top of page

旭川のカビ・結露対策|盆地の冷え込みと温度差で窓・玄関・北側壁にカビが出る理由

10月21日
読了時間: 26分

更新日:1 日前

こんにちは、カビバスターズ北海道です。「旭川に住んでから、冬の朝は窓の下枠に水がたまり、玄関ドアの内側まで濡れている」「北側の部屋の壁の角に、毎年同じように黒い点が出てくる」といったご相談を、当社では秋の終わりから春先にかけて旭川市内をはじめ上川地方の各地から毎年のようにいただきます。旭川は周囲を山に囲まれた内陸の盆地で、冬の夜は放射冷却によって厳しく冷え込みます。一方、室内は長い暖房期間のあいだ暖かく保たれるため、家の内と外の温度差が非常に大きくなりやすい土地です。この温度差こそが、窓や玄関ドア、北側外壁の室内側に結露を生み、家具の裏や玄関収納、断熱の弱い部分にカビを呼び込む大きな要因になります。本記事では、気象庁の平年値で旭川の冬の気候を確かめたうえで、放射冷却と室内外の温度差が結露を生む仕組み、暖房を強く長く使う旭川の冬の暮らしと換気不足の関係、カビが出やすい具体的な場所、熱橋と呼ばれる断熱の弱点、そしてご家庭でできる対策と専門の調査の進め方までを、カビ対策の現場の目線で順を追って解説します。窓の拭き取り方法そのものではなく、「なぜ旭川の家では毎冬同じ場所が濡れるのか」に焦点を当ててお話しします。

この記事の結論 旭川の冬はなぜ窓や玄関ドア、北側の壁が結露してカビが出るのか。気象庁の平年値で内陸盆地の放射冷却と室内外の温度差を確かめ、暖房と換気不足、熱橋のカビ、ご家庭でできる対策と専門調査の進め方まで解説します。

第1章|旭川の冬はなぜこれほど冷え込むのか|内陸盆地と放射冷却

旭川の冬の寒さを語るとき、まず押さえておきたいのが地形です。旭川市は上川盆地のほぼ中央に位置し、東に大雪山連峰、周囲をなだらかな山々に囲まれた内陸の土地です。海から離れているため、海水の温度に守られる沿岸部の函館や釧路とは異なり、気温が一日のなかで大きく上下しやすい「内陸性の気候」になります。内陸性の気候とは、簡単にいえば「夏は暑く、冬は寒く、朝晩の差も大きい」気候のことです。

そのうえで旭川の冬の朝を特に冷やすのが放射冷却です。放射冷却とは、晴れて風の弱い夜に、地面や建物の熱が宇宙へ逃げていき、地表付近の空気がどんどん冷やされる現象のことです。盆地では冷えて重くなった空気が底にたまりやすく、周囲の山に囲まれて逃げ場がないため、明け方にかけて一段と冷え込みます。旭川は観測史上の記録でも寒さで知られ、気象庁の記録では1902年1月25日に日最低気温-41.0℃が観測されています。

日々の平年的な寒さも数字で確かめておきましょう。気象庁の旭川の平年値(1991〜2020年)では、日最低気温の平年値は1月が-11.7℃、2月が-11.8℃、12月が-8.0℃です。つまり真冬の旭川では、平年並みの朝でも外気が-10℃を下回るのが当たり前ということになります。日最高気温の平年値も1月は-3.3℃、2月は-1.7℃と、日中ですら氷点下の日が続きます。

また、冬の旭川は春に向かっても冷え込みがなかなか緩みません。気象庁の平年値では3月の日最低気温も-6.1℃で、4月になってようやく0.2℃と氷点を上回ります。12月から3月までの4か月ほど、朝の外気が氷点下を大きく下回る状態が続くことになり、住まいにとっては「冷えた面ができやすい期間」がそれだけ長いということです。

もう一つ見落とせないのが湿度です。冬は空気が乾燥しているというイメージをお持ちの方も多いと思いますが、気象庁の平年値では旭川の平均湿度は12月が83%、1月が82%と、年平均の76%を上回っています。これは相対湿度といって、その温度の空気が含むことのできる水蒸気の量に対して、実際にどれだけ含んでいるかを示した割合です。気温がとても低いため、水蒸気の絶対量は少なくても相対湿度は高く出ます。外気そのものは乾いているのに、数字の上では湿って見える、というのが旭川の冬の空気の特徴です。

