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公共施設のカビ除去を発注するなら|仕様書・見積・報告書で押さえる7項目【札幌の施設担当者向け】

10月14日
読了時間: 26分

更新日:1 日前

こんにちは、カビバスターズ北海道です。2026年度(令和8年度)も後半に入り、札幌市内の学校や区の施設、指定管理者が運営する体育館・会館などのご担当者から「カビ除去を発注したいが、仕様書に何を書けばよいのかわからない」「複数社から見積を取ったものの、内訳の書き方がばらばらで比較できない」といったご相談をいただく機会が増えています。個人のお宅であれば、見積書を見ながら業者と話し合って内容を決めることもできますが、公共施設の場合はそうはいきません。発注の前に作業の範囲や方法、完了の判定基準を文書で定め、その内容に沿って業者を選び、完了後は報告書で説明責任を果たす必要があります。つまり、仕様書の出来がそのまま工事の品質と、あとから問われる透明性を左右するということです。本記事では、札幌の公共施設でカビ除去を発注する担当者の方に向けて、仕様書・見積・報告書で押さえておきたい7つの項目を、当社の現場経験をもとに整理しました。範囲の定義、事前調査、使用薬剤とSDS、養生と利用者動線、施工前の検査と記録、写真報告、再発時の対応という順で解説し、見積比較で見落としやすい「一式計上」の分解方法や、面積・体積の根拠の確認方法にも触れます。

この記事の結論 札幌の学校や区の施設、指定管理施設でカビ除去を発注する担当者向けに、仕様書に書くべき7項目(範囲・事前調査・薬剤とSDS・養生・前後検査・写真報告・再発対応)と、見積比較で一式計上を分解するコツを解説します。

第1章|公共施設のカビ除去は「仕様書」で品質が決まる|個人発注との違い

公共施設のカビ除去と個人住宅のカビ除去は、作業そのものは似ていても、発注の進め方がまったく異なります。個人住宅では、施主が業者の説明を聞きながら「ここもお願いします」「この薬剤は避けてください」と、その場で内容を足したり引いたりできます。一方、公共施設では、発注担当者が事前に作業内容を文書にまとめ、それを前提に見積や入札を行い、契約後はその文書どおりに履行されたかを確認します。この「作業内容をまとめた文書」が仕様書です。仕様書とは、発注者が求める作業の範囲・方法・品質・提出物をまとめた、契約の土台となる書類のことです。

仕様書が曖昧なまま発注すると、何が起きるのでしょうか。当社の現場でよく目にするのが、「カビ除去一式」とだけ書かれた仕様で入札や見積合わせが行われ、業者ごとに想定している範囲がまったく違っていたというケースです。ある業者は目に見える黒カビを拭き取るだけの金額を出し、別の業者は天井裏まで含めた除去と再発対策の金額を出していた、ということが起こります。金額だけで比べれば前者が安く見えますが、実際に求められていた作業を満たしているとは限りません。結果として、施工後にカビが戻り、追加の予算措置や再発注が必要になることもあります。

札幌市の資料によると、市有建築物は約2,300施設、延べ面積は約550万㎡にのぼり、1970〜80年代に建てられたものが多く、築30年以上の割合が高いとされています。また、札幌市の学校施設維持更新基本計画では、市内の学校は300校以上あり、その多くが1970〜80年代の築で老朽化が進んでいると示されています。建物が古くなると、外壁や屋根まわりの劣化、配管からの漏水、断熱性能の不足による結露などが重なり、カビの問題が表面化しやすくなります。施設数が多いぶん、担当者一人ひとりが限られた時間で発注準備を進めなければならないのが実情ではないでしょうか。

比較項目

個人住宅の発注

公共施設の発注

内容の決め方

業者と相談しながら決める

発注前に仕様書で定める

業者の選び方

施主の判断で自由に選ぶ

入札・見積合わせなど所定の手続きによる

金額の比較

総額と説明のわかりやすさ

同一条件での内訳比較が前提

完了の確認

施主が目で見て納得すれば完了

仕様書の判定基準と報告書で確認

説明の相手

家族

利用者・議会・監査など第三者

発注方式についても一般論として触れておきます。公共調達では、広く参加者を募って価格等で落札者を決める一般競争入札、あらかじめ選んだ事業者で競う指名競争入札、特定の事業者と契約する随意契約(少額の場合に複数社から見積を取る見積合わせを含む)などが用いられます。どの方式を採るかは、各自治体の規則や契約金額、緊急性などによって決まるため、具体的な判断は所属自治体の契約担当部署に確認してください。ただ、どの方式であっても共通しているのは、「同じ条件で比べられること」と「完了したことを客観的に示せること」が求められる点です。その両方を支えるのが仕様書です。

