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ファイバースコープ調査とは?壁を壊さず壁内・床下のカビを調べる方法

10月6日
読了時間: 27分

更新日:1 日前

こんにちは、カビバスターズ北海道です。当社には「壁紙の裏からカビ臭がする気がするけれど、壁を壊してまで確かめるのは抵抗がある」「床下が湿っているようだが、点検口から覗いても奥までは見えない」といったご相談が、季節を問わず寄せられます。壁の中や床下は、住まいの中でもっとも目が届きにくい場所です。しかも北海道の住宅は高気密高断熱化が進んでいるぶん、いったん内部で結露や水分の滞留が起きると、表面に症状が出るまでに時間がかかる傾向があります。気づいたときには壁の内側で広範囲にカビが広がっていた、という事例も当社の現場では珍しくありません。一方で、原因がはっきりしないまま壁や床を大きく解体するのは、費用面でも暮らしへの影響の面でも負担が大きいものです。そこで役立つのが「ファイバースコープ調査」です。細いカメラを小さな穴や点検口から差し入れ、壁内や床下の様子を映像で確認する方法で、住宅の内視鏡調査とも呼ばれ、解体の前に内部の様子を確かめる手段として活用されています。本記事では、ファイバースコープ調査の仕組みと必要性、具体的な調査の流れ、見つかりやすい異常、北海道の住宅ならではの注意点、そして含水率測定や付着菌検査(有料オプション)との組み合わせ方までを、現場目線でわかりやすく解説します。

この記事の結論 壁の中や床下のカビが気になるけれど、壊してまで調べたくない方へ。ファイバースコープ調査の仕組みや流れ、見つかりやすい異常、北海道の住宅で注意したい点、含水率測定・付着菌検査との組み合わせ方を解説します。

第1章|ファイバースコープ調査とは?小さな穴から壁内・床下を確認する検査

ファイバースコープ調査とは、先端にレンズや小型カメラを備えた細長い管状の機器を、壁や天井にあけた小さな穴、あるいは既存の点検口から内部へ差し込み、ふだんは見ることのできない空間の状態を映像で確認する調査です。医療の世界で使われる胃カメラの住宅版をイメージしていただくとわかりやすいと思います。人が入れない狭い壁の中や、床下の奥まった場所であっても、カメラが届く範囲であれば、カビの有無や木材の変色、断熱材の状態などを目で見て判断できるようになります。

もともと「ファイバースコープ」は、光ファイバーの束で像を手元まで伝える光学式の内視鏡を指す言葉です。現在の住宅調査では、先端に撮像素子を組み込んだタイプが主流で、こちらはビデオスコープや工業用内視鏡と呼ばれることもあります。撮像素子とは、光を電気信号に変えて映像にする部品のことです。呼び名は機器によって異なりますが、住宅業界では両者をまとめて「ファイバースコープ調査」「内視鏡調査」と呼ぶことが一般的で、本記事でもこの意味で用います。

最近の機器は、先端にLEDライトを備えているため真っ暗な壁の中でも撮影でき、手元の操作で先端の向きを変えられるものもあります。モニターに映った映像はその場でお客様と一緒に確認でき、写真や動画として記録を残せる点も大きな特長です。記録が残ることで、施工範囲を確認したり、リフォーム会社や管理会社と情報を共有したりするときの客観的な資料になります。

調査の最大のメリットは、壁や床を大きく壊さずに内部の状況を把握できることです。穴をあける場合でも、その大きさはカメラが通る程度にとどまり、使用する機器や状況によって異なりますが、一般的には数ミリから十数ミリ程度で済むことがほとんどです。調査後は目立たないように補修できるため、住みながら調査を行うことも十分に可能です。点検口や床下収納、コンセントボックス、換気口などの既存の開口部を利用できる場合は、新たに穴をあけずに済むこともあります。