月(旭川)

日最低気温の平年値

日最高気温の平年値

平均湿度の平年値

11月

-1.5℃

6.2℃

80%

12月

-8.0℃

-0.8℃

83%

1月

-11.7℃

-3.3℃

82%

2月

-11.8℃

-1.7℃

78%

3月

-6.1℃

3.0℃

73%

年間

2.4℃

12.2℃

76%

(出典:気象庁「旭川 平年値(年・月ごとの値)」1991〜2020年)

雪の多さも旭川の冬を特徴づけています。気象庁の平年値では、旭川の降雪の深さの年間合計は557cm、最深積雪の年間の平年値は89cmです。12月の降雪の深さは158cm、1月は125cmと、冬の前半にまとまった雪が降ります。雪が積もると窓の外や換気口の周りがふさがれやすくなり、後の章で触れる換気不足にもつながっていきます。

日差しの少なさも、住まいの乾きにくさに関わります。気象庁の平年値では、旭川の日照時間は12月が58.1時間、1月が75.3時間と、年間の1566.5時間に比べて冬は大きく落ち込みます。日照が少ないと、日中に外壁や窓まわりが日射で温められる時間が短くなり、夜のうちに冷えた北側の壁や窓枠が、翌日になっても十分に乾かないまま次の夜を迎えることになります。放射冷却で冷え込む晴れた夜と、雪雲に覆われて日が差さない日中。この組み合わせが、旭川の冬の家の「冷えた面」を長く冷えたままにしてしまうのです。住まいの中で冷えた面が長く続くほど、そこに水分がとどまり、カビにとって好都合な時間も長くなります。

こうした数字を並べると、旭川の住まいが置かれている条件がはっきりします。外は-10℃前後まで冷え込み、室内は暖房で20℃前後に保たれる。その差はおよそ30℃にもなります。当社の現場でも、旭川やその周辺の東川町・鷹栖町などのお住まいでは、同じ北海道の中でも「窓や玄関の濡れ方が激しい」と感じることが少なくありません(これは当社の現場での傾向であり統計ではありません)。次の章では、この大きな温度差がどのようにして家の中の結露を生むのか、その仕組みを整理していきます。

第2章|室内外の温度差が結露を生む仕組み|露点と「冷えた面」

結露は、空気中の水蒸気が冷たい面に触れて水滴に変わる現象です。暖かい空気ほど多くの水蒸気を含むことができ、冷やされると含みきれなくなった分が水になって出てきます。このとき水滴が出始める温度を露点温度と呼びます。露点温度とは、言い換えれば「その空気が何℃まで冷やされたら水滴が出るか」という境目の温度のことです。

たとえば室温20℃・相対湿度50%の空気の露点温度は、おおよそ9℃前後です。つまり、室内のどこかに9℃を下回る面があれば、そこに触れた空気から水滴が生まれます。湿度が60%なら露点はおよそ12℃、70%ならおよそ14℃まで上がり、少しの冷たさで結露するようになります。数字の細部よりも「湿度が高いほど、ぬるい面でも結露する」という関係を覚えておくと、住まいの見方が変わります。下の表の露点温度は一般的な空気線図から読み取ったおおよその目安で、実際の結露は面の材質や空気の流れ、暖房の位置などによっても変わります。ご家庭の温湿度計の数字と照らし合わせながら、「今の湿度なら何℃以下の面が危ないのか」を考える材料としてお使いください。

室内の空気(室温20℃の場合)

露点温度の目安

結露しやすさのイメージ

相対湿度40%

約6℃

窓ガラスや金属部など、特に冷えた面で結露

相対湿度50%

約9℃

窓枠・玄関ドアの内側などで結露が出始める

相対湿度60%

約12℃

北側外壁の隅や家具裏の壁でも結露の可能性

相対湿度70%

約14℃

断熱の弱い部分全般で結露しやすく、カビの危険が高い

ここで旭川の冬の条件を重ねてみましょう。前章のとおり、真冬の外気は平年並みでも-10℃前後まで下がります。室内が20℃前後に暖められていると、窓ガラスや玄関ドア、北側の外壁といった「外とつながっている面」は、外気に引っ張られて室温よりずっと低い温度になります。特に放射冷却で冷え込んだ明け方は、これらの面の温度が一日のうちで最も下がる時間帯です。朝起きたら窓の下が濡れていた、という経験は、この時間帯に面の温度が露点を下回った結果です。

