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札幌市営住宅の結露・カビ対策|築30年以上が約7割の団地で入居者と管理者ができること

10月16日
読了時間: 26分

更新日:23 時間前

こんにちは、カビバスターズ北海道です。2026年の秋も深まり、札幌では朝晩の冷え込みとともに「窓の下が濡れている」「押入れの奥がかび臭い」というご相談が増える季節になりました。なかでも当社に寄せられることが多いのが、市営住宅や公営住宅にお住まいの方、団地の自治会役員の方、そして公営住宅の管理・修繕を担当される方からのお問い合わせです。札幌市の資料「市営住宅の管理概要」によると、令和5年度末時点で札幌市営住宅は95団地・724棟・管理戸数26,486戸あり、そのうち築30年以上の住戸が約7割(18,751戸)を占めています。昭和40〜50年代に建てられた鉄筋コンクリート造の団地は、現在の住宅に比べて外壁側の断熱が薄かったり、断熱が途切れる部分が残っていたりすることが多く、北側の居室や押入れ、浴室まわりで結露とカビが繰り返されやすい傾向があります。本記事では、札幌市営住宅に多い結露・カビの仕組みを整理したうえで、入居者の方が毎日の暮らしでできることと、管理者側が修繕・換気設備・断熱改修・空き住戸の管理で取り組めることを分けて、現場目線で解説します。修繕の申し出方や管理窓口への伝え方についても触れますので、2026年度の冬を迎える前の準備として、ぜひお役立てください。

この記事の結論 札幌市営住宅は築30年以上が約7割。昭和40〜50年代築のRC団地に多い外壁側の断熱不足や熱橋による結露・カビの仕組みを解説し、北側居室・押入れ・浴室で入居者ができる対策と、修繕・換気設備・空き住戸管理など管理者側の取り組みを整理します。

第1章|札幌市営住宅の現状と、築年数の古い団地で結露・カビが相談されやすい理由

最初に、札幌市営住宅がどのような状況にあるのかを数字で確認しておきます。札幌市の資料「市営住宅の管理概要」によると、令和5年度末の時点で、札幌市営住宅は95団地・724棟、管理戸数は26,486戸です。このうち築30年以上の住戸は18,751戸で、全体の約7割にあたります。札幌市全体で見ても、札幌市の「ストックマネジメント」に関する資料では、市有建築物は約2,300施設・延べ約550万㎡あり、1970〜80年代に建設されたものが多く、築30年以上の割合が高いとされています。市営住宅もこの大きな流れの中にある建物群だといえます。

築年数が長いこと自体が、ただちにカビの原因になるわけではありません。しかし、昭和40〜50年代に建てられた鉄筋コンクリート造(RC造=鉄筋とコンクリートで骨組みをつくる構造)の団地は、建設当時の設計の考え方や基準が現在とは異なり、外壁の内側に入っている断熱材が薄い、あるいは部分的にしか入っていないケースが見られます。コンクリートは熱を伝えやすく、冷えると長い時間冷たいままになる性質があるため、外気に面した壁や床、天井の表面温度が下がりやすく、そこで室内の水蒸気が水滴に変わります。これが結露です。

当社が札幌市内の集合住宅で結露・カビのご相談を受けるときにも、現場でよく目にするのが「北側の部屋の外壁の角」「押入れの奥の壁と床の取り合い」「浴室の天井や出入口まわり」「窓の下の壁紙」といった箇所です。いずれも、室内の暖かく湿った空気が、冷えた面に触れやすい場所です。これは当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、同じ団地の同じ間取りの住戸で、似た位置にカビが出ているという話は珍しくありません。建物の構造上の条件が共通しているためだと考えられます。

もうひとつの特徴は、入居者の方の暮らし方と建物の条件が重なって症状が出る点です。市営住宅には、ご高齢の単身世帯、子育て世帯、日中はほとんど在宅している世帯など、さまざまな暮らし方の方が住んでいます。在宅時間が長く暖房をしっかり使う世帯では室内の水蒸気量が多くなりやすく、逆に留守がちで暖房を控えめにする世帯では壁の表面温度が下がりやすくなります。どちらの場合も結露のきっかけになりうるため、「この家だけが悪い」と一方的に決めつけず、建物側と暮らし側の両面から原因を探ることが大切です。