ただし、ファイバースコープ調査は万能ではありません。カメラが映せるのは先端が届いた範囲だけで、断熱材の裏側や、柱や筋かいで仕切られた隣の空間までは見通せないことがあります。筋かいとは、柱と柱の間に斜めに入れて建物を補強する部材のことです。また、映像で「黒っぽいシミ」が見えても、それがカビなのか、単なる汚れや木材本来の色なのかは、映像だけでは判断しきれない場合があります。そのため当社では、ファイバースコープ調査を単独で行うよりも、他の検査と組み合わせて総合的に判断することを基本としています。

比較項目

ファイバースコープ調査

部分解体による調査

目視・触診のみ

壁・床へのダメージ

小さな穴か既存の開口部のみ

壁材・床材の撤去が必要

なし

確認できる範囲

カメラの届く範囲の内部

解体した範囲の内部全体

表面のみ

記録の残しやすさ

写真・動画で残せる

写真で残せる

記録が残りにくい

住みながらの実施

しやすい

生活への影響が大きい

しやすい

主な役割

内部の状況把握と解体範囲の絞り込み

最終的な確認と施工

初期の気づき

このように、ファイバースコープ調査は「表面の観察」と「解体」の中間に位置する調査です。いきなり壁を壊すのではなく、まず内部を覗いて状況を把握し、本当に解体が必要なのか、必要ならどこをどれだけ開ければよいのかを判断する。この順番を踏むことが、住まいへの負担を最小限に抑えながら原因にたどり着くための近道だと当社では考えています。

調査で見られる範囲をイメージしていただくために、代表的な調査箇所も挙げておきます。壁の中であれば、外壁に面した壁、浴室や洗面所に隣接する壁、押し入れやクローゼットの奥の壁などが中心です。床下では、床下収納や点検口を起点に、土台や大引、配管まわり、基礎の外周部を確認します。天井裏や小屋裏も、点検口があれば同じ方法で調べられます。小屋裏とは、屋根と最上階の天井の間にある空間のことです。いずれの場所でも、カメラの先端を少しずつ進めながら、気になる箇所を順に記録していきます。住まい全体を一度に調べるのではなく、症状の出ている場所の周辺から優先的に確認するのが基本です。

第2章|なぜファイバースコープ調査が必要なのか|見えない内部リスクの発見

結論から申し上げると、ファイバースコープ調査が必要なのは、住宅のカビや湿気のトラブルの多くが「見えない場所」から始まるからです。室内の壁紙にカビが浮き出てきたとき、その裏側ではすでに石こうボードや下地の木材、断熱材にまで湿気が及んでいることがあります。表面のカビだけを拭き取っても、内部に原因が残っていれば、同じ場所に何度も再発してしまいます。現場でよく目にするのが、「毎年同じ壁の同じ位置にカビが出る」というお住まいで、調べてみると壁の内側で結露が繰り返されていたというケースです。

見えない内部リスクには、いくつかの代表的なパターンがあります。ひとつは壁内結露です。壁内結露とは、室内の暖かく湿った空気が壁の中に入り込み、外気で冷やされた部分で水滴に変わる現象のことです。ほかにも、給排水管のわずかな漏水、屋根や外壁からの雨水の浸入、床下の地面から上がってくる湿気などが挙げられます。いずれも室内側からは直接見えないため、気づいたときには被害が広がっていることが少なくありません。

北海道の住宅では、この「見えないリスク」がさらに表面化しにくい事情があります。まず暖房期間が長く、地域差はあるものの概ね10月から4月ごろまで、半年以上にわたって室内を暖め続けます。その間、室内と屋外の温度差は非常に大きくなり、札幌や旭川の真冬には、室内が20℃前後でも屋外は氷点下という日が続きます。温度差が大きいほど、壁の中で空気が冷やされて結露が生じやすくなります。さらに豪雪期には窓を開けて換気することが難しく、室内で発生した水蒸気が逃げ場を失い、わずかなすき間から壁内や小屋裏へ移動していきます。

もうひとつの事情は、高気密高断熱住宅の構造そのものです。気密性の高い住まいは暖かさを保つうえで優れていますが、防湿層に小さな破れや施工のすき間があると、そこから入った水蒸気が壁の中にとどまりやすくなります。防湿層とは、室内側の湿気が壁の中へ入らないように貼られるシートのことです。断熱材に囲まれた壁の中は乾きにくく、いったん湿るとカビが育ちやすい環境が長く続きます。春になって暖房を止めたあと、夏にかけて急にカビ臭が強くなるのは、冬の間に内部へたまった湿気が影響している可能性があります。

