コンクリートブロック造住宅のカビと結露|北海道に多いCB住宅の弱点と対策
更新日:1 日前
札幌の住宅街を歩くと、灰色のブロックを積み上げた外壁の住宅や、2階建てのブロック造アパートを見かけることがあります。コンクリートブロック(CB)造は、北海道の戦後の住宅づくりを支えてきた構造で、今も多くの建物が住まいとして使われています。
一方で、CB造の住宅にお住まいの方からは、冬になると外壁側の壁紙が黒ずむ、押入れの奥の壁がぬれる、北側の部屋のカーテンの裏にカビが出る、といった相談が寄せられます。CB造は火に強く頑丈な構造ですが、壁そのものが熱を伝えやすく、断熱のしかたによっては結露が起きやすいという特徴があります。
この記事では、北海道でCB造が広まった背景を簡単にふり返ったうえで、CB住宅の結露とカビが起きやすい場所、断熱方式ごとの弱点、住まい方の工夫と改修の考え方を、札幌の冬の気温とあわせて整理します。
この記事の結論 コンクリートブロック造の住宅は、寒さと火災への備えとして北海道で広く建てられてきた構造です。一方で、コンクリートが熱を伝えやすいことから、断熱の弱い壁や臥梁・窓まわりの熱橋で結露が起き、カビにつながりやすい面があります。
北海道にコンクリートブロック造の住宅が多い理由
北海道でCB造の住宅が広まったきっかけは、戦後の住宅不足と、寒さや火災に強い住まいを求める動きでした。1952年には札幌市に北海道立ブロック建築指導所が設けられ、翌1953年には北海道防寒住宅建設等促進法(寒住法)が制定されています。この法律により、公的な資金を使う住宅には簡易耐火構造以上の性能が求められ、公営住宅や住宅金融公庫の融資住宅の多くがCB造で建てられました。
北海道建築技術協会の資料によると、現在残っているCB造の建物は、その半数以上が1960年から1980年に建てられたものとされています。築40年を超える建物が多く、当時の断熱の考え方や施工方法が、今の住まいの結露やカビに影響しているケースがあります。
もちろん、近年は外断熱の工法を取り入れた快適なCB造住宅も建てられています。CB造だから必ず結露するというわけではなく、「どのように断熱されているか」「どの部分に熱の逃げ道があるか」を知ることが、カビ対策の第一歩になります。
出典:一般社団法人北海道建築技術協会「地震にも津波にも強いブロック造の現状と将来」
CB住宅で結露とカビが起きる仕組み
コンクリートブロックは中が空洞になったブロックを積み、空洞に鉄筋とモルタルを入れて壁をつくる構造です。コンクリートは木材に比べて熱を伝えやすいため、断熱材がない、または薄い壁では、外の冷たさが室内側の表面まで伝わってきます。壁の室内側の表面温度が、室内の空気の露点より下がると、そこで結露が起きます。
特に結露しやすいのが「熱橋(ねっきょう)」と呼ばれる部分です。熱橋とは、周りより熱が逃げやすく、局所的に冷たくなる部分のことです。CB造では、壁の頂部をつなぐ鉄筋コンクリートの梁(臥梁)や、2階の床スラブが外壁とつながる部分、窓の上のまぐさなどが熱橋になりやすく、天井と壁の境目や部屋の隅に帯状の黒ずみが出るのが典型的なパターンです。
また、古いCB住宅でよく見られるのが、ブロック壁の室内側に木の下地を組み、断熱材をはさんでボードや壁紙で仕上げた「内断熱」のつくりです。この場合、室内の湿気が仕上げ材のすき間から壁の中へ入り込むと、冷たいブロックの表面で結露し、壁の中でカビが広がることがあります。表からは見えないため、壁紙の浮きやしみ、においで初めて気づくことが少なくありません。

さらに、ブロックの目地のひび割れや外壁の塗装の劣化があると、雨水や雪解け水がブロックの中にしみ込むことがあります。壁が水分を含むと熱を伝えやすくなり、冷えやすさが増すうえ、室内側の仕上げ材にも湿気が伝わってカビの原因になります。
2階建てのCB造アパートでは、1階の床下や北側の住戸、最上階の天井まわりなど、建物の中でも位置によって結露のしやすさが変わります。同じ建物でも住戸によって症状の出方が違うのは、外気に接する面の数や日当たり、上下階の暖房の状況が異なるためです。
断熱のしかた | 特徴 | カビ・結露の注意点 |
断熱なし(古い建物) | 壁の室内側がそのまま冷える | 外壁側の壁全体に結露が出やすい |
内断熱 | 室内側に断熱材と仕上げ材 | 壁の中のブロック表面で結露しやすい |
外断熱 | ブロックの外側を断熱材で包む | 熱橋が減る。開口部まわりの納まりに注意 |
