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負圧検査とは?風量計で24時間換気のバランスを数値化する方法

10月7日
読了時間: 26分

更新日:1 日前

こんにちは、カビバスターズ北海道です。「24時間換気をつけているのに、なんとなく空気がこもっている気がする」「冬になると窓や押し入れの結露がひどく、換気がきちんと働いているのか不安」――そんなご相談を、当社では高気密住宅にお住まいの方から数多くいただきます。24時間換気は、スイッチが入っていれば安心と思われがちですが、実際にはフィルターの目詰まりや給気口の閉め切り、ダクトの不具合などによって、計画どおりの風量が出ていないケースが少なくありません。しかも換気の不調は目に見えないため、カビや結露という「結果」が出てから初めて気付くことがほとんどです。そこで役立つのが、風量計や差圧計を使って家の換気バランスを数値で確認する「負圧検査」です。負圧とは、室内の気圧が屋外より低くなっている状態のことで、適度であれば計画どおりに空気が流れている証拠ですが、行き過ぎると隙間風や臭いの逆流、壁内や床下からの空気の引き込みといったトラブルにつながります。本記事では、負圧検査とは何か、どのような手順で測定するのか、北海道の住宅でなぜ特に重要なのかを、カビ対策の現場目線でわかりやすく解説します。換気を見直すきっかけとしてお役立てください。

この記事の結論 24時間換気をつけているのに空気がこもる、結露やカビが増えた――そんなときに役立つのが負圧検査です。風量計と差圧計で給気・排気の風量と室内外の気圧差を測り、換気が本当に働いているかを確かめる方法を、北海道の住宅事情とあわせて解説します。

第1章|負圧検査とは?家の換気バランスを風量計で数値化する検査

負圧検査とは、住宅の換気設備が計画どおりに空気を出し入れしているかを、風量計や差圧計といった測定機器を使って数値で確認する検査です。簡単に言えば「家がどれだけ息を吸って、どれだけ吐いているか」を測る検査だとお考えください。24時間換気は目に見えない空気を扱う設備のため、運転ランプが点いていても実際の風量まではわかりません。そこで、給気口や排気口で風量を測り、室内と屋外の気圧差を確認することで、換気が「動いているか」ではなく「働いているか」を判断します。

ここで押さえておきたいのが、住宅の換気方式です。日本の住宅では2003年の建築基準法改正(いわゆるシックハウス対策)により、原則として居室のある建築物に機械換気設備の設置が義務付けられました。住宅の居室では、1時間あたりに室内の空気の半分以上が入れ替わる「換気回数0.5回/h以上」が基準とされています。換気回数とは、1時間に部屋の空気が何回分入れ替わるかを示す数字のことです。この換気を担う方式は、大きく次の3つに分けられます。

換気方式

給気(取り入れ)

排気(吐き出し)

室内の気圧の傾向

住宅での主な特徴

第1種換気

機械(ファン)

機械(ファン)

設計上は給排のバランスをとる

熱交換型が多く、寒冷地で採用が増えている。給排の風量が崩れると正圧・負圧のどちらにも偏る

第2種換気

機械(ファン)

自然(排気口)

正圧(屋外より高い)

クリーンルームなど清浄度を保ちたい場所向きで、一般住宅ではあまり採用されない

第3種換気

自然(給気口)

機械(ファン)

負圧(屋外より低い)

構造が比較的シンプルで、戸建て・集合住宅ともに広く普及している

表のとおり、第3種換気は排気ファンで室内の空気を外へ出し、その分だけ給気口から外気が入ってくる仕組みです。つまり第3種換気の住宅では、室内がわずかに負圧になっていること自体は正常な状態です。問題になるのは、給気口が閉じられていたり、給気経路が詰まっていたりして、空気の入口が足りなくなったときです。入口が不足したまま排気ファンだけが回ると負圧が強くなり、本来の給気口ではなく、壁や床の隙間、配管まわりなど「想定外の場所」から空気が引き込まれるようになります。