表面に現れるサイン

内部で起きている可能性のあること

ファイバースコープで確認したい場所

壁紙の浮き・シミ・変色

壁内結露、下地ボードの吸湿

該当箇所の壁の中、断熱材の表面

部屋のカビ臭が取れない

壁内・床下でのカビの発生

臭いの強い壁際、床下の奥

床のきしみ・柔らかさ

床下木材の吸湿・腐朽

大引・根太まわり、床下の土台

天井のシミ

雨漏り、小屋裏結露、配管の漏水

天井裏、小屋裏の野地板

巾木付近の黒ずみ

床下からの湿気の上昇

壁の最下部、床下の外周部

表にあるような症状が見られるとき、原因を推測だけで判断して工事を進めると、見当違いの場所を解体したり、本当の原因を見落としたりするおそれがあります。ファイバースコープ調査で内部の状況を先に確認しておけば、原因箇所の見当をつけたうえで対策を検討できます。解体が必要な場合でも、開ける範囲を必要な部分に絞り込めるため、工事の規模や生活への影響を抑えやすくなります。これは、除去の効果を長持ちさせるためにも大切なことです。

また、健康面が気になるご家族にとっても、見えない場所の状態を把握する意味は小さくありません。カビと体調の関係は個人差が大きく、症状の原因を断定することはできませんが、気になる症状がある場合はまず医療機関にご相談いただき、そのうえで住まいの側の状況を調べておくと安心材料になります。ファイバースコープ調査は、そうした住環境の確認の第一歩として活用できる方法です。

当社の現場での傾向として、ご相談の多い時期は、暖房を本格的に使い始める初冬と、雪解けから梅雨明けにかけての時期です。これは統計ではありませんが、冬の結露が壁内に蓄積し、暖かくなる季節にカビの繁殖やにおいとして表れる流れと一致しています。函館のように比較的温暖な地域でも、海に近く湿気の多い立地では同様の相談が見られます。季節ごとの症状の変化を記録しておくと、調査の際に原因を絞り込むうえで大いに役立ちます。

第3章|調査の方法|穴あけの位置・大きさと調査の流れ

ここからは、実際のファイバースコープ調査がどのような手順で進むのかをご紹介します。調査の流れは住まいの状況によって多少異なりますが、当社では大きく「ヒアリング」「事前確認」「穴あけ位置の決定」「撮影」「補修」「報告」という段階で進めています。いずれの段階でも、お客様に内容をご説明し、了承をいただいてから次へ進むことを大切にしています。

最初のヒアリングでは、いつごろから、どの部屋で、どのような症状が気になっているのかを伺います。「冬になると北側の壁紙が浮く」「雪解けの時期に床下からカビ臭がする」といった季節との関係は、原因を推測するうえで重要な手がかりになります。北海道では暖房期間中と夏場で症状の出方が変わることが多いため、できるだけ具体的にお聞きするようにしています。建築時期や断熱リフォームの有無、過去の水漏れ履歴なども伺います。

次の事前確認では、表面の状態を目視し、必要に応じて含水率計や温湿度計で数値を確認します。そのうえで、壁の中に電気配線や給排水管、ガス管がないかを確認します。これは、穴あけで配線や配管を傷つけないための大切な工程です。下地センサーなどの機器で柱や配線の位置を探り、図面が残っていれば図面とも照らし合わせます。下地センサーとは、壁の裏にある柱や金属の位置を表面から探知する道具のことです。

穴あけの位置は、症状が出ている場所の近くで、かつ補修跡が目立ちにくい場所を選びます。たとえば、家具の裏になる位置、巾木のすぐ上、クローゼットや押し入れの内部などです。可能であれば、コンセントやスイッチのボックス、換気口、点検口、床下収納といった既存の開口部を利用し、新たな穴をあけずに調査することを優先します。穴の大きさは使用する機器によって異なりますが、カメラが通る最小限にとどめます。