また、結露やカビは入居者だけ、管理者だけで解決しにくい問題でもあります。入居者の方は日々の換気や家具の置き方で対策できますが、外壁の断熱や換気設備の性能は入居者の努力では変えられません。一方で、管理者側が修繕や設備更新を計画しても、日常の使い方が伴わなければ効果は限られます。本記事で「入居者ができること」と「管理者ができること」を分けて整理するのは、そのためです。

自治会の役員の方からは「同じ棟で何軒もカビの話を聞くが、どこに相談すればよいのか分からない」という声もよく伺います。結露やカビは、においや見た目の問題にとどまらず、壁紙や押入れの中の布団・衣類、家具の裏側まで傷めることがあり、放置するほど手当ての範囲が広がりがちです。体調への影響が心配な場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。まずは「どの部屋の、どの位置に、いつごろ出るのか」を把握することが、入居者・管理者どちらにとっても対策の第一歩になります。

項目

札幌市の資料に示された数値

カビ対策の視点から読み取れること

団地数・棟数

95団地・724棟(令和5年度末)

団地ごとに建設年代や構造が異なり、対策の優先順位づけが必要

管理戸数

26,486戸(令和5年度末)

一戸ずつの個別対応だけでなく、団地単位の傾向把握が有効

築30年以上の住戸

18,751戸、約7割(令和5年度末)

断熱・換気の考え方が現在と異なる時代の住棟が多い

市有建築物全体

約2,300施設・延べ約550万㎡、1970〜80年代建設が多い(ストックマネジメント)

市営住宅も含め、計画的な修繕の中で湿気対策をどう位置づけるかが課題

次章では、こうした築年数の古いRC団地で、具体的にどのような仕組みで結露が起きるのかを、札幌の冬の気候とあわせて見ていきます。

第2章|築年数の古いRC団地で結露が起きる仕組み|外壁側の断熱不足と熱橋

結露は、暖かく湿った空気が冷たい面に触れて冷やされ、空気が抱えきれなくなった水蒸気が水滴として現れる現象です。専門的には、空気中の水蒸気が水滴に変わり始める温度を「露点温度」と呼びます。つまり、壁や窓の表面温度が露点温度を下回ったところで結露が起きる、ということです。室内の湿度が高いほど露点温度は高くなり、壁の表面温度が低いほど結露しやすくなります。古い団地で結露が多いのは、この「壁の表面温度が下がりやすい」条件がそろっているためです。

ひとつめの条件は、外壁側の断熱不足です。昭和40〜50年代築のRC団地では、外壁の室内側に貼られた断熱材が現在の住宅より薄いケースがあり、冬の冷気がコンクリートを通して室内側の壁面まで伝わりやすくなります。壁紙の上からは見えませんが、外壁に面した壁を手のひらで触ると、間仕切り壁よりはっきり冷たく感じることがあります。その冷たい面に、室内の水蒸気が集まって結露するのです。

ふたつめは熱橋です。熱橋(ヒートブリッジ)とは、断熱材が途切れて、熱が外へ逃げやすくなっている部分のことを指します。RC造の建物では、外壁と床スラブ(各階の床になっているコンクリートの板)がつながる部分、外壁と間仕切り壁や梁・柱が交わる部分、バルコニーの付け根などが典型的な熱橋になりやすい場所です。部屋の隅や天井と外壁の境目に、帯状・線状にカビが出ている場合は、この熱橋に沿って表面温度が下がっている可能性があります。

みっつめは、北側の居室です。日射が当たりにくい北側の外壁は、一日を通して温まりにくく、冬のあいだ冷えた状態が続きます。団地では北側に寝室や子ども部屋、押入れが配置されている間取りも多く、夜間に人が寝ている部屋で呼吸による水蒸気が加わり、朝方に結露が集中するという流れが起こりがちです。北側の部屋の結露と家具配置については別記事でも取り上げていますので、本記事では団地の構造に起因する部分を中心に説明します。