一方、第1種換気は給気と排気の両方をファンで行うため、本来は室内外の気圧差が小さくなるよう設計されています。ただし、給気側のフィルターだけが目詰まりしている、熱交換素子が汚れている、ダクトの一部が外れているといった状況では、排気が給気を上回って負圧に傾くことがあります。第1種だから負圧とは無縁、というわけではない点に注意が必要です。

負圧検査で主に使う機器は2つあります。1つは風量計で、給気口や排気口にフード状の測定器を当て、1時間あたりに何立方メートルの空気が通過しているか(m³/h)を測ります。もう1つは差圧計で、室内と屋外の気圧差をパスカル(Pa)という単位で測る機器です。パスカルとは圧力の大きさを表す単位のことで、住宅の換気で扱う気圧差はごくわずかなため、専用の精密な機器を用います。

風量計の数値からは「計画した換気量が出ているか」が、差圧計の数値からは「家全体がどの程度負圧に傾いているか」がわかります。この2つを組み合わせることで、換気の量とバランスの両面から住まいの状態を評価できるのが負圧検査の特徴です。当社では、カビ調査の一環としてこの検査を行い、カビの発生原因が換気にあるのか、それとも別の要因にあるのかを切り分ける材料にしています。

なお、負圧検査は気密測定(家全体の隙間の量を調べる測定)とは目的が異なります。気密測定が「家の器の性能」を調べるのに対し、負圧検査は「その家で換気設備が実際にどう働いているか」という運用状態を調べるものです。新築時の気密性能が高くても、住み始めてからの使い方やメンテナンスの状況によって換気バランスは変化するため、住み続けている家ほど定期的に確認する意味があります。たとえば、家族構成の変化で部屋干しが増えた、家具の配置を変えて給気口がふさがった、換気本体のフィルターを長く交換していないといった変化は、どれも換気バランスに影響します。検査自体は壁を壊すような作業ではなく、住みながら短時間で実施できる点も、現場で取り入れやすい理由の一つです。

第2章|なぜ負圧検査が必要なのか|換気不足が引き起こすカビ・結露

負圧検査が必要な最大の理由は、換気の不調が「目に見えないまま」カビや結露を育ててしまうからです。人が暮らす室内では、呼吸や汗、炊事、入浴、洗濯物の室内干しなどによって、毎日大量の水蒸気が発生しています。24時間換気は、この水蒸気や生活臭、化学物質を少しずつ屋外へ運び出す役割を担っています。ところが風量が不足すると、水蒸気が室内にとどまって相対湿度が上がり、冷えた窓や外壁側の壁、押し入れの奥などで結露が起こりやすくなります。相対湿度とは、その温度の空気が含むことのできる水蒸気の量に対して、実際にどれだけ含んでいるかを割合で示したものです。

結露した水分は、ホコリや皮脂汚れといった栄養分と組み合わさることで、カビにとって好都合な環境をつくります。一般にカビは湿度が高い状態が続くと活発になりやすいとされ、特に家具の裏や北側の部屋の壁際など、空気が動きにくい場所から広がる傾向があります。換気不足はこうした「空気のよどみ」を家じゅうに増やしてしまうため、カビ対策の土台として見直すべきポイントなのです。

北海道の住宅で特に注意したいのが、暖房期間の長さです。道内では地域差はあるものの、概ね10月から4月ごろまで暖房を使う期間が続きます。この半年以上にわたって、室内は暖かく、屋外は冷たいという大きな温度差が続くため、室内の水蒸気が冷たい部分に触れて結露する条件がそろいやすくなります。さらに、豪雪期は窓を開けて換気することが難しく、室内の空気の入れ替えを24時間換気にほぼ頼りきりになります。本州のように「天気の良い日に窓を開けて空気を入れ替える」という補い方がしにくいぶん、機械換気が本来の性能を発揮しているかどうかが、住まいの湿気環境を大きく左右します。

現場でよく目にするのが、冬の寒さを嫌って給気口のシャッターを閉めてしまっているケースです。給気口から入る冷気が気になるお気持ちはよくわかりますが、第3種換気で給気口を閉じると、空気の入口がなくなり、換気量が大きく落ちたり負圧が強まったりします。結果として、居室の湿気が抜けずに窓まわりの結露が増える、クローゼットの中がカビ臭くなるといった症状につながることがあります。

