しかも、それぞれの水は冬のあいだ雪や氷に隠れていて、症状として表に出るのは春から初夏にかけてです。そのため、カビが見えてから慌てるのではなく、季節ごとに「どこを見ておくか」を決めておくことが、被害を小さく抑える近道になります。

季節

屋外で見るところ

室内で見るところ

秋(10月〜11月)

雨どい・屋根の排水口の詰まり、換気口の周りの物

天井・壁の既存のシミを写真で記録

冬(12月〜2月)

つらら・雪庇の大きさ、給排気筒・換気口の埋まり

24時間換気が動いているか、窓以外の結露

雪解け期(3月〜4月)

軒先の氷、雪山の位置、基礎まわりの水たまり

軒に近い天井の隅、外壁側の壁の上部と下部

春〜初夏(5月〜7月)

基礎の水の跡、換気口の下の泥

床下点検口からの確認、1階収納のかび臭さ

秋の点検では、冬に入る前の状態を記録しておくことが重要です。天井や壁にすでにあるシミを写真に撮っておけば、春に比べたときに広がったかどうかを判断できます。冬は安全が確保できる範囲で、つららや雪庇の育ち方、換気口や給排気筒の周りの雪を見ておきます。雪解け期と春から初夏は、この記事で取り上げた症状が最も表に出やすい時期ですので、とくに丁寧に確認してください。

自分で確認できる範囲を超えて、壁の中や床下の状態を知りたい場合は、専門の調査を検討します。当社では、まず建材の水分量を数値で確かめる含水率測定を行います。含水率測定とは、木材や石こうボードにどれくらい水分が含まれているかを計測器で調べる方法で、見た目では分からない湿りを把握するのに役立ちます。すが漏りや雪解け水の浸入が疑われる場所の周辺を面的に測ると、水がどこから入り、どこまで広がっているのかの見当がつきます。

壁の中や床下のように直接見えない場所は、小さな穴から細いカメラを差し込むファイバースコープ調査で確認する方法があります。壁を大きく壊さずに内部の断熱材や木材の状態を目で確かめられるため、どの範囲の処置が必要かを判断する材料になります。さらに、カビの種類や量を把握したい場合には、表面の菌を採取して培養する付着菌検査(有料オプション)などを組み合わせます。検査の組み合わせは現地状況により異なりますので、症状と建物の状態を見たうえでご提案しています。

調査で大切なのは、カビを取り除くことと同時に、水の入り口を突き止めることです。すが漏りが原因であれば屋根や断熱の対策、換気口の埋まりや雪解け水の流入が原因であれば敷地の排水や雪の置き場所の見直しが必要になります。入り口をそのままにしてカビだけを除去しても、翌年の雪解けで同じことが繰り返されるおそれがあります。屋根や外装の修理が必要な場合は、工務店や屋根・板金の専門業者と連携して進めるのが一般的です。

ご相談いただく際には、症状に気づいた時期、そのときの天候(晴れて気温が上がった日か、雨の日か)、シミやカビが出た部屋と方角、屋根の形、冬に雪がたまりやすい面、雪山を置いていた場所といった情報があると、原因の見当をつけやすくなります。冬のあいだに撮影したつららや雪庇、雪に埋まった換気口の写真も、雪が解けたあとでは確認できない貴重な手がかりになります。スマートフォンで日付入りの写真を残しておくだけでも十分役に立ちます。毎年同じ場所から同じ向きで撮っておくと、年ごとの違いも比べやすくなります。

関連記事:ファイバースコープ調査とは?壁を壊さず壁内・床下のカビを調べる方法

関連記事:浸水していなくても大雨のあとカビは出る

なお、壁内や床下のカビの除去では、木材や断熱材などの素材をなるべく傷めずに処理することが求められます。当社のMIST工法®は、素材の性質に合わせて専用の薬剤を調整し、こすったり削ったりする作業をできるだけ抑えて処理する工法です。施工範囲や方法は、調査結果と建物の状態を踏まえて個別に判断します。費用も現地状況により異なりますので、調査結果をもとに内容をご説明したうえでお見積りをお出ししています。雪の水が関わるカビは、原因の特定と除去、再発を防ぐための環境の見直しをひと続きで考えることが大切です。