身近な例でいえば、冬の朝に冷蔵庫から出した缶飲料の表面がすぐに曇るのと同じことが、住まいの窓や壁で起きていると考えるとわかりやすいでしょう。缶の表面が室内の空気の露点より冷たいため、周りの水蒸気が水滴に変わるのです。旭川の冬の窓や玄関ドアは、この冷えた缶と同じ状態に一晩じゅう置かれていることになります。

北海道の住まいに共通する事情として、暖房期間の長さも挙げられます。北海道では概ね10月から4月ごろまで、半年以上にわたって暖房を使うご家庭が多く、旭川もその例に漏れません。暖房期間が長いということは、室内外の温度差が大きい状態が長く続くということであり、結露が起きやすい期間もそれだけ長くなります。本州の住まいであれば数日で乾く程度の結露でも、旭川では毎朝のように繰り返されるため、乾く暇がありません。

さらに、豪雪期には窓を開けにくくなります。12月から2月にかけては、窓の外に雪が積もったり、サッシが凍り付いたりして、窓を開けて空気を入れ替えること自体が難しくなるご家庭も少なくありません。外気が-10℃を下回る朝に窓を開けるのは、暮らしの感覚としても抵抗があるものです。その結果、室内で生まれた水蒸気が外に出ていかず、室内の湿度が上がり、露点温度が上がる、という流れができてしまいます。

もう一つ大切なのが、室内の温度のむらです。暖房の効いたリビングは20℃を超えていても、廊下や玄関、北側の個室、押入れや収納の中は、それより数℃から十数℃低いことがよくあります。暖かいリビングで水蒸気をたっぷり含んだ空気が、ドアのすき間などから冷えた部屋や収納に流れ込むと、そこで一気に冷やされて結露が起きます。旭川の住まいで「暖房の効いていない場所ほどカビる」という現象がよく見られるのは、この空気の移動と温度差が重なるためです。

当社の現場では、結露を「窓の問題」とだけ捉えていると、原因を見誤ることがあると感じています(当社の現場での傾向であり統計ではありません)。結露は、冷えた面の温度と、そこに触れる空気の湿度という二つの条件がそろったときに起きます。旭川の場合、外気の冷え込みによって冷えた面ができやすいことは避けられません。だからこそ、室内の湿度をどう管理するか、冷えた面にどう空気を当てるかが、対策の中心になります。次の章では、旭川の冬の暮らし方そのものが湿度と換気にどう影響しているかを見ていきます。

第3章|暖房を強く長く使う旭川の冬の暮らしと換気不足

旭川の冬の住まいでは、暖房を「強く、長く」使うのがごく普通の暮らし方です。外が-10℃を下回る日が続けば、朝から晩まで、あるいは夜通し暖房を切らずに過ごすご家庭も多いでしょう。暖房そのものは健康で快適な暮らしに欠かせないものですが、カビの視点で見ると、暖房の使い方と換気の関係には気を付けたい点がいくつもあります。

まず、暖房で室温を上げると、空気が含むことのできる水蒸気の量が増えます。室内で料理や入浴、洗濯物の室内干し、人の呼吸などによって水蒸気が生まれても、室温が高いうちは相対湿度はそれほど上がりません。ところが、夜間に暖房を弱めたり、暖房の届かない部屋に空気が流れたりすると、同じ水蒸気の量のまま温度だけが下がり、相対湿度が急に上がります。そして冷えた面に触れたところで結露します。暖房を強く使うほど、室内には「暖かくて水蒸気をたくさん抱えた空気」ができやすいと考えておくとよいでしょう。

次に、換気不足です。前章でも触れたとおり、豪雪期の旭川では窓を開けての換気が難しくなります。加えて、寒さを避けるために24時間換気のスイッチを切ってしまったり、給気口を閉じたり、給気口の前に家具を置いてふさいでしまったりするケースを、当社の現場ではよく目にします(当社の現場での傾向であり統計ではありません)。24時間換気とは、窓を開けなくても家全体の空気をゆっくり入れ替え続けるための仕組みのことです。これを止めると、室内の水蒸気の逃げ道がなくなり、湿度が高いまま冬を過ごすことになります。