もう一つ、公共施設ならではの事情として「担当者の異動」があります。発注した担当者が数年で別の部署へ移り、次の担当者が過去の施工内容を確かめようとしたときに、仕様書と報告書しか手がかりが残っていないということは珍しくありません。どの部屋のどの範囲を、どの方法で処理し、どんな結果だったのかが文書で追える状態にしておくことは、次の修繕計画や再発時の判断材料としても大きな意味を持ちます。仕様書は、その場限りの発注書類ではなく、施設の履歴を残す記録でもあると考えていただくとよいと思います。

また、公共施設のカビ除去では、仕様書の内容がそのまま利用者への説明の根拠にもなります。学校であれば保護者、区民センターや体育館であれば地域の利用団体から「どんな作業をしたのか」「どんな薬剤を使ったのか」と尋ねられることがあります。仕様書と報告書がそろっていれば、担当者が一から調べ直さなくても、落ち着いて説明することができます。

本記事で取り上げる7項目は、①作業範囲の定義、②事前調査、③使用薬剤とSDS、④養生と利用者動線、⑤施工前の検査方法と記録、⑥写真報告と作業報告書、⑦再発時の対応です。いずれも、当社が公共施設や指定管理施設の案件で「最初から仕様書に書いてあれば、発注者も業者も迷わずに済んだ」と感じてきた項目です。次章から順に、書き方の考え方と具体例をご紹介します。

第2章|項目1・2:作業範囲の定義と事前調査|札幌の冬を見越した工期設定

1つ目の項目は、作業範囲の定義です。仕様書で最も多い不備が「〇〇小学校 体育館 カビ除去一式」のように、建物名と部屋名だけで範囲を示してしまうことです。同じ体育館でも、アリーナの壁面だけなのか、ステージ裏や器具庫、更衣室、天井の梁まで含むのかで、作業量は大きく変わります。範囲は「部屋名」ではなく「部位と面積」で書くのが基本です。部位とは、壁・天井・床・建具・設備機器など、建物を構成する部分のことです。図面に着色して範囲を示し、あわせて部位ごとの概算面積を記載しておくと、業者ごとの解釈のずれを小さくできます。

あわせて定めておきたいのが「範囲外の扱い」です。現地で作業を始めてみると、仕様書の範囲の外、たとえば隣の倉庫の壁や天井裏にもカビが広がっていることがあります。そのときに業者が独断で作業を広げるのか、いったん止めて発注者と協議するのかを決めておかないと、契約変更の手続きや予算の面で混乱が生じます。当社では、範囲外で見つかったカビは写真と位置を記録して報告し、発注者の判断を仰ぐ流れを仕様書に明記していただくことをおすすめしています。

書き方

曖昧な例

比較しやすい例

範囲

体育館 カビ除去一式

器具庫の壁面・天井(図面着色部)約〇㎡

部位

カビの見える箇所

壁(石膏ボード)、天井(化粧板)、木製建具

範囲外の扱い

記載なし

範囲外で確認したカビは記録・報告し協議

除外事項

記載なし

設備機器内部・内装材の張替えは別途

2つ目の項目は、事前調査です。カビ除去は、目に見えるカビを取り除くだけでは終わりません。カビが生えた原因、つまり水分の供給源を把握しなければ、除去しても同じ場所に戻ってくる可能性があります。そこで仕様書には、施工前に行う調査の内容を具体的に書いておくことが大切です。代表的なものとして、建材に含まれる水分の割合を測る含水率測定、表面に付いているカビを採取して培養する付着菌検査(菌検査はいずれも有料オプション)、空気中から落ちてくるカビを培地で受け止める落下菌検査などがあります。培地とは、カビや細菌を育てて数や種類を調べるための栄養を含んだ寒天などのことです。

調査を仕様書に含める方法は、大きく二通りあります。一つは、調査と除去を同じ契約に含める方法、もう一つは、調査だけを先に別契約で発注し、その結果をもとに除去の仕様書を作る方法です。範囲や原因がはっきりしない案件では後者のほうが、除去の仕様書を具体的に書けるぶん、見積のばらつきが小さくなる傾向があります。これは当社の現場での傾向であり統計ではありませんが、原因がわからないまま除去だけを発注し、翌シーズンに再発して結局調査からやり直すという流れは、できるだけ避けたいところです。

調査を別契約で発注する場合は、調査の成果物として何を求めるかも決めておきましょう。測定点を示した図面、各測定点の結果、推定される原因、除去が必要と考えられる範囲と部位ごとの概算面積がそろっていれば、それをほぼそのまま除去の仕様書の土台として使えます。反対に、結果の数値だけが並んだ報告では、次の仕様書づくりにつなげにくくなります。