よっつめは、押入れと浴室の換気不足です。押入れは扉を閉めている時間が長く、室内の暖かい空気が入りにくいため、外壁に接した奥の壁が冷えたままになります。そこに布団や衣類がぎっしり詰まっていると空気がまったく動かず、わずかな結露でも乾く機会がありません。浴室は入浴のたびに大量の湯気が発生する場所で、換気扇の能力が低かったり、換気扇の運転時間が短かったりすると、天井や壁に水分が残り続けます。古い団地では換気扇や給気口が当時の仕様のままという住戸もあり、日常の使い方と設備の両面で見直す余地があります。

ここで、北海道・札幌ならではの条件も押さえておきます。北海道の暖房期間は概ね10月〜4月と長く、半年近く室内と屋外の温度差が大きい状態が続きます。温度差が大きいほど外壁側の表面温度は下がり、結露しやすくなります。さらに1〜2月の豪雪期は、雪や厳しい寒さで窓を開けにくく、換気の回数が減りがちです。気象庁の平年値(札幌管区気象台、1991〜2020年)では、札幌の初霜は10月25日ごろ、初雪は10月28日ごろ、根雪の始まりは12月6日ごろとされています。10月下旬から冷え込みが本格化し、12月以降は雪に閉ざされる期間が長く続く、というのが札幌の冬の基本的な流れです。

窓まわりも、古い団地では結露の出やすい場所です。建設当時のサッシやガラスは、現在の断熱性の高い窓に比べて表面温度が下がりやすく、窓ガラスやアルミの枠で結露した水が窓台や窓下の壁へ流れ落ち、壁紙のシミやカビにつながることがあります。窓の結露は目に見えやすいため拭き取りの対象になりやすい一方で、窓の下の壁や床との境目は見落とされがちです。窓そのものだけでなく、水が流れていく先まで確認することが、団地の窓まわりのカビを抑えるポイントになります。

結露が出やすい部位

主な原因

見られやすいサイン

北側居室の外壁

日射が少なく外壁の表面温度が低い、断熱が薄い

壁紙の黒い点状のカビ、壁紙の浮き・はがれ

部屋の隅・天井と外壁の境目

床スラブや梁の熱橋で局所的に冷える

線状・帯状のカビ、隅だけの変色

押入れの奥・床面

外壁に接し、空気が動かず温まりにくい

布団や段ボールの裏の湿り、かび臭さ

浴室の天井・出入口

湯気が多く換気不足になりやすい、外壁側の冷え

天井の黒カビ、ドア枠やパッキンの黒ずみ

窓まわり・窓下の壁

サッシやガラスの表面温度が低い

窓枠の水たまり、窓下の壁紙のシミ

このように、古い団地の結露は「建物の冷えやすい場所」と「室内の水蒸気」の組み合わせで起こります。建物の冷えやすさは管理者側の修繕で、水蒸気の量や空気の流れは入居者の暮らし方で、それぞれ働きかけられる部分があります。

第3章|札幌の冬の暮らしと結露の季節サイクル|10月下旬から春までの流れ

市営住宅の結露とカビは、一年中同じように起きるわけではありません。札幌の気候に沿って、どの時期にどのような変化が起こりやすいのかを知っておくと、入居者も管理者も先回りして手を打ちやすくなります。ここでは、2026年度の秋から2027年の春にかけての流れをイメージしながら整理します。

まず秋口です。日本気象協会(tenki.jp)では、雪虫(トドノネオオワタムシ)を見かけてから10日〜2週間ほどで平地に初雪が降る、という経験則が紹介されています。札幌で雪虫が舞い始めるころは、朝晩の冷え込みが強まり、暖房を使い始める家庭が増える時期です。夏のあいだに建物や家具、押入れの中にたまった湿気が抜けきらないまま暖房が始まると、室内の水蒸気が外壁側の冷えた面に集まり、初めての結露が見られるようになります。

次に、初霜・初雪の時期です。気象庁の平年値(札幌管区気象台、1991〜2020年)では、初霜が10月25日ごろ、初雪が10月28日ごろです。この時期から窓ガラスの結露が目立ち始め、北側の部屋や押入れの奥でも壁の表面温度が下がってきます。暖房の使用時間が長くなる一方で、まだ「窓を開けて換気できる」季節でもあるため、晴れた日中に短時間でも空気を入れ替えることが効果的です。