調査の段階

主な作業内容

お客様にご確認いただくこと

ヒアリング

症状・時期・履歴の聞き取り

気になる場所と季節、過去の工事歴

事前確認

目視・数値測定・配線や配管の位置確認

図面の有無、点検口の場所

穴あけ位置の決定

既存開口部の活用を優先して位置を選定

穴をあける位置と大きさへの了承

撮影

カメラを挿入し内部を撮影・記録

モニターでの映像の立ち会い確認

補修

調査穴をふさぎ、目立たないよう処理

補修後の見た目

報告

写真・映像をもとに所見を説明

次に行う検査や施工の方針

撮影の段階では、カメラを少しずつ差し込みながら、先端の向きを変えて上下左右を確認します。壁の中では断熱材の表面、柱や間柱の側面、構造用合板の裏側などを、床下では土台や大引、根太、基礎の立ち上がりや地面の状態を順に映していきます。大引とは床を下から支える太い横木で、根太はその上に並べて床板を受ける細い横木のことです。気になる部分は静止画と動画の両方で記録し、場所がわかるように撮影位置も控えておきます。

撮影中は、お客様にもモニターを見ていただきながら進めることが多く、「思っていたより乾いていた」「ここまで広がっているとは思わなかった」といった率直な感想をいただきます。ご自身の目で内部を確かめていただくことが、その後の対策を納得して選んでいただくうえで大切だと当社では考えています。

調査が終わったら、あけた穴は専用のキャップやパテなどでふさぎます。壁紙の仕上げまで元どおりにするには別途の内装補修が必要になる場合もありますが、多くは目立たない程度に処理できます。調査時間は住まいの規模や調査箇所の数によって異なり、費用も現地状況により異なるため、事前にお見積りのうえでご案内しています。最後に撮影した映像をお客様と一緒に確認しながら、見えたものが何を意味するのか、次にどのような検査や対策が考えられるのかをご説明します。

なお、調査中は室内の家具を大きく動かす必要がない場合がほとんどですが、点検口の上に物が置かれていたり、床下収納の中に食品などが入っていたりすると、事前に片付けをお願いすることがあります。また、ペットや小さなお子様がいらっしゃるご家庭では、作業中に機器へ近づかないようご配慮いただくと安全に進められます。穴あけの際に出る粉じんは最小限にとどまるよう養生を行い、作業後は清掃してからお引き渡しします。気になる点があれば、調査当日に遠慮なくお声がけください。

第4章|壁内・床下で見つかる代表的な異常(カビ、腐朽、断熱材のズレなど)

ファイバースコープ調査では、さまざまな異常が見つかります。ここでは、当社の現場でよく確認される代表的なものをご紹介します。なお、以下は当社の現場での傾向であり統計ではありません。また、映像だけで断定できないものもあるため、見つかった異常の意味は他の検査結果と合わせて判断することが大切です。

もっとも多いのは、やはりカビです。壁の中では、構造用合板や石こうボードの裏面、断熱材の表面、柱の側面などに、黒や緑、白っぽい斑点状や綿状のものとして映ることが多くあります。特に北側の外壁に面した壁の内側や、浴室・洗面所に隣接する壁の中、押し入れの奥の壁などで見つかりやすい傾向があります。床下では、土台や大引の表面、基礎の立ち上がりの内側などに広がっていることがあります。ただし、木材の節や経年による変色、ほこりの付着がカビのように見える場合もあるため、映像だけで判断しないよう注意しています。

次に多いのが、木材の腐朽やその前段階の変色です。腐朽とは、木材腐朽菌と呼ばれる菌類によって木材が分解され、強度が落ちていく現象のことです。映像では、木材の表面が黒ずんでいたり、繊維がほぐれたように見えたり、ひび割れていたりすることがあります。腐朽が進んでいるかどうかは映像だけでは判断が難しいため、必要に応じて含水率測定や、点検口から手の届く範囲での打診などを組み合わせて確認します。