換気不足・負圧過多のサイン

考えられる状態

カビ・結露への影響

窓ガラスやサッシの結露が年々増えている

湿気が排出されず室内の湿度が高止まりしている

サッシのパッキンやカーテンにカビが出やすくなる

部屋に入ったときにこもった臭いがする

生活臭や湿気が滞留している

家具の裏や押し入れなど空気の動かない場所でカビが増えやすい

玄関ドアや室内ドアが重く感じる

室内が強い負圧になっている可能性がある

隙間から壁内や床下の空気を引き込みやすくなる

給気口付近から笛のような音がする

給気経路が狭くなり、空気が無理に流れ込んでいる

換気量不足のまま運転している可能性がある

床下や収納からカビ臭さを感じる

負圧により床下の空気が室内へ流れ込んでいる可能性がある

室内側にカビ臭や胞子が持ち込まれるおそれがある

もう一つ見逃せないのが、負圧が強くなりすぎた場合に起こる「空気の引き込み」です。家の中が強い負圧になると、室内は外から空気を吸い込もうとします。このとき空気は、本来の給気口だけでなく、コンセントまわりや配管の貫通部、床と壁の取り合いなど、あらゆる隙間から入ってきます。その隙間の先が壁の内部や床下である場合、そこに潜んでいたカビ臭や湿った空気が室内側へ運ばれてしまうことがあります。当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、「表面にはカビが見えないのにカビ臭い」というご相談の中には、こうした空気の流れが関わっていると考えられる事例が含まれています。

換気の問題は、住んでいる方の感覚だけでは判断が難しいものです。「空気がこもる」と感じても、それが換気量の不足によるものか、湿気の発生量が多すぎるためか、あるいは局所的な温度ムラによるものかは、数値を測ってみないとわかりません。負圧検査によって換気量と気圧差を把握しておけば、カビ除去を行ったあとに同じ場所で再発させないための対策を、根拠を持って選べるようになります。数値があれば、住まい手の方と施工会社、設備業者との間で状況を共有しやすくなるという利点もあります。除去だけでなく「なぜそこにカビが生えたのか」を突き止めることが、再発を防ぐいちばんの近道です。

第3章|検査の方法|給気口・排気口での風量測定の流れ

ここからは、当社が実際に行っている負圧検査の流れを、順を追ってご紹介します。検査の内容は住宅の換気方式や間取りによって多少変わりますが、基本的な考え方は「設備を確認する」「風量を測る」「気圧差を測る」「計画値と比べる」という4つのステップです。

最初に行うのは、換気設備の確認とヒアリングです。換気方式が第1種か第3種か、換気本体(換気ユニット)がどこに設置されているか、給気口と排気口がどの部屋にいくつあるかを確認します。あわせて、住まい手の方から「いつごろから結露やカビが気になり始めたか」「給気口を閉めることがあるか」「フィルター掃除はどのくらいの頻度か」といった使い方を伺います。図面や換気設備の仕様書があれば、計画されている換気量(設計風量)もこの段階で把握しておきます。

次に、測定条件をそろえます。窓や玄関ドアを閉め、換気設備を通常の運転モードにした状態で測定するのが基本です。レンジフードや浴室の換気扇など、24時間換気とは別に動く換気扇は、いったん停止した状態と運転した状態の両方で確認することがあります。これは、キッチンのレンジフードのように大きな風量の換気扇を回したとき、家全体の負圧がどの程度強まるかを知るためです。

検査の工程

主な作業内容

使用する機器・資料

わかること

1.設備確認・ヒアリング

換気方式、給気口・排気口の位置と数、使い方を確認

図面、換気設備の仕様書

計画上の換気量と現状の使い方

2.測定条件の設定

窓・ドアを閉め、換気を通常運転にする

チェックリスト

比較できる測定条件

3.風量測定

給気口・排気口ごとに風量を測定

フード付き風量計

各所の実風量(m³/h)と計画値との差

4.差圧測定

室内と屋外の気圧差を測定

差圧計

家全体の負圧の強さ(Pa)