そして根雪の時期です。同じく気象庁の平年値では、根雪の始まりは12月6日ごろとされています。ここから春まで、札幌は雪に覆われた状態が続きます。豪雪期はベランダに雪が積もって窓が開けにくくなり、寒さのため換気を控えてしまう方も少なくありません。室内外の温度差は最も大きくなり、外壁側・北側・押入れの結露が最も出やすい時期です。当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、1〜2月に結露が続いた住戸では、3〜4月ごろになってからカビの広がりに気づくケースが多く見られます。

冬の団地で見落とされやすいのが、室内の水蒸気の発生源です。北海道の暖房期間は概ね10月〜4月と長く、この間は洗濯物を室内に干すご家庭が大半になります。煮炊きや入浴、人の呼吸からも水蒸気は出続けており、窓を開けにくい豪雪期には、それらが室内にこもったまま外壁側の冷えた面で結露します。特に住戸の広さが限られる団地では、洗濯物を北側の部屋や押入れの前に干すことも多く、結露しやすい場所にさらに水蒸気を足してしまうことがあります。干す場所を暖房の効いた部屋の中央寄りにし、換気扇を回しながら干すなど、小さな工夫で結露の量を抑えることができます。

最後に春です。雪解けとともに気温が上がり、暖房を止める日が増えると、冬のあいだ湿ったままだった壁紙の裏や押入れの床、家具の裏側で、カビが一気に目に見える形になることがあります。「冬は結露を拭いていたのに、春になったらカビが出た」という相談が多いのはこのためです。冬のあいだの結露対策と、春先の点検・乾燥をセットで考えることが大切です。

札幌市内でも、中央区や北区の比較的市街地にある団地と、南区や手稲区など山沿い・郊外の団地とでは、積雪や冷え込みの感じ方が異なることがあります。同じ市営住宅でも、団地の立地や住棟の向き、階数によって結露の出方は変わります。管理者の方は団地ごとの傾向を、入居者の方はご自分の住戸の傾向を把握しておくと、翌年以降の対策に活かしやすくなります。

時期(札幌の目安)

起こりやすい変化

意識したいこと

9月下旬〜10月中旬(雪虫のころ)

暖房開始、夏の湿気が残ったまま室内が暖まる

押入れの中身を出して乾かす、換気扇の動作確認

10月下旬(初霜10月25日ごろ・初雪10月28日ごろ)

窓ガラスや北側外壁で結露が始まる

晴れた日中の換気、家具を外壁から離す

12月上旬〜2月(根雪12月6日ごろ以降)

温度差が最大、窓を開けにくく換気が減る

換気扇・給気口を止めない、結露の拭き取りを習慣に

3月〜4月(雪解け・暖房終了期)

冬の湿気がカビとして目に見えるようになる

押入れ・家具裏・北側の壁の点検、早めの相談

季節の流れをつかんだところで、次章では入居者の方が日常生活の中で取り組める具体的な対策を、場所ごとに紹介します。

第4章|入居者ができる日常の結露・カビ対策|北側居室・押入れ・浴室・窓まわり

ここからは、市営住宅にお住まいの方が毎日の暮らしの中で取り組める対策を紹介します。建物そのものの断熱性能は入居者の方には変えられませんが、「室内の水蒸気を増やしすぎない」「湿った空気を動かす」「冷えやすい場所に湿気をためない」という3つの考え方で、結露とカビを抑えることは十分に期待できます。どれも特別な道具を必要としないものばかりですので、できるところから試してみてください。

まず、北側の居室です。外壁に面した壁と家具のあいだは、こぶし一つ分から10cm程度を目安にすき間をあけ、空気が通る道をつくりましょう。タンスや本棚を外壁にぴったり付けて置くと、家具の裏側は暖房の暖かさが届かず、壁の表面温度がさらに下がって結露とカビの温床になります。寝室として使っている場合は、朝起きたら数分でも窓を開けて換気するか、部屋の扉を開けて暖かい部屋の空気を入れるだけでも違いが出ます。ベッドや布団を外壁際に寄せすぎないことも大切です。