内断熱+防湿層 | 断熱材の室内側に防湿シート | 防湿層の破れや、すき間があると効果が落ちる |
札幌の冬の温度差と、壁の表面温度
壁を通って外へ逃げる熱の量は、室内と屋外の温度差に比例して大きくなります。気象庁の札幌の平年値をもとに、室温20℃との差を計算すると、12月から2月は月平均で20℃を超える温度差になります。この時期は、断熱の弱い壁や熱橋の部分ほど室内側の表面が冷え、結露が起きやすい季節です。

図:室温20℃と札幌の月平均気温の差(暖房期)。12月から2月は室内外の温度差が平均で20℃を超えます。壁を通って逃げる熱はこの温度差に比例して大きくなり、断熱の弱い壁ほど室内側の表面が冷えて結露しやすくなります。 出典:気象庁「過去の気象データ」札幌 平年値(1991〜2020年)の月平均気温をもとに、室温20℃との差を計算した値
壁の表面が何℃まで冷えると結露するかは、室内の空気の温度と湿度で決まる露点で判断できます。下の表は、室温18℃の空気の湿度ごとの露点を計算したものです。CB住宅では、暖房していない部屋や廊下が18℃前後になることも多いため、この温度を例にしました。
室温18℃のときの湿度 | 露点(計算値) | 結露しやすさの目安 |
40% | 約4.2℃ | 熱橋部分が強く冷えると結露する |
50% | 約7.4℃ | 臥梁・部屋の隅で結露しやすい |
60% | 約10.1℃ | 外壁側の壁の広い範囲で注意 |
70% | 約12.4℃ | 壁・窓まわりで結露が目立つ |
出典:気象庁「過去の気象データ」札幌 平年値(1991〜2020年)。温度差と露点は計算値(露点はMagnus式による近似)
表からわかるように、室内の湿度が高くなるほど露点が上がり、それほど冷えていない壁でも結露が起きるようになります。CB住宅では、壁の冷えやすさそのものをすぐに変えることは難しいため、まずは室内の湿度を上げすぎないこと、冷えやすい部分に湿った空気をためないことが現実的な対策になります。
部位別のチェックポイント
CB住宅のカビは、出やすい場所がある程度決まっています。冬の間、特に1月から2月の寒い時期に、次の表の場所を中心に確認してみましょう。家具の裏や押入れの奥など、普段見えない場所ほど結露が長く続きやすい点に注意が必要です。
場所 | 見るポイント | よくある原因 |
天井と外壁の境目 | 帯状の黒ずみ、壁紙のしみ | 臥梁・床スラブの熱橋 |
部屋の外壁側の隅 | 黒い点、壁紙の浮き | 2面が外気に接して冷えやすい |
押入れ・クローゼットの奥 | 壁のぬれ、布団や衣類のカビ | 空気が動かず冷えた壁に湿気が集中 |
窓の上下とカーテンの裏 | 窓枠まわりの黒ずみ、カーテンのカビ | まぐさ・窓台の冷え、窓の結露水 |
家具の裏の外壁 | 壁と家具の背面のカビ | 家具で暖気が届かず壁が冷える |
壁紙の表面にカビが出ている場合は、壁の中まで湿っている可能性も考えておきましょう。壁紙を押すとふかふかする、はがれかけた部分の裏が黒い、においが強いといった場合は、壁の中の結露が疑われます。
点検のときは、同じ場所を毎年同じ時期に写真で記録しておくと、カビの範囲が広がっているのか、住まい方の工夫で減ってきているのかを比べられます。温湿度計を外壁側の部屋と内側の部屋に1台ずつ置き、室温と湿度の違いを見ておくのもおすすめです。冷えやすい部屋がわかれば、暖房や家具の配置を見直す手がかりになります。
今日からできる住まい方の工夫
CB住宅での結露対策の基本は、湿気を出しすぎないこと、湿気をためないこと、冷えやすい場所をつくらないことの3つです。洗濯物の室内干しや加湿器の使い方を見直し、窓の結露や壁のぬれ具合を見ながら室内の湿度を調整しましょう。台所や浴室の換気扇は、使った後もしばらく回しておくと湿気が残りにくくなります。
家具は外壁から5〜10cmほど離して置き、壁の前に空気の通り道をつくる
押入れやクローゼットの戸はときどき開け、中にすのこを敷いて壁との間をあける
使っていない部屋も暖房をすべて切ってしまわず、極端に冷えた部屋をつくらない
結露した窓や壁は朝のうちに拭き取り、ぬれたままにしない
外壁のひび割れや塗装のはがれに気づいたら、早めに補修を相談する
賃貸のCB造アパートにお住まいの場合は、カビや結露に気づいた時点で写真を撮り、管理会社や大家さんに相談しましょう。熱橋による結露は住まい方だけでは防ぎきれないことがあり、建物側の対策が必要になる場合もあります。