まとめ|雪の水の通り道を知ることが、豪雪地帯の壁内・床下カビ対策の出発点

最後に、この記事の要点を振り返ります。気象庁の平年値(1991〜2020年)で見ると、岩見沢は降雪の深さの年間合計が664cm、最深積雪の年間平年値が120cmという、道内でも雪の多い地域です。長期積雪は平年で12月1日から4月6日まで続き、3月でも最深積雪は99cmあります。この大量の雪は、春にはすべて水に戻り、建物のさまざまな場所に負担をかけます。

雪の水が建物に入る経路は、大きく分けて四つあります。一つ目は、屋根の雪が室内の熱で下から解け、軒先で凍った氷にせき止められて逆流する「すが漏り」です。二つ目は、雪庇や屋根の上の滞水、無落雪屋根の排水口の詰まりなど、屋根の形に応じた水の入り口です。三つ目は、落雪や雪下ろしの雪に外壁下部・換気口・基礎が長期間埋もれ、壁の足元と床下が乾かなくなることです。四つ目は、除雪で積み上げた雪山が融雪期に一気に解け、基礎まわりから床下へ水が回ることです。どれも冬のあいだは雪と氷に隠れ、春から初夏にかけてシミやかび臭さとして表に出てくるのが共通点です。

そして、暖房期間が概ね10月から4月までと長く、豪雪期には窓を開けにくいという北海道の住まいの条件が、室内側からの湿気と結露を重ね合わせます。外からの雪解け水と内からの結露という二つの水分が壁の中や小屋裏、床下で出会うことで、カビが育ちやすい環境ができあがってしまいます。だからこそ、室内の湿度管理に加えて、屋根と建物の足元、敷地の水の流れにまで目を向けることが大切です。

水の経路

主なサイン

今すぐできること

すが漏り

大きなつらら、軒に近い天井のシミ

天井のシミを記録、屋根作業は専門業者へ

雪庇・屋根上の滞水

屋根の端の張り出し、排水口まわりの氷

秋に排水口と雨どいを清掃

外壁下部・換気口の埋まり

壁紙下部の浮き・黒ずみ

換気口・給排気筒の周りの雪をよける

雪山の融雪水

基礎の水の跡、床下のかび臭さ

雪山を建物から離す、雪解け後に床下を確認

Q. 天井にシミが出たのは3月の晴れた日でした。雨漏りではないのでしょうか?

A. 雨が降っていない日に症状が出た場合、すが漏りの可能性が考えられます。軒先に大きなつららや氷ができていなかったかを思い出してみてください。いずれにしても、シミが出た時点で天井裏の断熱材や木材が湿っている可能性がありますので、雪が解けたら早めに含水率測定などで状態を確認することをおすすめします。

Q. 床下からかび臭さがしますが、浸水した覚えはありません。雪解けと関係がありますか?

A. 融雪期には、基礎まわりにたまった雪解け水が換気口や配管のすき間から床下へ入ることがあり、住んでいる方が気づかないうちに床下が湿っているケースがあります。冬のあいだ雪山を建物の近くに置いていた場合や、換気口が雪に埋まっていた場合はとくに注意が必要です。においが続く場合は、床下の調査をご検討ください。体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。

雪の多い地域では、雪そのものを減らすことはできません。しかし、雪の水がどこから入り、どこにたまりやすいのかを知っておけば、点検のタイミングと場所を絞り込むことができます。秋に排水口と換気口の周りを整え、冬につららや雪庇、雪に埋もれた換気口を確認し、雪解け期と春から初夏に天井・壁・床下の変化を見る。この流れを毎年繰り返すことで、壁内や床下のカビを早い段階で見つけやすくなります。気になる箇所を見つけたら、広がる前に記録し、必要に応じて専門家の目で確かめることが、住まいを長く健やかに保つことにつながります。

カビバスターズ北海道では、含水率測定や付着菌検査、ファイバースコープ調査などの各種調査で水の入り口とカビの広がりを確かめたうえで、MIST工法®による除去、カビが生えにくい環境づくりまでをワンストップでご提案しています。すが漏りや雪解け水が関わるカビは、原因の特定と再発を防ぐための環境の見直しが欠かせません。空知エリアをはじめ、札幌・旭川・函館・帯広・釧路・北見など北海道全域に対応しております。天井のシミ、壁の下部の黒ずみ、床下のかび臭さなど、雪解けのあとに気になる変化があれば、どうぞお気軽にご相談ください。※菌検査は施工前に行う有料オプションです。


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カビバスターズ北海道(MPソリューション株式会社)

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対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。

料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。

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