断熱材のズレや脱落も、よく見つかる異常のひとつです。壁の中のグラスウールなどの断熱材が、施工時のすき間や経年の自重によって下へずり落ち、上部に断熱材のない部分ができていることがあります。断熱材のない部分は外気の冷たさが直接伝わるため、室内側の壁表面が冷えやすく、結露やカビの原因になります。床下では、床断熱材が垂れ下がったり、外れて地面に落ちていたりするケースも見られます。

見つかる異常

映像での見え方の例

考えられる原因

あわせて行いたい確認

カビ

黒・緑・白の斑点状や綿状の付着

結露、漏水、湿気の滞留

付着菌検査で種類や量を確認

木材の変色・腐朽

黒ずみ、繊維のほぐれ、ひび割れ

長期間の高含水状態

含水率測定、打診

断熱材のズレ・脱落

上部の空洞、垂れ下がり、落下

施工時のすき間、自重、湿気による重み

室内側の表面温度の確認

水染み・水滴

木材や合板の輪じみ、光る水滴

壁内結露、配管の漏水、雨水の浸入

含水率測定、配管の確認

防湿層の破れ

シートの裂け目やすき間

施工時の損傷、後からの配線工事

該当箇所周辺のカビの有無

異物・残材

木くず、段ボール、施工時のごみ

建築時の残置物

残材まわりのカビの有無

表のとおり、同じ異常でも原因はひとつとは限りません。たとえば断熱材のズレと水染みが同じ場所で見つかった場合、断熱材が湿気を吸って重くなりずり落ちたのか、ずり落ちた結果として結露が起きたのか、順序によって対策の考え方が変わります。

水染みや水滴の痕跡も重要な手がかりです。合板や木材に輪じみのような跡がある場合、過去に水が伝った可能性があります。配管まわりに水滴や湿った跡が見られれば、漏水を疑う必要があります。水の痕跡がどの方向から続いているかを追うことで、原因箇所に近づけることもあります。

意外に多いのが、建築時の残材です。床下に木くずや段ボールの切れ端が放置されていると、それ自体が湿気を吸ってカビの温床になることがあります。当社の現場でも、床下のカビ臭の原因をたどったところ、奥に置き去りにされた残材に広くカビが付着していた、という例がありました。こうした異物は表からは決して見えないため、内部を映像で確認することの意味を実感する場面です。

見つかった異常は、その場で「重い」「軽い」と決めつけず、範囲、原因の見当、ほかの検査で確認すべき点を整理してお伝えしています。異常が見つからなかった場合も、それ自体が「この場所は原因ではない可能性が高い」という大切な情報になり、調査範囲を絞り込むうえで役立ちます。

映像の読み取りには経験が求められます。同じ黒い点でも、カビの集落なのか、木材の樹脂がにじみ出たものなのか、単なる汚れなのかは、周囲の湿り具合や広がり方、においなどを総合して見極める必要があります。当社では、映像の所見に加えて現場の状況や数値を記録し、「確認できたこと」と「推測にとどまること」を分けてご報告するよう心がけています。推測の段階のものを断定的にお伝えしないことが、適切な対策につながると考えているからです。

第5章|北海道の住宅(床下換気口・基礎断熱)で注意したいポイント

北海道でファイバースコープ調査を行う際には、本州の住宅とは異なる注意点がいくつかあります。その代表が、床下の断熱の方法の違いです。北海道の住宅の床下は、大きく「床断熱」と「基礎断熱」の2つに分けられます。どちらの方式かによって、床下の空気の性質や、カビが発生しやすい場所、調査で重点的に見るべきポイントが変わってきます。

床断熱とは、1階の床のすぐ下に断熱材を入れ、床下の空間を屋外と同じ扱いにする方式です。このタイプの住宅では、基礎に床下換気口が設けられ、外気を通して床下の湿気を逃がす仕組みになっています。ところが北海道では、冬季に床下換気口が雪で埋まったり、凍結を防ぐためにふさがれたりすることがあります。換気口の前に雪が積もると床下の空気が動きにくくなり、雪解けの時期には融雪水が基礎まわりにたまって、床下の湿度が上がる原因になります。帯広や北見のように冬の冷え込みが厳しい地域では、床下の配管の凍結対策が優先され、換気が後回しにされている例も見受けられます。