札幌で事前調査を行う際には、季節の影響も考慮する必要があります。北海道では暖房期間が長く、概ね10月から4月にかけて暖房を使います。この時期は室内外の温度差が大きくなり、外壁に面した壁の内側や、断熱が弱い天井まわりで結露が起きやすくなります。反対に夏場に調査すると、結露が起きていないため原因を見落とすこともあります。どの季節に調べたかを報告書に記録しておくことは、結果を正しく読むうえで欠かせません。

工期の設定にも札幌の気候を織り込んでおきましょう。気象庁の平年値では、札幌の初霜は10月25日、初雪は10月28日、根雪の始まりは12月6日です(札幌管区気象台、1991〜2020年の平年値)。日本気象協会の tenki.jp では、雪虫を見かけてから10日〜2週間ほどで平地に初雪が降るという経験則も紹介されています。根雪の時期に入ると、窓を開けにくい豪雪期の換気の制約や、資機材の搬入経路の確保、屋外での作業のしにくさが加わります。中央区や北区の市街地の施設と、南区や手稲区の山側の施設では積雪の状況も異なるため、年度内に完了させたい案件ほど、秋口の早い段階で発注準備を進めることをおすすめします。

第3章|項目3・4:使用薬剤とSDS、養生・利用者動線|利用者がいる施設での配慮

3つ目の項目は、使用薬剤とSDSです。SDSとは安全データシートのことで、薬剤に含まれる成分や危険性、取り扱い上の注意、応急措置などをまとめた書類です。公共施設では、子どもや高齢者、体調に不安のある方など、さまざまな利用者が出入りします。どのような薬剤を使うのかを発注者が把握していないと、施工後に利用者や保護者から問い合わせを受けたときに説明ができません。仕様書には「使用する薬剤の名称と用途を事前に書面で提出し、発注者の承諾を得ること」「各薬剤のSDSを添付すること」と明記しておくのが基本です。

薬剤について仕様書で確認しておきたいのは、名称とSDSだけではありません。使用する濃度や希釈の方法、施工後に人が入室できるまでの時間、換気の方法、施工箇所の素材との相性なども重要です。たとえば、塩素系の薬剤は漂白作用があるため、木材や布、色のついた内装材には向かない場合があります。当社のMIST工法®は、素材の状態に合わせて薬剤を調整し、素材を傷めにくい施工を目指す方法ですが、どの工法であっても、使用する薬剤と施工方法を事前に説明し、発注者の承諾を得る手順を踏むことが大切です。

提出を求める書類

確認するポイント

提出時期の目安

使用薬剤一覧

名称・用途・使用箇所・希釈方法

施工計画書と同時

SDS(安全データシート)

成分・取り扱い上の注意・応急措置

施工計画書と同時

施工計画書

工程・人員・養生方法・換気方法

着手前

再入室の条件

施工後の換気時間・入室可能な時刻

着手前(利用者周知に使用)

4つ目の項目は、養生と利用者動線です。養生とは、作業しない場所や設備を汚したり傷つけたりしないように、シートやテープで覆って保護することです。カビ除去では、除去の際にカビの胞子が舞い上がることがあるため、作業区画を区切り、ほかの部屋へ広がらないようにする養生が重要になります。仕様書には「作業区画の範囲」「養生の方法」「作業中の出入口の位置」「作業後の清掃範囲」を書いておくと、施工中の混乱を減らせます。

利用者動線とは、施設の利用者が移動する経路のことです。学校であれば児童生徒の登下校や授業時間、区民センターや体育館であれば貸館の予約状況、図書館であれば開館時間などを踏まえて、作業時間帯と作業区画を決める必要があります。休館日や長期休業期間に作業を寄せられればよいのですが、それが難しい施設では、作業区画を仮設の間仕切りで区切り、利用者の通路と作業員の通路を分けるといった配慮が求められます。

札幌では冬季の換気にも注意が必要です。窓を開けにくい豪雪期には、施工後の換気を窓開けに頼れないことがあります。また、暖房期間中は室内外の温度差が大きく、換気のために窓を開けると結露が増えることもあります。仕様書には、機械換気の運転や送風機の使用など、窓開けに頼らない換気の方法をあらかじめ記載しておくとよいでしょう。さらに、札幌市の資料では、市立小中学校や区体育館などが基幹避難所に位置づけられています。災害時に避難所として開設される可能性がある施設では、長期間にわたって使用できない状態を作らないよう、工程を小分けにする工夫も検討に値します。

指定管理者が運営する施設では、発注の主体と費用の負担区分も事前に整理しておく必要があります。施設の所有者である自治体が発注するのか、指定管理者が管理業務の範囲で発注するのかは、一般に協定書や仕様書で定められた修繕の区分によって決まります。区分がはっきりしないまま進めると、薬剤の承諾や報告書の提出先があいまいになりがちです。判断に迷う場合は、所管課と指定管理者の間で役割を確認してから、仕様書の作成に進むことをおすすめします。