雪も換気の妨げになります。気象庁の平年値で旭川の最深積雪は89cmに達し、建物の外壁にある給気口や排気口、換気フードが雪に埋もれたり、凍り付いたりすることがあります。屋外側の口がふさがれると、室内側のスイッチが入っていても十分な換気量が得られません。住まいの方が気付かないうちに換気が弱まっていた、ということも珍しくありません。まとまった雪が降った翌日や、屋根からの落雪があったあとには、外壁の給気口や換気フードの周りが雪でふさがれていないかを、除雪のついでに確認する習慣を付けておくと安心です。

旭川の冬によくある暮らし方

室内で起きやすいこと

カビにつながる流れ

暖房を夜通し強めに使う

暖かく水蒸気の多い空気ができる

冷えた面や収納に流れて結露

寒さを理由に24時間換気を止める

水蒸気の逃げ道がなくなる

室内全体の湿度が高止まり

給気口を閉じる・家具でふさぐ

空気の入れ替わりが偏る

空気の動かない壁や家具裏で結露

洗濯物を暖房の近くで室内干し

短時間で大量の水蒸気が出る

夜間の冷え込み時に窓や北側壁で結露

屋外の換気口が雪に埋もれる

換気量が気付かないうちに低下

湿気がこもり、家じゅうの結露が増える

暖房の種類によっても、室内の湿気のたまり方は変わります。燃焼の排気を屋外に出すFF式の暖房と、燃焼ガスを室内に出す開放式のストーブとでは、室内に加わる水蒸気の量が異なります。暖房方式ごとの違いについては別の記事で詳しく扱っていますので、本記事では「どの方式であっても、室内外の温度差が大きい旭川では、換気を止めた途端に結露が増えやすい」という点を押さえておいてください。

来客や家族が集まる年末年始も、室内の水蒸気が増えやすい時期です。鍋料理やおでんなど湯気の多い料理が続き、人の数が増えれば呼吸や汗による水蒸気も増えます。この時期は旭川の冷え込みが本格化するころとも重なるため、にぎやかな日の翌朝ほど窓や玄関の結露が多かった、という声を耳にすることがあります。人が多い日は、換気扇を長めに回すなどの工夫をしておきましょう。

夜間の暖房の使い方にも注意が必要です。旭川の冬は明け方に最も冷え込みますが、この時間帯は多くの方が寝ていて、暖房を弱めていることが多い時間でもあります。外気は最も冷たく、室温は下がり、室内の水蒸気はそのまま。この三つが重なるのが冬の明け方です。寝室の窓や北側の壁、寝具を置いた床まわりに結露やカビが出やすいのは、この時間帯の条件が大きく影響していると考えられます。

こうした暮らし方は、寒さの厳しい土地で快適に過ごすための自然な工夫でもあり、一概に誤りとはいえません。大切なのは、暖房と換気をセットで考えることです。暖房を強く使う季節ほど、換気で水蒸気を外に出す必要があります。北海道の中でも札幌などに比べて冷え込みの厳しい旭川では、この「暖房と換気のバランス」がカビの出方を大きく左右します。次の章では、実際にどのような場所にカビが出やすいのかを具体的に見ていきます。

第4章|旭川の住まいでカビが出やすい場所|窓・玄関ドア・北側外壁・家具裏・玄関収納

室内外の温度差が大きい旭川の住まいでは、カビの出る場所にもはっきりとした傾向があります。共通するのは「外とつながっていて冷えやすい面」と「空気が動かず湿気がこもる場所」が重なるところです。ここでは当社の現場で特にご相談の多い場所を順に見ていきます(当社の現場での傾向であり統計ではありません)。

一つ目は窓まわりです。ガラスそのものよりも、ガラスの周りの樹脂枠やアルミ枠、窓の下の木製の額縁、カーテン、そして窓下の壁紙に注意が必要です。毎朝の結露水が額縁の木口に吸い込まれたり、カーテンの裾が濡れたまま乾かなかったりすると、そこから黒カビが広がります。二重窓の場合は内窓と外窓のあいだにも水がたまりやすく、見えにくい場所で進行することがあります。

二つ目は玄関ドアです。玄関は家の中でも外気に最も近い場所の一つで、ドア本体、ドア枠、ドア下の沓摺り(くつずり)と呼ばれる敷居部分が強く冷やされます。旭川の冬の朝には、玄関ドアの室内側に霜が付いたり、ドア枠のパッキンが凍り付いたりすることもあります。この霜や結露が日中に溶けて、ドア枠の周りの壁紙や床材、下駄箱の側板にしみ込み、カビの原因になります。