暖房と換気の見直しで変わるCB住宅の冬
CB住宅の結露対策では、暖房器具の置き方と換気のしかたも大きな役割を果たします。窓の下に暖房器具がある場合、窓や外壁から下りてくる冷たい空気を暖め、壁や窓の表面温度を上げる効果が期待できます。反対に、部屋の内側にだけ暖房があり、外壁側に家具が並んでいると、外壁の表面は冷えたままになりがちです。
築年数の古いCB住宅では、今の住宅のような24時間換気の設備がなく、台所や浴室の換気扇だけで換気している家も少なくありません。すき間風が減るように窓やドアを改修した後は、以前より湿気がこもりやすくなることがあります。給気口がある場合は冬でも閉じきらず、換気扇を回す時間を少し長めにするなど、湿気の逃げ道を意識しましょう。
石油ストーブやガスストーブなど、室内で燃焼して排気を室内に出すタイプの暖房器具は、燃焼にともなって水蒸気が発生します。こうした器具を使う場合は、器具の取扱説明書に従って定期的な換気を行うことが大切です。暖房方式によって湿気の出方が違うことも、住まい方を考えるうえでの手がかりになります。
また、寒い部屋を閉め切って物置のように使うと、その部屋の外壁が極端に冷え、暖かい部屋から流れ込んだ湿気が結露しやすくなります。使っていない部屋も扉を少し開けておく、低めの温度で暖房を入れておくなど、家の中に極端に冷えた場所をつくらない工夫が効果的です。
カビの除去と、断熱改修の考え方
壁紙の表面に出た小さなカビであれば、市販のカビ取り剤で対処できることもありますが、製品の表示に従い、換気と保護具を確保して使ってください。塩素系と酸性の製品を混ぜたり続けて使ったりすると有毒なガスが発生するおそれがあります。壁紙は薬剤で変色することがあるため、目立たない場所で試してから使うと安心です。
同じ場所に毎年カビが出る、壁の中まで湿っている疑いがある場合は、専門の調査をおすすめします。当社では、壁の含水率測定で湿りの範囲を確かめ、必要に応じてファイバースコープで壁の中の状態を確認したうえで、除去の範囲と方法をご提案しています。MIST工法®は、素材を削ったり強くこすったりせず、素材に合わせて調整した専用剤でカビを分解・除去し、仕上げに除菌を行う方法で、ブロックやモルタル、木の下地など素材の違いに合わせて対応します。
根本的な改善を考える場合は、外壁の外側から断熱材で包む外断熱改修や、内断熱のやり直しと防湿層の施工、窓の断熱改修などの選択肢があります。外断熱は熱橋を減らしやすい一方で、窓まわりや基礎との取り合いの納まりが重要になります。どの方法が合うかは建物の状態によって違うため、CB造の改修に詳しい設計者や工務店と相談して進めましょう。
よくある質問
Q. CB住宅は木造住宅よりカビが生えやすいのですか?
A. 構造だけで決まるものではなく、断熱のしかたや住まい方によって大きく変わります。ただし、断熱の弱いCB住宅では壁や熱橋の部分が冷えやすく、結露とカビが出やすい傾向があります。
Q. 天井と壁の境目に黒い線のようなカビが出ます。なぜですか?
A. 臥梁や床スラブなど、コンクリートが外気側まで続いている熱橋の部分が冷えて結露している可能性があります。家具の配置や暖房のあたり方を見直すとともに、繰り返す場合は調査をおすすめします。
Q. カビのにおいで体調が気になります。
A. 住まいのカビへの対策を進めるとともに、咳や鼻水など気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。
Q. 外断熱に改修すればカビの心配はなくなりますか?
A. 外断熱は壁や熱橋の冷えを和らげる有効な方法ですが、室内の湿度が高すぎたり換気が不足したりすると、窓まわりなどで結露が起きることがあります。改修後も換気と湿度の管理は続けましょう。
まとめ
コンクリートブロック造の住宅は、寒さと火災への備えとして北海道で広く建てられてきた構造です。一方で、コンクリートが熱を伝えやすいことから、断熱の弱い壁や臥梁・窓まわりの熱橋で結露が起き、カビにつながりやすい面があります。
札幌の冬は室内外の温度差が大きく、冷えやすい部分をつくらない住まい方と、湿度の上げすぎを防ぐ工夫が大切です。毎年同じ場所にカビが出る場合は、壁の中の状態を確かめたうえで、除去と断熱・防湿の改善をあわせて検討しましょう。
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