5.点検・評価

フィルター、屋外フード、ダクト接続部の状態を目視確認

ライト、必要に応じてカメラ

風量不足の原因の手がかり

3つ目のステップが、風量計による測定です。給気口や排気口の格子にフード状の測定器を密着させ、そこを通過する空気の量を測ります。たとえば第3種換気であれば、トイレや浴室、洗面所などに設けられた排気口と、居室の給気口をそれぞれ測定します。測定値を合計すると家全体の換気量がわかり、それを住宅の気積(室内の空気の容積)で割ることで、おおよその換気回数を求めることができます。仮に気積が300立方メートルの住宅なら、0.5回/hを満たすには1時間あたり150立方メートル程度の換気量が目安になる、という計算です。

4つ目のステップは差圧計による測定です。差圧計の一方のセンサーを室内に、もう一方を屋外につながるチューブで外気側に置き、両者の気圧差を読み取ります。同じ家でも、レンジフードを回したとき、浴室換気扇を回したときなど、条件を変えて測ることで負圧の変化がわかります。数値が大きく振れる場合は、給気が排気に追いついていないサインと考えられます。

最後に、測定結果と設備の状態を突き合わせて評価します。風量が計画値を大きく下回っている場合は、その原因を探るため、フィルターの目詰まり、給気口のシャッターの開閉状態、屋外フード(外壁に付いている換気口のカバー)の汚れや防虫網の詰まり、ダクトのつぶれや外れなどを確認します。北海道の冬は、札幌や旭川のような降雪の多い地域を中心に、屋外フードの周囲が雪や霜で覆われて空気の通り道が狭くなっていることもあり、季節によって結果が変わる点も考慮して判断します。

検査結果は、各所の風量と気圧差を一覧にしてご報告し、フィルター清掃やシャッターの開放といったすぐにできる改善から、換気設備の修理や調整が必要なものまでを整理してお伝えします。設備自体の修理や交換が必要な場合は、施工会社や設備業者への相談をおすすめしています。当社の役割は、カビの発生と換気の状態の関係を数値で示し、除去後の再発防止策を一緒に考えることにあります。

検査を受ける前に、住まい手の方にお願いしていることもあります。それは、普段どおりの状態で暮らしていただくことです。検査の前日にあわててフィルターを掃除したり、閉めていた給気口を開けたりすると、日常の換気状態とは異なる数値が出てしまいます。「いつもの状態」を測ったうえで、清掃や開放の前後で数値がどう変わるかを比べるほうが、改善の効果を実感しやすく、今後のメンテナンスの目安にもなります。

第4章|高気密住宅で負圧が起きるとどうなるか(隙間風・臭いの逆流等)

高気密住宅とは、壁や床、天井の隙間を極力少なくし、計画した経路で空気を出し入れできるようにつくられた住宅のことです。隙間が少ないぶん、暖房した空気が逃げにくく省エネ性に優れますが、その反面、給気と排気のバランスが崩れたときの影響が表に出やすいという特徴があります。隙間の多い家であれば、排気が多すぎても自然に空気が入り込んで気圧差が小さく保たれますが、高気密住宅では空気の逃げ場が少ないため、わずかな給気不足でも負圧が強まりやすいのです。

負圧が強くなったときに、まず現れやすいのがドアの開け閉めの違和感です。玄関ドアが重く感じる、室内ドアが勢いよく閉まる、閉めたドアの下からヒューッと音がするといった症状は、室内外や部屋同士の気圧差が大きくなっているサインです。また、コンセントや照明スイッチのプレートまわり、巾木(壁と床の境目の板)の隙間から冷たい空気が入ってくる「隙間風」を感じることもあります。高気密住宅なのに隙間風がある場合、それは隙間がないのではなく、わずかな隙間に強い力で空気が引き込まれている状態だと考えられます。