一方、基礎断熱とは、床下ではなく基礎の立ち上がり部分に断熱材を施工し、床下を室内と同じような空間として扱う方式です。比較的新しい高気密高断熱住宅に多く見られ、床下換気口は設けられないのが一般的です。基礎断熱の床下は室内の空気とつながっているため、床下でカビが発生すると、そのにおいや空気の影響が室内に及びやすいという特徴があります。また、新築から間もない時期には、基礎のコンクリートに含まれる水分がゆっくりと放出されるため、床下の湿度が高くなりやすい点にも注意が必要です。

比較項目

床断熱(床下換気口あり)

基礎断熱(床下換気口なし)

床下空間の扱い

屋外に近い空間

室内に近い空間

北海道で起きやすいこと

換気口の雪による閉塞、融雪期の湿気

基礎コンクリートからの水分放出、空気のよどみ

カビが見つかりやすい場所の例

土台・大引・床断熱材の裏面

基礎断熱材の表面、基礎の隅、土台まわり

調査で重点的に見る点

換気口まわりの通気、断熱材の垂れ下がり

床下の空気の流れ、断熱材と基礎のすき間

室内への影響

床面の冷えや結露

床下の空気が室内に流れ込みやすい

北海道の床下調査では、調査の時期にも気を配っています。真冬は床下が冷え込み、結露の状態を観察しやすい反面、点検口まわりに雪や凍結の影響があると作業がしにくくなることがあります。反対に、雪解けから初夏にかけては、冬の間にたまった湿気の影響が表面化しやすく、カビ臭の相談が増える時期でもあります。どちらが適しているかは症状によって異なるため、ご相談の内容に応じて調査の時期をご提案しています。

もうひとつ北海道ならではの注意点は、床下の深さです。寒冷地では、地面が凍って持ち上がる凍上を防ぐため、基礎を深く設計することが一般的です。凍上とは、土の中の水分が凍って膨らみ、地面や基礎を押し上げる現象のことです。こうした住宅では床下の空間が広く、人が入れる場合もありますが、奥まで進むのが難しい箇所や、配管が密集して入り込めない箇所も少なくありません。そうした場所こそファイバースコープの出番で、人が近づけない奥の土台や配管の裏側までカメラを差し入れて確認します。

また、壁内調査では、北海道の住宅に多い厚みのある断熱材が、カメラの進入を妨げることがあります。断熱材を無理に押しのけると断熱性能を損なうおそれがあるため、当社では断熱材を傷めないよう慎重に操作し、必要に応じて調査位置を変えるなどの工夫をしています。地域の住宅事情を理解したうえで調査を行うことが、正確な判断につながると考えています。同じ北海道でも、沿岸部と内陸部、建築年代や工法によって注意点は異なるため、一軒ごとの事情に合わせて調べ方を組み立てています。

こうした北海道特有の条件を踏まえると、床下の調査では「床下の空気がどのように流れているか」という視点も欠かせません。床断熱の住宅では換気口の位置と数、ふさがれていないかを確認し、基礎断熱の住宅では床下の空気が室内とどのようにつながっているかを確認します。映像で見えたカビの位置が、空気のよどみやすい隅や、外気に冷やされやすい北側の基礎沿いに集中しているようであれば、原因は換気や温度差にある可能性が高まります。調査結果は、このように住まい全体の空気と温度の流れと結びつけて読み解いています。

第6章|含水率測定・付着菌検査との組み合わせ方

ここまでお伝えしてきたように、ファイバースコープ調査は壁内や床下の「今の姿」を映像で確かめられる、非常に有効な調査です。しかし、映像からわかるのはあくまで見た目の情報です。その部分がどれくらい湿っているのか、見えているものが本当にカビなのか、どのような種類のカビなのかといった点は、映像だけでは判断しきれません。そこで当社では、ファイバースコープ調査を含水率測定や付着菌検査と組み合わせ、それぞれの長所を生かして総合的に判断しています。