三つ目は玄関収納です。下駄箱やシューズクロークは、玄関の冷えた空気の中にあり、しかも扉を閉め切っていることが多い場所です。雪道を歩いて濡れた靴やブーツ、雪の付いたコートや傘をしまうと、収納の中に水分が持ち込まれます。冷えた収納の中では水分が乾きにくく、靴の中敷きや革製品、収納の奥の壁や棚板にカビが出ることがあります。冬の旭川では、除雪用の手袋やスノーブーツなど、濡れたものを玄関に置く機会が多いことも影響していると考えられます。

場所

冷えやすさ・湿気の要因

カビが出やすい部位

窓まわり

ガラスと枠が外気で強く冷える

額縁の木口、カーテンの裾、窓下の壁紙

玄関ドア

外気に接し、霜や結露が付きやすい

ドア枠周りの壁紙、沓摺り周辺、床材

玄関収納

冷えた空間に濡れた靴や衣類を入れる

棚板の裏、奥の壁、靴や革製品

北側外壁の室内側

日が当たらず壁の表面温度が低い

壁と天井・床の取り合い、部屋の隅

家具の裏

外壁に密着し、空気が動かない

家具の背板、裏側の壁紙、巾木

玄関の外側に風除室を設けている住まいでは、その中にも目を向けてください。風除室とは、玄関ドアの外にもう一枚の扉を設けて、冷たい風や雪が直接玄関に吹き込まないようにする小部屋のことです。旭川のように雪の多い地域では心強い設備ですが、暖房が届かないうえに、雪の付いたスコップや灯油缶、長靴などを置く場所になりやすく、ガラスや壁の内側に結露や霜が付いたまま春を迎えることがあります。木製の棚や段ボール箱に黒い点が出ていないか、ときどき確かめてみてください。

四つ目は北側外壁の室内側です。北側の壁は冬のあいだ日が当たらず、前章までに見たように旭川の冬は日照そのものも少ないため、壁の表面温度が低いまま保たれます。特に壁と天井が交わる角、壁と床が交わる隅は、外に面する面積が大きく冷えやすいため、点状の黒カビが出やすい場所です。北側の部屋全体の結露と家具配置の関係については別の記事で扱っていますので、ここでは「外壁の隅」という部位に注目しておきます。

五つ目は家具の裏です。外壁に沿って大きなタンスや本棚、ベッドのヘッドボードを置くと、家具と壁のあいだに空気がほとんど流れなくなります。暖房の暖かい空気が届かないため、その部分の壁は周りよりさらに冷え、露点を下回りやすくなります。家具を動かしたら壁一面が黒くなっていた、背板にまでカビが移っていた、というご相談は、旭川に限らず寒冷地の住まいでよく見られます。

これらの場所に共通するのは、住まいの方がふだん目にしにくいことです。窓の額縁の裏、玄関収納の奥、家具の裏は、大掃除や模様替えのときにしか見ない場所かもしれません。カビは見えないうちに広がることが多いため、冬のあいだにも一度は扉を開けたり、家具を少し動かしたりして確認してみることをおすすめします。次の章では、こうした場所の中でも特に注意したい「断熱の弱い部分」、いわゆる熱橋について解説します。

第5章|熱橋(ヒートブリッジ)とは|断熱の弱い部分に出る「線」や「点」のカビ

旭川の住まいのカビを考えるうえで、ぜひ知っておいていただきたいのが熱橋(ねっきょう)という考え方です。熱橋とは、断熱材が途切れていたり、熱を通しやすい材料が壁の内と外をつないでいたりして、そこだけ熱が逃げやすくなっている部分のことです。英語ではヒートブリッジとも呼ばれ、言い換えれば「断熱の弱点」「寒さの通り道」といえます。

熱橋ができやすいのは、柱や梁、間柱といった構造材の部分、鉄骨造の建物の鉄骨まわり、鉄筋コンクリート造の建物の梁や柱、床スラブと外壁の取り合い、バルコニーの付け根、窓や玄関ドアの枠の周り、配管や換気ダクトが外壁を貫通する部分などです。いずれも、周りの壁よりも室内側の表面温度が低くなりやすい場所です。