次に押入れです。押入れの奥は団地の中でも特にカビが出やすい場所です。すのこを床と奥の壁に立てかけて、布団や荷物と壁のあいだに空間をつくると、空気が通り湿気がこもりにくくなります。物を詰め込みすぎず、全体の7〜8割程度に収めるのがおすすめです。晴れた日には押入れのふすまを開け放して、室内の空気と入れ替えましょう。除湿剤を置く場合は、たまった水をこまめに捨て、交換時期を守ることが大切です。段ボールは湿気を吸いやすいため、長期保管にはプラスチックの収納ケースを使うほうが安心です。

浴室では、入浴後に換気扇を十分な時間回し続けることが基本です。換気扇の運転を止めてしまうと、天井や壁に残った水分が乾かず、黒カビが繰り返し発生しやすくなります。入浴の最後に壁や床に冷水をかけて温度を下げ、スクイージー(水切りワイパー)やタオルで水気を取っておくと、乾きが早くなります。浴室の扉を開けたまま換気すると、湯気が脱衣所や廊下に流れて別の場所で結露することがあるため、扉は閉めて換気扇で排気するのが原則です。

窓まわりでは、結露した水をそのままにしないことが第一です。朝の結露はタオルや結露取りワイパーで拭き取り、窓枠やサッシの下にたまった水も忘れずに除きましょう。カーテンが窓ガラスに触れていると、カーテンの裾が濡れてカビが出やすくなるため、丈を少し短めにする、こまめに洗濯するといった工夫も有効です。また、住戸の給気口(外の空気を取り入れる小さな開口部)を寒いからと閉じてしまう方がいますが、給気口を閉じると換気扇が空気をうまく排出できなくなり、かえって湿気がこもる原因になります。

暖房の使い方も結露に大きく関わります。暖房している部屋と、していない北側の部屋や押入れとの温度差が大きいほど、冷えた側の壁で結露しやすくなります。使っていない部屋も扉を少し開けて暖気が回るようにする、外出時も暖房をすっかり止めずに弱めに運転するなど、住戸全体の温度差を小さくする意識が有効です。なお、市営住宅では住戸の設備や内装を入居者の判断で変更できない場合がありますので、断熱シートを壁に貼る、換気扇を交換するといった工事に近い対策を考えるときは、事前に管理窓口へ相談してから進めると安心です。

場所

入居者ができること

避けたいこと

北側居室

家具を外壁から離す、朝の換気、扉を開けて暖気を回す

タンスやベッドを外壁にぴったり付ける

押入れ

すのこで空間をつくる、7〜8割収納、晴れた日に開放

段ボールや布団を奥の壁に押し付けて詰め込む

浴室

入浴後も換気扇を回し続ける、水気を切る

換気扇をすぐ止める、扉を開けて湯気を室内へ流す

窓まわり

朝の拭き取り、カーテンを窓から離す

結露水を放置する、給気口を閉じる

暮らし全般

室内干しは換気しながら、湿度計で様子を見る

加湿器を長時間強運転する

湿度計を一つ置いておくと、室内の状態が目で見て分かるようになり、換気や加湿のしすぎに気づきやすくなります。冬の室内で湿度が高い状態が続く場合は、洗濯物の干し方や加湿器の使い方、換気の回数を見直すきっかけにしてください。すでに壁紙に黒い点が出ている場合、家庭用のカビ取り剤を使う際は製品の注意書きを守り、換気を十分に行ってください。壁紙の裏まで広がっている疑いがある場合や、同じ場所に何度も出る場合は、無理に自分で削ったりこすったりせず、管理窓口へ相談することをおすすめします。

第5章|管理者側ができること|修繕・換気設備・断熱改修・空き住戸の管理

続いて、公営住宅の管理・修繕を担当される方の視点で、建物側から取り組める対策を整理します。札幌市の「ストックマネジメント」に関する資料では、市有建築物について2008年度から保全計画に基づく計画的な修繕を一元的に実施していると示されています。築年数の古い住棟が多い中で限られた予算をどう配分するかは大きな課題ですが、結露・カビは入居者の生活の質や住戸の傷み方に直結するテーマです。計画修繕の中に「湿気対策」という観点を組み込むことで、将来の修繕範囲を抑えることにもつながると当社は考えています。