含水率測定とは、木材などの材料にどれくらいの水分が含まれているかを数値で確認する検査です。ファイバースコープの映像で木材の変色や水染みが見つかったとき、その部分の含水率を測ることで、現在も湿っているのか、過去に濡れて今は乾いているのかを見分ける手がかりになります。反対に、含水率測定で数値の高い場所が見つかったときには、その内側をファイバースコープで覗くことで、湿気の原因や影響の範囲を映像で確認できます。数値と映像を行き来することで、原因の見当をより確かなものにしていきます。

付着菌検査とは、壁や木材などの表面に付いている菌を専用の器具で採取し、培養してカビの有無や種類の傾向を調べる検査です。ファイバースコープで「カビのように見える」ものが映った場合、調査穴や点検口から届く範囲で採取を行えば、それが実際にカビなのか、どのような性質のカビが多いのかを確認できます。映像による「見える化」と、検査による「確かめ」を組み合わせることで、除去や環境改善の方針を立てやすくなります。

検査・調査

わかること

単独での限界

組み合わせる効果

ファイバースコープ調査

壁内・床下の見た目の状態、異常の位置と範囲

湿り具合やカビの種類は判断しにくい

他の検査の対象箇所を絞り込める

含水率測定

材料に含まれる水分の量

内部の見た目や原因の位置はわかりにくい

映像で見えた異常が今も続いているか判断しやすい

付着菌検査

表面に付着したカビの有無と種類の傾向

採取できる範囲が限られる

映像で見えたものがカビかどうかを確かめられる

実際の組み合わせ方の一例をご紹介します。まず、室内の気になる壁や床の表面を含水率計で測り、数値の高い場所を探します。次に、その近くでファイバースコープ調査を行い、壁内や床下の状態を映像で確認します。カビのようなものが見つかれば、届く範囲で付着菌検査の検体を採取します。こうして「どこが湿っているか」「内部がどうなっているか」「何が生えているか」を順に確かめることで、施工の範囲や方法を根拠をもって決められるようになります。もちろん、住まいの状況によって順番や組み合わせは変わりますので、調査前に最適な方法をご提案しています。

また、北海道では季節によって内部の湿り具合が大きく変わるため、一度の調査結果だけで判断せず、必要に応じて暖房期と夏場の2回に分けて確認することもあります。季節をまたいで比べることで、結露由来なのか、漏水などの常時の水分由来なのかを見分けやすくなります。

施工範囲の判断にも、この組み合わせは役立ちます。除去施工の前に、ファイバースコープで壁内や床下の映像を記録しておくと、カビの範囲や状態をご家族や関係者と共有しやすくなります。あわせて含水率や付着菌の状態を確認すれば、内部環境の変化を数値と映像の両面から把握できます。

組み合わせる際に意識しているのは、「調べる順番」と「調べすぎない」ことです。すべての箇所であらゆる検査を行えば情報は増えますが、時間も費用もかかり、お住まいへの負担も大きくなります。まず数値や症状から当たりをつけ、ファイバースコープで内部を確認し、必要な場所に絞って菌の検査を行う。この段階的な進め方によって、必要十分な情報を効率よく集めることを目指しています。調査の結果、大がかりな施工が必要ないとわかることもあり、その場合は日常の換気や暖房の使い方などの改善点をお伝えしています。

それぞれの検査について、より詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:北海道の住宅はなぜカビが生えやすい?高気密高断熱住宅と結露の関係

まとめ|ファイバースコープ調査を依頼する判断基準

本記事では、ファイバースコープ調査の仕組みから必要性、調査の流れ、見つかりやすい異常、北海道の住宅ならではの注意点、そして他の検査との組み合わせ方までを解説してきました。最後に、どのようなときにファイバースコープ調査を検討するとよいのか、その判断基準を整理しておきます。