臭いの逆流も、負圧に関係する代表的なトラブルです。キッチンや洗面所、浴室の排水口には、下水の臭いを防ぐために水をためた「排水トラップ」があります。排水トラップとは、配管の途中に水をためてフタの役割をさせる仕組みのことです。室内が強い負圧になると、この水が引かれたり、配管側の空気が室内へ流れ込もうとしたりして、下水のような臭いを感じる原因になることがあります。さらに、床下や壁の中の空気が引き込まれると、カビ臭や土のような臭いが室内に漂うこともあります。

負圧で起こりやすい現象

身近なサイン

考えられる影響

ドアの開閉が重くなる

玄関ドアが開けにくい、室内ドアが勢いよく閉まる

家全体が強い負圧に傾いている可能性

隙間風・風切り音

コンセントや巾木まわりから冷気、ヒューという音

足元の冷え、壁内の空気の引き込み

排水口からの臭い

キッチンや洗面所で下水のような臭い

排水トラップの封水が引かれている可能性

床下・壁内の空気の流入

カビ臭さ、土のような臭い

室内にカビ臭や胞子が持ち込まれるおそれ

燃焼器具の排気の逆流

煙突式ストーブなどで燃焼の様子がおかしい、臭いがする

一酸化炭素が室内に流れ込む危険性

安全面で特に注意が必要なのが、燃焼器具の排気です。室内の空気を使って燃焼し、排気を煙突などから自然の上昇気流で屋外へ出すタイプの暖房器具(半密閉式と呼ばれる煙突式のストーブや薪ストーブ、暖炉など)は、室内が強い負圧になると排気がうまく抜けず、逆流するおそれがあります。排気には一酸化炭素が含まれることがあり、一酸化炭素は無色無臭のため、気付かないうちに吸い込んでしまう危険があります。一方、屋外から給気して屋外へ強制的に排気するFF式(強制給排気式)の暖房器具は、燃焼に室内の空気を使わない構造のため、室内の負圧の影響を受けにくいとされています。ただし、FF式であっても給排気筒の外れや屋外部分の雪によるふさがりなどの不具合があれば安全に使えません。

燃焼器具をお使いのご家庭では、一酸化炭素警報器の設置をおすすめします。燃焼の様子がいつもと違う、異臭がする、警報器が鳴ったといった場合は、ただちに使用を中止して窓を開けて換気し、メーカーや販売店、燃料・ガスの供給事業者に点検を依頼してください。頭痛やめまい、吐き気などを感じた場合は、速やかに医療機関に相談することが大切です。負圧検査で強い負圧が確認された場合、当社でも燃焼器具の使用状況を伺い、必要に応じて専門業者への点検をおすすめしています。

また、負圧の影響は季節や時間帯によっても変わります。暖房で室内外の温度差が大きくなる冬の夜間や、調理でレンジフードを強運転している時間帯などは、一時的に負圧が強まりやすい場面です。症状が出る時間帯を記録しておくと、原因を探る手がかりになります。

このように、負圧は単に「換気の効きが悪い」だけの問題ではなく、快適性や衛生、さらには安全にも関わるテーマです。高気密住宅の性能を活かすためには、気密性とあわせて換気のバランスを正しく保つことが欠かせません。負圧検査は、そのバランスが保たれているかを客観的に確かめるための手段なのです。特にレンジフードのように風量の大きな換気扇を使う時間帯は負圧が一時的に強まりやすいため、給気と連動して開くシャッターや同時給排型のレンジフードが採用されているかどうかも、検査の際に確認しておきたいポイントです。

第5章|北海道の住宅(冬の窓閉め切り期間)と負圧リスクの関係

北海道の住宅は、厳しい寒さに備えて全国的に見ても早い時期から高気密高断熱化が進められてきました。暖かく省エネな住まいを実現できる一方で、換気のバランスが崩れたときの影響を受けやすい住まいでもあります。ここでは、北海道ならではの気候や暮らし方が、負圧や換気不足のリスクにどう関係するのかを整理します。