熱橋の部分に出るカビには特徴があります。壁紙に柱の位置に沿って縦の「線」状にうっすらと黒ずみが出たり、天井と外壁の取り合いに沿って帯状にカビが出たり、ビス(ねじ)や金物の位置に合わせて「点」状に黒い点が並んだりします。住まいの方からは「汚れの模様が規則的に並んでいる」「拭いても同じ形で戻ってくる」とお聞きすることがあります。これは、壁の内側にある熱橋の形が、表面温度の低さとなって浮かび上がっているためと考えられます。

熱橋ができやすい部分

表面に現れやすいカビの形

確認のポイント

柱・間柱など構造材の位置

壁紙に縦の線状の黒ずみ

一定の間隔で並んでいないか

天井と外壁の取り合い

天井際に沿った帯状のカビ

外壁側の天井の角だけが黒くないか

金物・ビスの位置

小さな黒い点が規則的に並ぶ

点の並びが下地の位置と一致しないか

窓・玄関ドアの枠周り

枠に沿ったL字形・コの字形のカビ

枠と壁紙の境目が濡れていないか

配管・ダクトの貫通部

貫通部を中心とした円形の染み

換気口やエアコン配管の周りを確認

なぜ旭川では熱橋のカビが目立ちやすいのでしょうか。熱橋から逃げる熱の量は、室内と屋外の温度差が大きいほど増えます。第1章で見たように、旭川の真冬は平年値でも日最低気温が-10℃を下回り、室内との温度差はおよそ30℃に達します。温度差が小さい地域では目立たなかった断熱の弱点も、旭川の冬のような条件のもとでは表面温度が露点を下回り、結露やカビとなって現れやすくなると考えられます。

築年数のたった住まいでは、建てた当時の断熱の考え方によって、壁の中に断熱材がすき間なく入っていなかったり、長い年月のうちに断熱材がずれたり沈んだりしていることもあります。また、増改築の際に新旧の壁の継ぎ目や、後から付けた窓やドアの周りに断熱の途切れができることもあります。こうした場所では、室内側の表面だけでなく、壁の内部でも結露が起きている可能性があります。壁の内部で起きる結露は内部結露と呼ばれ、表面からは見えないまま、下地の木材や断熱材を湿らせてしまうことがあります。

戸建て住宅だけでなく、鉄筋コンクリート造の集合住宅でも熱橋のカビは見られます。コンクリートは木材に比べて熱を通しやすく、外壁に面した梁や柱、上下階の床と外壁がつながる部分が冷えやすいためです。旭川市内のマンションやアパートでも、外壁側の天井の角や、梁の下の壁だけが黒ずむというご相談をいただくことがあります。

熱橋のカビで気を付けたいのは、表面を拭き取っても原因が残るという点です。表面のカビを市販のカビ取り剤で落としても、壁の内側の温度条件は変わらないため、翌冬にはまた同じ形で戻ってきます。また、壁紙の裏側や石膏ボードの紙の層にまでカビが入り込んでいる場合、表面を拭くだけでは十分に対処できないこともあります。「毎年同じ模様で出る」「拭いても数週間で戻る」という場合は、熱橋や壁内の湿気を疑ってみる価値があります。

当社では、こうしたケースで表面のカビだけを見るのではなく、含水率測定で壁や下地の湿り具合を確かめたり、必要に応じてファイバースコープで壁の内側の様子を確認したりしています(当社の調査の進め方の一例です)。熱橋そのものは建物の構造に関わるため、断熱改修が必要かどうかは建物の状態により異なりますが、まずは「どこに、どの程度の湿気があるのか」を把握することが対策の出発点になります。

第6章|旭川の冬にできる結露・カビ対策と、専門調査の進め方

ここまで見てきたように、旭川の住まいの結露やカビは、厳しい冷え込みによる冷えた面と、暖房で暖められた湿った空気、そして換気不足が重なって起きます。外の冷え込みを変えることはできませんが、室内の湿度と空気の流れは暮らし方で調整できます。まずはご家庭でできることから整理してみましょう。

一つ目は、室内の温湿度を「数字で見る」ことです。リビングだけでなく、北側の部屋や寝室、玄関にも温湿度計を置き、朝と夜の値を見比べてみてください。第2章の露点の目安と照らし合わせれば、「この湿度なら窓や北側の壁が危ない」という判断がしやすくなります。暖房の効いた部屋の湿度だけを見て安心せず、冷えやすい場所の値を確認することが大切です。