ひとつめは、相談情報の蓄積と団地単位の傾向把握です。入居者から結露・カビの相談があった際に、住棟・階数・住戸の向き・部屋の位置・発生部位・時期を記録しておくと、同じ団地の中で症状が集中している住棟や間取りが見えてきます。個々の住戸への対応に追われるだけでなく、「この住棟の北側角部屋の押入れで多い」といった傾向が分かれば、次の修繕計画で優先的に手当てする箇所を絞り込めます。自治会を通じて簡単なアンケートを行うのも、傾向を把握するひとつの方法です。

ふたつめは、換気設備の点検と更新です。古い住戸では、浴室や台所の換気扇が経年で能力低下していたり、給気口のフィルターが目詰まりしていたりすることがあります。換気扇の風量が足りなければ、入居者がどれだけ運転時間を長くしても、湿気を十分に排出できません。退去時や定期点検のタイミングで換気扇の動作と風量、給気口の状態を確認し、必要に応じて交換や清掃を行うことが、比較的取り組みやすい対策です。換気の状態を数値で確認したい場合は、風量計を使った測定という方法もあります。

みっつめは、断熱改修と窓まわりの改修です。外壁の断熱を補う方法には、建物の外側を断熱材で覆う外断熱改修と、室内側に断熱材を加える内断熱改修があります。外断熱は熱橋を減らしやすい一方で工事規模が大きく、内断熱は住戸ごとに施工しやすい反面、断熱材が途切れる部分に新たな熱橋が生じないよう設計上の配慮が必要です。窓については、断熱性の高いサッシや内窓への改修で、窓まわりの結露を減らす効果が期待できます。どの方法が適しているかは建物の構造や状態、予算、入居中か空き住戸かによって異なるため、専門家を交えた検討が欠かせません。

よっつめは、空き住戸の管理です。管理戸数の多い市営住宅では、退去から次の入居までの期間に住戸が閉め切られた状態になります。人が住んでいない住戸は暖房も換気もされず、特に冬は壁の表面温度が下がったまま湿気がこもり、押入れや北側の部屋でカビが進むことがあります。次の入居者が住み始めてすぐにカビに気づくと、苦情やトラブルの原因にもなりかねません。空き住戸の定期的な換気、入居前点検での押入れ・北側の壁・浴室天井の確認、必要に応じたカビ除去などを、修繕の流れに組み込んでおくと安心です。

いつつめは、カビが出た住戸の修繕方法です。現場でよく目にするのが、カビの出た壁紙を張り替えただけで、翌冬に同じ場所へカビが戻ってくるケースです。壁紙の裏の石膏ボードや下地、コンクリートの表面に湿気やカビが残っていると、表面を新しくしても再発しやすくなります。張り替えの前に下地の湿り具合やカビの広がりを確認し、必要に応じて除去・乾燥を行ってから仕上げることで、修繕の手戻りを減らすことにつながります。

取り組み

内容の例

期待できること・注意点

相談情報の記録

住棟・階・向き・部位・時期を一覧化

症状が集中する住棟・間取りを把握し、修繕の優先順位づけに活用

換気設備の点検・更新

換気扇の風量確認、給気口フィルターの清掃・交換

比較的取り組みやすく、入居者の日常対策の効果を高めやすい

断熱改修

外断熱改修、内断熱改修

熱橋の扱いに配慮が必要、工事規模・予算・入居状況に応じて検討

窓まわりの改修

断熱性の高いサッシ・内窓への改修

窓の結露軽減が期待できる、周囲の壁の結露にも注意

空き住戸の管理

定期換気、入居前点検、必要に応じたカビ除去

入居直後のカビ発見・苦情の予防につながる

もうひとつ付け加えたいのが、入居時の情報提供です。結露しやすい住戸であることを前提に、家具の配置や換気扇の使い方、押入れの使い方を分かりやすくまとめた資料を入居時に渡しておくと、入居者の方も早い段階から対策に取り組めます。建物側の改修には時間がかかっても、情報提供はすぐに始められる対策です。