第一に挙げられるのが、暖房期間の長さと室内外の温度差です。概ね10月から4月ごろまで続く暖房シーズンの間、室内は20℃前後に保たれていても、屋外は氷点下という日が珍しくありません。温度差が大きいと、暖かい空気が上へ、冷たい空気が下へ動こうとする力が家の中で強く働きます。これを煙突効果(温度差換気)といい、暖められた空気が上昇して家の上部から外へ押し出され、そのぶん下部から外気が入り込もうとする現象のことです。この影響で、1階や床に近い部分ほど負圧に傾きやすくなり、床下や基礎まわりの隙間から空気が引き込まれる条件が重なりやすくなります。

第二に、窓を開けにくい豪雪期の存在です。本州では冬でも晴れた日に窓を開けて空気を入れ替える方がいらっしゃいますが、北海道の真冬は外気が冷たすぎるうえ、窓の外に雪が積もって開けること自体が難しい日もあります。そのため、冬の間の換気はほぼ24時間換気だけに頼ることになり、機械換気の風量不足がそのまま室内の湿気や空気のよどみに直結します。

第三に、寒さ対策としての給気口の閉め切りです。第3種換気の給気口からは外気が直接入ってくるため、冬は「冷たい風が入る」と感じて閉じてしまうご家庭が少なくありません。当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、帯広や旭川など冬の冷え込みが特に厳しい地域では、給気口をテープでふさいでいるお宅に出会うこともあります。給気口の前に大きな家具を置いたり、厚手のカーテンで覆ったりしている場合も、実質的に給気口を閉じているのと同じような状態になります。給気口を閉じれば寒さはやわらぎますが、換気量が落ちて結露やカビのリスクが高まり、負圧も強くなりやすいという、別の問題を抱えることになります。

北海道特有の条件

換気・負圧への影響

見直しのポイント

暖房期間が長い(概ね10月〜4月)

半年以上、室内外の温度差が大きい状態が続く

暖房シーズン前後で換気の状態を確認する

豪雪期に窓を開けにくい

換気を24時間換気に頼りきりになる

フィルター清掃など機械換気のメンテナンスを優先する

室内外の温度差が大きい

煙突効果で1階や床付近が負圧に傾きやすい

床下や基礎まわりの臭い、足元の冷気に注意する

給気口を寒さで閉じがち

換気量の低下と負圧の強まり

閉じずに済む配置や給気方法を検討する

屋外フードへの着雪・着霜

給排気の通り道が狭くなり風量が落ちる

降雪後に屋外フードの周囲を確認する

第四に、屋外側のトラブルです。外壁に付いている換気口のフードは、吹きだまりや屋根からの落雪で埋もれたり、排気に含まれる湿気が凍りついて霜が付いたりすることがあります。第1種換気の熱交換型では、厳寒期に熱交換素子(排気の熱を給気に移す部品)の霜付きを防ぐため、機種によっては運転を調整する機能が働くこともあります。こうした冬特有の要因で、夏と冬とで換気の状態が大きく変わることがあるため、負圧検査は暖房シーズン中、もしくはその前後に行うと実態をつかみやすくなります。

また、冬の室内では暖房によって空気が乾燥しやすい一方、部屋干しや加湿器の使用で局所的に湿度が高くなる場所も生まれます。家全体では乾いているように感じても、換気の届きにくい部屋や収納の中だけ湿気がたまっていることがあるため、家全体の数値だけでなく部屋ごとの給気・排気の状態を確認することが大切です。

北海道の住宅でカビ対策を考えるとき、断熱や気密の性能に目が向きがちですが、その性能を活かすのは換気です。暖房で室内を暖め、気密で熱を逃がさず、換気で湿気を外へ出すという3つの働きがそろって、初めて結露しにくい住まいになります。どれか1つが欠けると、高性能な住宅であっても、窓際や押し入れ、北側の部屋などに結露とカビが集中しやすくなります。負圧検査は、この3つのうち「換気」が役割を果たしているかを確かめる検査として、北海道の住まいにこそ取り入れていただきたいものです。