二つ目は、24時間換気を止めないことです。寒さが気になる場合でも、給気口を完全に閉じたりスイッチを切ったりせず、運転を続けることをおすすめします。給気口の前に家具を置かない、フィルターの汚れを定期的に掃除する、雪の後に屋外の換気口を確認する、といった点検も効果的です。換気が十分に働いているかどうか不安な場合は、風量を数値で確認する方法もあります。

三つ目は、冷えた面に空気を当てることです。家具は外壁から少し離して置き、壁とのあいだに空気の通り道をつくります。カーテンは窓に密着させすぎず、日中は開けて窓まわりの空気を動かします。玄関収納や押入れは、ときどき扉を開けて空気を入れ替えましょう。濡れた靴やブーツ、手袋はすぐに収納にしまわず、暖かい場所で乾かしてからしまうのが理想です。

対策

ご家庭でできること

専門家に相談したいサイン

湿度の把握

部屋ごとに温湿度計を置き朝夕に確認

暖房中も湿度が高いまま下がらない

換気の維持

24時間換気を止めず、給気口と屋外の口を点検

換気しているのに結露が減らない

冷えた面への通風

家具を壁から離し、収納の扉をときどき開ける

家具裏や収納の奥に広くカビが出た

結露水の処理

朝のうちに窓枠や玄関ドア周りの水分を拭き取る

額縁や床材が変色・変形している

熱橋のカビ

表面を確認し、再発の形や時期を記録する

毎年同じ模様で再発する、臭いがする

四つ目は、本格的な冬の前に点検しておくことです。旭川では気象庁の平年値で11月の日最低気温が-1.5℃と、11月には朝の氷点下が当たり前になり、12月には一気に冷え込みが進みます。雪が積もる前の秋のうちに、窓の額縁や窓下の壁、玄関ドア枠、北側の部屋の隅、家具の裏に前の冬のカビが残っていないかを確かめ、残っていれば冬が来る前に対処しておくと、暖房期間に入ってからの広がりを抑えやすくなります。

一方で、ご家庭の対策だけでは限界がある場合もあります。カビが広い範囲に出ている、拭いてもすぐに戻る、壁紙の浮きや床のきしみがある、かび臭さが部屋に残る、といった場合は、表面の下で湿気やカビが進んでいる可能性があります。市販のカビ取り剤を強く使いすぎると、壁紙や木部を傷めたり、薬剤の成分が残ったりすることもあるため、無理にこすり続けないようにしてください。また、カビが原因と思われる体調の変化が気になる場合は、自己判断せず医療機関にご相談ください。

当社では、旭川をはじめとする上川地方のお住まいでも、まず状況を「見える化」することから始めています。含水率測定で壁や床、下地の湿り具合を確かめ、必要に応じて付着菌検査や落下菌検査(有料オプション)でカビの種類や室内の状態を確認します。壁の内側が疑われる場合は、壁を大きく壊さずにファイバースコープで内部を確認することもあります。こうした調査の結果をもとに、除去の範囲や方法、再発を防ぐための換気や暮らし方のご提案をまとめていきます(調査の内容は現地状況により異なります)。

除去の段階では、当社独自のMIST工法®により、素材を傷めにくい方法でカビの除去を行います。木部や壁紙など、こすったり削ったりすると傷みやすい素材にも配慮した施工ですが、建物の状態や結露の原因によって対処の方法は変わりますので、まずは調査で原因を確かめたうえでご提案しています。

関連記事:ファイバースコープ調査とは?壁を壊さず壁内・床下のカビを調べる方法

関連記事:北海道で北側の部屋だけ結露する理由|カビと家具配置の対策

まとめ|旭川の結露とカビは「温度差」と「換気」から見直す

本記事では、旭川の住まいで冬になると結露やカビが出やすい理由を、内陸盆地の気候と暮らし方の両面から見てきました。旭川市は上川盆地の中にあり、晴れた夜には放射冷却によって厳しく冷え込みます。気象庁の平年値(1991〜2020年)では1月の日最低気温が-11.7℃、2月が-11.8℃と、真冬の朝は平年並みでも-10℃を下回ります。暖房で20℃前後に保たれた室内との温度差はおよそ30℃に達し、この温度差が窓や玄関ドア、北側外壁の室内側に冷えた面をつくり出します。