まず振り返りとして、ファイバースコープ調査は、小さな穴や既存の開口部から細いカメラを差し入れ、壁内や床下を映像で確認する調査です。壁や床を大きく壊さずに内部の状態を把握でき、写真や動画で記録を残せることが特長です。北海道の住宅は暖房期間が長く、室内外の温度差が大きく、豪雪期には窓を開けにくいことから、壁内結露や床下の湿気が表面に現れにくい傾向があります。そのため、表面の症状だけで判断せず、内部を確かめることに大きな意味があります。一方で、映像だけでは湿り具合やカビの種類までは判断しきれないため、含水率測定や付着菌検査と組み合わせることが大切です。

では、具体的にどのような場合に依頼を検討するとよいのでしょうか。下の表に、当社がご相談を受ける中で調査をおすすめすることの多い状況をまとめました。いずれか一つでも当てはまる場合は、一度内部の状態を確認しておくと安心です。

こんなときは検討を

理由

同じ壁や床に何度もカビが再発する

表面ではなく内部に原因が残っている可能性がある

部屋のカビ臭の発生源がわからない

壁内や床下など見えない場所に原因がある可能性がある

壁紙の浮きやシミ、床のきしみがある

下地や床下木材が湿気の影響を受けている可能性がある

過去に漏水や雨漏りがあった

内部に湿気やカビが残っていないか確認できる

リフォームや断熱改修を検討している

工事前に内部の状態を把握し、計画に反映できる

中古住宅の購入や入居を控えている

見えない部分の状態を事前に確認できる

一方で、表面にごく小さなカビが一度出ただけで、拭き取り後に再発がない場合などは、まず換気や暖房の使い方を見直し、経過を見るという選択肢もあります。調査の必要性はお住まいの状況によって異なりますので、判断に迷う場合はご相談いただければ、状況を伺ったうえでご提案いたします。

特にリフォームを検討している方にとっては、工事の前に内部の状態を知っておくことが大切です。壁や床を開けてから想定外のカビや腐朽が見つかると、工事内容の変更が必要になることがあります。事前にファイバースコープ調査で状況を把握しておけば、必要な対策を計画に組み込みやすくなります。

Q. ファイバースコープ調査で壁にあけた穴は、そのまま残ってしまいますか?

A. 調査後は、専用のキャップやパテなどでふさぎ、目立たないように補修します。可能な場合は点検口やコンセントボックスなど既存の開口部を利用し、新たな穴をあけずに調査することを優先しています。穴の位置も、家具の裏やクローゼットの内部など目立ちにくい場所を選びますので、事前にご相談ください。

Q. ファイバースコープ調査だけで、カビの種類までわかりますか?

A. 映像からわかるのは色や広がり方などの見た目の情報で、カビの種類までは判断できません。種類の傾向を知りたい場合は、付着菌検査などの検査を組み合わせる必要があります。当社では、映像で気になる箇所が見つかった場合、届く範囲で検体を採取し、検査結果とあわせてご報告しています。

また、調査結果は写真や動画としてお渡しできるため、ご家族との相談や、リフォーム会社、管理会社との打ち合わせにもご活用いただけます。「どこに、どのような状態のものがあったか」を共有できることで、その後の対策を関係者全員が同じ認識で進めやすくなります。

見えない場所の不安は、実際に見てみることで具体的な対策に変わります。壊す前に、まず覗いて確かめる。この手順を踏むことで、住まいへの負担を抑えながら、カビの原因に一歩ずつ近づくことができます。

カビバスターズ北海道では、ファイバースコープ調査をはじめ、含水率測定、付着菌検査などの各種調査から、MIST工法®によるカビの除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案までをワンストップで行っています。MIST工法®は、素材を傷めにくいことを重視した工法で、住まいの状態に合わせて施工内容をご提案します。札幌・旭川・函館・帯広・釧路・北見をはじめ、北海道全域に対応しています。壁の中や床下のカビが気になる方、原因がわからず困っている方は、どうぞお気軽にご相談ください。※菌検査は施工前に行う有料オプションです。


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カビバスターズ北海道(MPソリューション株式会社)

所在地:〒064-0807 北海道札幌市中央区南7条西1丁目6-2

受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝休み)

対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。

料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。

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