第6章|浮遊菌検査・落下菌検査との関係|換気の状態を把握する

負圧検査は、それ単独でも換気の状態を知るのに役立ちますが、カビ対策においては他の検査と組み合わせることで本領を発揮します。負圧検査でわかるのは、あくまで「空気がどれだけ、どのように流れているか」という換気の物理的な状態です。一方で、その空気の中にどの程度カビの胞子が含まれているのか、室内の表面にカビが落ちてきているのかといった「カビの量」は、負圧検査だけでは判断できません。そこで活用したいのが、浮遊菌検査(有料オプション)と落下菌検査です。

浮遊菌検査とは、専用の機器で一定量の室内の空気を吸引し、その中に含まれるカビや細菌を培養して数を調べる検査です。空気中に漂っている菌の量がわかるため、換気がうまく働いているかどうかを「空気の質」の面から確かめることができます。落下菌検査とは、培地(菌を育てるための栄養を含んだ寒天など)を入れたシャーレを一定時間室内に置き、自然に落ちてきた菌を培養して数える検査です。比較的手軽に実施でき、部屋ごとの比較にも用いられます。

検査の種類

何を調べるか

わかること

負圧検査との組み合わせ方

負圧検査

換気の風量と室内外の気圧差

換気量の過不足、負圧の強さ、空気の流れの偏り

カビが生えやすい原因が換気にあるかを判断する

浮遊菌検査

空気中に漂うカビ・細菌の量

室内空気の汚れ具合、換気による改善の度合い

換気の状態と空気環境をあわせて把握する

落下菌検査

一定時間に落ちてくるカビ・細菌の量

室内環境の汚染度の目安、部屋ごとの比較

除去施工と換気改善をあわせて再発しにくい環境をつくる

組み合わせ方の一例をご紹介します。まず負圧検査で換気量の不足や強い負圧を確認し、あわせて浮遊菌検査で室内の空気中の菌の量を把握します。次に、フィルター清掃や給気口の開放、必要に応じた換気設備の修理など、換気の改善を行います。そのうえで再度負圧検査を行い、風量や気圧差が改善したことを数値で確かめます。こうすることで、「換気を直した」という作業だけでなく、「その結果、室内の環境がどう変わったか」までを見える化できます。

当社がこうした組み合わせを重視するのは、カビ除去の効果を長持ちさせるためです。MIST工法®によってカビを除去しても、湿気がこもり、壁内や床下の空気を引き込み続ける環境が変わらなければ、時間の経過とともにカビが再び発生しやすくなります。反対に、換気のバランスを整え、空気の流れと菌の量を数値で確認しておけば、施工後の環境を維持するための目安を持つことができます。

また、検査結果を数値で残しておくことには、住まい手の方にとっての安心材料という意味もあります。「なんとなく良くなった気がする」ではなく、「換気量がこれだけ回復し、空気中の菌の量もこう変わった」と確認できれば、今後のメンテナンスの計画も立てやすくなります。季節によって換気の状態が変わる北海道では、暖房シーズン中と夏場とで結果を比べておくのも有効です。

なお、検査の順番や組み合わせは、ご相談の内容によって変わります。目に見えるカビが広がっている場合は、まず除去と原因調査を優先し、再発防止策を検討する段階で負圧検査を行うことがあります。反対に、カビは見えないのにカビ臭がする、結露が年々増えているといったご相談では、負圧検査と浮遊菌検査を先に行い、空気の流れと菌の量から原因の見当をつけていきます。どの検査が必要かは現地の状況を拝見してからご提案しますので、「何を調べればよいかわからない」という段階でもご相談いただけます。検査は多ければ良いというものではなく、目的に合った検査を選ぶことで、必要な対策を無駄なく絞り込めます。

検査結果を読み解く際は、1回の数値だけで良し悪しを決めつけないことも大切です。浮遊菌や落下菌の数は、天候や季節、測定時の生活状況によっても変動します。同じ条件で測定し、屋外の数値と比較することで、室内の状態をより正しく評価できます。

それぞれの検査の詳しい方法や、結果の見方については、以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。

関連記事:北海道の住宅はなぜカビが生えやすい?高気密高断熱住宅と結露の関係

まとめ|負圧検査でわかること、換気を見直すきっかけに

ここまで、風量計や差圧計を使って住まいの換気バランスを数値化する「負圧検査」について解説してきました。24時間換気は、スイッチが入っているだけでは本当に役割を果たしているかどうかがわかりません。負圧検査は、給気口や排気口の風量と、室内外の気圧差を測ることで、換気が「動いている」だけでなく「働いている」かを確かめる検査です。