そこに加わるのが、暖房を強く長く使う冬の暮らしと換気不足です。北海道では概ね10月から4月ごろまで暖房期間が続き、豪雪期には窓を開けての換気も難しくなります。寒さを避けて24時間換気を止めたり、給気口を閉じたり、屋外の換気口が雪でふさがれたりすると、室内の水蒸気は逃げ場を失います。暖かく湿った空気が冷えた面や暖房の届かない収納に流れ込めば、そこで結露が起き、やがてカビが生えやすい環境ができあがります。

カビが出やすい場所としては、窓の額縁やカーテンの裾、玄関ドア枠の周り、玄関収納や風除室、北側外壁の隅、外壁に沿って置いた家具の裏が挙げられます。さらに、柱や梁、金物、窓枠、配管の貫通部といった熱橋の部分では、線状や点状の規則的な模様のカビが繰り返し出ることがあります。表面を拭いても同じ形で戻ってくる場合は、壁の内側の温度や湿気に原因が残っている可能性があります。

原因

旭川で起きやすい理由

見直したいポイント

冷えた面

放射冷却で外気が-10℃前後まで下がる

家具を壁から離し、冷えた面に空気を当てる

室内の水蒸気

暖房を強く長く使い、室内干しも増える

部屋ごとの湿度を温湿度計で確認する

換気不足

豪雪期に窓を開けにくく、換気口が雪でふさがる

24時間換気を止めず、屋外の口も点検する

断熱の弱点

温度差が大きく熱橋の影響が表に出やすい

再発の形と時期を記録し、調査で原因を確かめる

ご家庭でできる対策の基本は、温湿度を数字で把握すること、24時間換気を止めないこと、冷えた面に空気を当てること、そして本格的な冬の前に点検しておくことです。どれも特別な道具を必要としない方法ですが、旭川のように室内外の温度差が大きい土地では、こうした積み重ねがカビの出方を左右します。

Q. 旭川の冬は外の空気が乾いているのに、なぜ家の中は結露するのですか?

A. 外気は温度がとても低いため、含んでいる水蒸気の量そのものは多くありません。しかし、その空気が室内に入って暖房で暖められ、さらに料理や入浴、室内干し、人の呼吸などで水蒸気が加わると、室内の空気は多くの水蒸気を抱えた状態になります。この空気が、外の冷え込みで冷やされた窓や玄関ドア、北側の壁に触れると、露点温度を下回ったところで結露します。外が乾いていても、室内の水蒸気と冷えた面がそろえば結露は起きるのです。

Q. 毎年同じ場所にカビが出ます。自分で掃除を続けても大丈夫でしょうか?

A. 範囲が小さく表面だけであれば、ご家庭での拭き取りで対処できる場合もあります。ただし、同じ場所に同じ形で繰り返し出る場合は、熱橋や壁内の湿気など、表面の下に原因があることが考えられます。強い薬剤でこすり続けると素材を傷めることもありますので、再発を繰り返す場合や範囲が広い場合は、含水率測定などの調査で原因を確かめることをおすすめします。

旭川の冬の寒さは、この土地の暮らしの一部です。寒さそのものを避けることはできませんが、温度差と換気の関係を理解し、冷えた面と湿った空気が出会う場所に目を配ることで、結露とカビの悩みを減らしていくことは十分に期待できます。今年の冬を迎える前に、窓や玄関、北側の部屋、家具の裏を一度見直してみてください。

カビバスターズ北海道では、含水率測定や付着菌検査、落下菌検査、ファイバースコープ調査などの各種調査から、MIST工法®による素材を傷めにくいカビの除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案までをワンストップで行っています。旭川市をはじめとする上川地方はもちろん、札幌・函館・帯広・釧路・北見をはじめ北海道全域に対応しております。窓や玄関の結露が止まらない、北側の壁や家具の裏にカビが出た、毎年同じ場所にカビが戻ってくるといったお悩みがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。※菌検査は施工前に行う有料オプションです。


あわせて読みたい


カビバスターズ北海道(MPソリューション株式会社)

所在地:〒064-0807 北海道札幌市中央区南7条西1丁目6-2

受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝休み)

対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。

料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。旭川市のご依頼は旭川市のカビ取りもご覧ください。

コメント


bottom of page
電話090-8957-8975 LINE相談写真1枚でOK メール24時間受付