第6章|入居者・自治会・管理者の連携と、専門業者による調査の活かし方

市営住宅の結露・カビ対策をうまく進めるには、入居者・自治会・管理者がそれぞれの役割を理解し、情報を共有することが欠かせません。入居者の方は日常の対策を続けながら、自分では手に負えない症状を早めに伝える。自治会は団地全体の声をまとめ、共用部の状況や住棟ごとの傾向を管理者へ届ける。管理者は相談内容を記録し、修繕や設備更新の計画に反映する。この循環ができると、同じ問題が毎年繰り返されることを減らしやすくなります。

自治会の役割として特に期待されるのが、情報の共有と共用部への目配りです。秋の回覧板や掲示板で「家具を外壁から離す」「給気口を閉じない」「換気扇を止めない」といった基本的な結露対策を呼びかけるだけでも、団地全体の意識は変わります。また、集会所や階段室、共用の物置など、特定の入居者が日常的に使わない場所は湿気の変化に気づきにくく、カビが進んでから発見されることがあります。役員の方が季節の変わり目に共用部をひと回りし、においや壁の変色、結露の有無を確認して管理者へ伝える、という流れをつくっておくと、早めの手当てにつながります。

入居者の方が修繕を申し出る場合は、まず住宅の管理窓口へ相談してください。修繕の範囲や費用負担の考え方は住宅や契約の内容によって異なるため、本記事では断定を避けますが、相談の際に状況を具体的に伝えることで、対応がスムーズになりやすいのは確かです。いつから、どの部屋の、どの位置に、どのくらいの範囲で出ているのかを整理し、日付の入った写真を数枚撮っておくと、管理者側も状況を把握しやすくなります。結露の水が床にたまる、壁紙がはがれてきた、においが強いといった変化もメモしておきましょう。

管理窓口へ伝えたい情報

具体例

場所

北側の寝室の外壁側の隅、押入れの下段の奥、浴室の天井など

範囲・状態

手のひら大の黒い点、壁紙の浮き、床の水たまり、におい

時期・経過

昨年の冬から、毎年1〜2月に悪化、春に目立つようになった

日頃の対策

換気扇の使用状況、家具の配置、室内干しの場所

記録

日付入りの写真、湿度計の記録

一方、管理者側にとっては、目に見えるカビの範囲だけで修繕内容を決めるのが難しい場面もあります。壁紙の裏や押入れの床下、浴室の天井裏など、表面からは分からない部分でカビや湿気が広がっていることがあるからです。そのような場合には、専門業者による調査を活用する方法があります。当社では、壁や床の湿り具合を数値で確認する含水率測定(材料にどれだけ水分が含まれているかを測ること)や、カビの種類や量を確認する各種の菌検査(有料オプション)、ファイバースコープを使った壁内・床下の確認などを組み合わせて、原因と範囲を整理しています。

調査結果をもとに、どこまでを除去し、どこからを修繕や改修で手当てするのかを判断できれば、限られた予算の中でも優先順位をつけやすくなります。カビの除去が必要な場合、当社ではMIST工法®による除去と、カビが生えにくい環境づくりのご提案を行っています。MIST工法®は、素材の状態に合わせて薬剤を調整し、こすったり削ったりすることを抑えて処理する施工方法で、素材を傷めにくいのが特長です。ただし、効果の現れ方は現場の状況によって異なり、結露の原因そのものを取り除かなければ再発のおそれは残ります。除去と、換気・断熱・暮らし方の見直しをあわせて考えることが大切です。

また、空き住戸の入居前点検や、住棟単位の修繕計画を立てる前の現況把握として調査を行うことも考えられます。人が住んでいない状態の住戸は、家具や荷物がないため壁や押入れを確認しやすく、除去を行いやすいタイミングでもあります。札幌市内では東区・白石区・厚別区など各区に市営住宅の団地があり、それぞれ立地や住棟の条件が異なります。団地ごとの状況に合わせて、調査と施工の範囲を相談しながら決めていくのが現実的です。費用は現地状況により異なりますので、まずは状況をお聞かせください。