振り返ると、第3種換気の住宅では室内がわずかに負圧になるのは正常な状態ですが、給気口の閉め切りやフィルターの目詰まりで給気が不足すると、負圧が強まり、壁の中や床下など想定外の場所から空気が引き込まれるようになります。第1種換気でも、給排のどちらかに不具合があればバランスは崩れます。換気量が不足すると室内の水蒸気が抜けにくくなり、窓まわりや押し入れ、北側の部屋などで結露とカビが起こりやすくなります。

高気密住宅は、隙間が少ないぶん換気のバランスが崩れたときの影響が表に出やすく、ドアの重さや隙間風、排水口からの臭い、床下からのカビ臭といったサインとして現れることがあります。また、煙突式のストーブや薪ストーブなど、自然の上昇気流で排気する燃焼器具をお使いの場合は、強い負圧によって排気が逆流し、一酸化炭素が室内に流れ込むおそれがあるため、一酸化炭素警報器の設置や専門業者による点検など、安全面の確認も欠かせません。

北海道では、概ね10月から4月ごろまでの長い暖房期間、窓を開けにくい豪雪期、そして大きな室内外の温度差という条件が重なり、冬の換気を24時間換気に頼りきりになります。寒さを避けるために給気口を閉じたり、屋外フードが雪や霜でふさがれたりすると、知らないうちに換気量が落ちていることもあります。だからこそ、暖房シーズン中やその前後に換気の状態を数値で確認しておくことに大きな意味があります。

日常の中でできることもあります。給気口と換気本体のフィルターを定期的に掃除する、給気口の前に家具やカーテンを置かない、降雪後には外壁の換気フードが雪に埋もれていないかを確認する、といった基本的なお手入れだけでも、換気の働きは保ちやすくなります。そのうえで、数値による確認が必要なときに負圧検査を活用していただくのが理想的です。

そして、負圧検査の結果を浮遊菌検査や落下菌検査と組み合わせれば、換気の改善によって室内の空気環境がどう変わったかまでを確認できます。カビを除去するだけでなく、カビが生えにくい環境を数値で確かめながら維持していくことが、再発を防ぐための現実的な方法です。

Q. 給気口から冷たい空気が入ってきて寒いのですが、閉めてはいけないのでしょうか?

A. 第3種換気の給気口は、家全体の空気の入口として計画されているため、閉め切ると換気量が落ちたり負圧が強まったりするおそれがあります。寒さが気になる場合は、まず給気口のフィルターの汚れや家具の配置を確認し、それでも改善しない場合は施工会社や設備業者に給気の方法を相談されることをおすすめします。負圧検査で実際の風量を測ると、どの程度の影響があるのかを判断しやすくなります。

Q. 負圧検査だけでカビの原因がすべてわかりますか?

A. 負圧検査でわかるのは換気の量とバランスで、カビの原因の一部を確かめるための検査です。カビの原因は、換気のほかに雨漏りや配管からの漏水、建材の含水、結露のしやすい断熱の欠損など複数の要因が重なっていることが多いため、状況に応じて他の検査と組み合わせて総合的に判断します。

「24時間換気をつけているのに空気がこもる」「冬になると結露やカビ臭が気になる」と感じたら、それは換気を見直すきっかけかもしれません。カビバスターズ北海道では、負圧検査をはじめ、含水率測定や付着菌検査、落下菌検査、浮遊菌検査などの各種調査と、MIST工法®によるカビの除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案をワンストップでご提供しています。素材を傷めにくい方法でカビに対処し、原因となる環境まで一緒に見直すことで、再発しにくい住まいづくりをお手伝いします。札幌・旭川・函館・帯広・釧路・北見をはじめ、北海道全域に対応しておりますので、換気やカビ、結露のことで気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。


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カビバスターズ北海道(MPソリューション株式会社)

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受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝休み)

対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。

料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。

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