関連記事:北海道で北側の部屋だけ結露する理由|カビと家具配置の対策

関連記事:ファイバースコープ調査とは?壁を壊さず壁内・床下のカビを調べる方法

まとめ|札幌市営住宅の結露・カビは「暮らし」と「建物」の両面から、冬の前に備える

本記事では、札幌市営住宅に多い結露・カビの仕組みと、入居者・管理者それぞれができる対策を整理しました。札幌市の資料によると、令和5年度末の時点で札幌市営住宅は95団地・724棟・管理戸数26,486戸あり、築30年以上の住戸が約7割(18,751戸)を占めています。昭和40〜50年代築のRC団地では、外壁側の断熱不足や熱橋(断熱が途切れた部分)によって壁の表面温度が下がりやすく、北側居室・押入れ・浴室・窓まわりで結露とカビが繰り返されやすい傾向があります。そこに、概ね10月〜4月と長い暖房期間、窓を開けにくい豪雪期、大きな室内外の温度差という北海道・札幌ならではの条件が重なります。

入居者の方ができることは、室内の水蒸気を増やしすぎないこと、湿った空気を動かすこと、冷えやすい場所に湿気をためないことの3つに集約されます。家具を外壁から離す、押入れにすのこを入れて詰め込みすぎない、入浴後も換気扇を回し続ける、朝の結露を拭き取る、給気口を閉じない、住戸全体の温度差を小さくする。どれも今日から始められる対策です。一方、管理者側は、相談情報の記録による団地単位の傾向把握、換気設備の点検・更新、断熱改修や窓まわりの改修、空き住戸の換気と入居前点検、下地まで確認したうえでの修繕といった形で、建物側から働きかけることができます。自治会は、その両者をつなぐ大切な役割を担います。

気象庁の平年値(札幌管区気象台、1991〜2020年)では、札幌の初霜は10月25日ごろ、初雪は10月28日ごろ、根雪の始まりは12月6日ごろです。2026年度の冬に向けて、雪虫が舞い始めたら押入れの中身を点検し、換気扇や給気口の状態を確かめ、家具の配置を見直しておく。そして春の雪解けのころにもう一度、押入れや北側の壁を確認する。この「冬の前」と「春先」の2回の点検を習慣にすることで、カビの広がりに早く気づきやすくなります。

最後に、入居者の方や管理担当の方からよくいただくご質問にお答えします。

Q. 毎朝結露を拭いているのに、押入れの奥や北側の壁のカビが毎年出てきます。自分の住み方が悪いのでしょうか?

A. 住み方だけが原因とは限りません。築年数の古い団地では、外壁側の断熱不足や熱橋といった建物の条件によって、日常の対策を続けていても結露が出やすい場所があります。家具の配置や換気扇の使い方を見直したうえで、同じ場所に繰り返し出る場合や範囲が広がっている場合は、発生場所・時期・写真などを整理して管理窓口へ相談してみてください。体調面で気になることがある場合は、医療機関にご相談ください。

Q. 空き住戸のカビ対策は、入居前の清掃と壁紙の張り替えだけで十分でしょうか?

A. 表面の清掃や張り替えで見た目は改善しても、壁紙の裏の下地や押入れの床などに湿気やカビが残っていると、次の冬に再発することがあります。含水率測定や菌検査などで下地の状態を確認し、必要に応じて除去・乾燥を行ってから仕上げると、入居後のトラブルを減らすことにつながります。どこまで手当てするかは、住戸の状態や予算に応じて検討するのが現実的です。

市営住宅の結露・カビは、入居者の努力だけでも、管理者の修繕だけでも解決しにくい問題です。暮らしと建物の両面から少しずつ手を打ち、その情報を共有していくことが、住み心地を守り、住戸を長く大切に使っていくことにつながります。

カビバスターズ北海道では、含水率測定・付着菌検査・落下菌検査・浮遊菌検査(菌検査は有料オプション)などの各種調査から、MIST工法®による除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案までをワンストップで行っています。公営住宅・団地の空き住戸の入居前点検、住棟単位の現況調査、繰り返すカビのご相談など、管理・修繕ご担当者さまや自治会の皆さまからのお問い合わせにも対応しております。札幌市内全10区はもちろん、旭川・函館・帯広・釧路・北見をはじめ北海道全域に対応していますので、結露やカビでお困りの際はお気軽にご相談ください。


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対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。

料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。

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