作業時間帯についても、夜間や早朝に作業する場合の施錠・解錠の方法、警備との連絡、鍵の受け渡しの手順を仕様書や施工計画書で決めておくと安心です。学校では校務員や教頭、指定管理施設では現場の責任者など、当日の立ち会い者を誰にするのかも、事前に確認しておきたい点です。

もう一つ、利用者への周知方法も仕様書で役割分担を決めておきたい事項です。掲示物の作成や保護者向けのお知らせを発注者が行うのか、業者が文案を用意するのかを決めておけば、直前になって慌てることがありません。当社では、作業日時・作業区画・使用薬剤の概要・再入室の目安を1枚にまとめた周知用の資料をお渡しすることもあります。周知の内容は、使用薬剤一覧や施工計画書と整合させておくことが大切です。

第4章|項目5:施工前の検査方法と記録|カビの状態を数値と記録で示す

5つ目の項目は、施工前の検査方法と記録です。公共施設の発注で、完了確認が最も難しいのがこの部分です。目視で黒い汚れがなくなっていれば完了としてよいのか、それとも何らかの検査で効果を確かめるのか。仕様書に定めがなければ、業者は目視で完了と判断し、発注者もそれ以上の確認ができません。後日、利用者から「においが残っている」「また黒くなってきた」という声が上がったときに、施工の結果を客観的に説明できる材料がない、という状況になりかねません。

そこで仕様書には、「施工前に検査を行い、検査方法・場所・結果を報告書に記載すること」と書いておくことをおすすめします。ポイントは「同じ方法・同じ場所」です。検査の方法や場所が記録されていないと、結果をどう読めばよいか後から判断できません。測定点の位置は図面に番号を振って示し、写真とあわせて記録するよう求めておくと、比較の信頼性が高まります。

検査の方法には、目的に応じていくつかの種類があります。表面のカビの状態を調べる付着菌検査、空気中から落ちてくるカビの量を培地で確かめる落下菌検査、一定量の空気を吸引して空気中のカビを調べる浮遊菌検査、建材の水分量を測る含水率測定などです。どの検査を組み合わせるかは、施設の用途や範囲によって変わります。たとえば、壁面の黒カビが主な問題であれば付着菌検査と含水率測定、においや利用者の体調への不安が相談のきっかけであれば、落下菌検査や浮遊菌検査を組み合わせるといった考え方です。

検査の種類

わかること

仕様書での書き方の例

目視・写真

カビの範囲と見た目の変化

施工範囲ごとに作業状況の写真を記録

含水率測定

建材に水分が残っているか

施工前に測定箇所を記録し数値を記載

付着菌検査

表面のカビの有無と傾向

施工前に採取・培養し結果を記載

落下菌検査

室内に落ちてくるカビの量

時間・位置を記録して施工前に実施

浮遊菌検査

空気中のカビの量

必要に応じて実施、測定条件を記録

難しいのは「判定」の書き方です。検査の数値について、公共施設のカビ除去に一律に当てはめられる合否の基準値があるわけではありません。そのため、仕様書で特定の数値を合格ラインとして定めるよりも、「施工前と比較して結果がどう変化したかを報告し、発注者と業者が協議のうえで完了を確認する」という書き方のほうが現実的な場合が多いと当社では考えています。数値だけでなく、目視や写真、含水率の推移などを総合して判断する形です。判定の方法を書いておけば、完了確認の場で「何をもって完了とするのか」がぶれにくくなります。

書庫や公文書の保管庫、図書室などは、除去後の環境管理まで含めて考えたい場所です。国立国会図書館の資料では、書庫の環境として「人が作業できる温度」と「湿度65%以下」が目安とされ、湿度が恒常的に65%を超えるとカビが発生する確率が高まると示されています。あわせて、温湿度を急変させないこと、書架の最下段と床の間を空けること、データロガーで監視することも挙げられています。データロガーとは、温度や湿度を一定間隔で自動記録する小型の計測器のことです。こうした場所では、施工後の一定期間、データロガーで温湿度を記録し、その結果を報告書に添付するよう仕様書に加えておくと、再発防止の手がかりになります。

検査の実施体制についても、仕様書で触れておくとよい点があります。採取した試料をどこで培養・判定するのか、培養の条件や判定までの日数はどの程度か、といった情報を報告書に記載するよう求めておけば、結果の読み取りがしやすくなります。また、施工前の検査結果が出る前に除去作業へ進むのか、結果を待ってから範囲を確定させるのかも、工程に影響するため事前に決めておきたい事項です。

なお、検査の結果は、あくまで検査を行った時点・場所の状態を示すものです。除カビ後の状態が将来にわたって続くと約束できるものではありません。建物の水分の問題が解消されていなければ、時間をおいて再びカビが増える可能性があります。報告書では「いつ・どこで・どの条件で測ったか」を明確にしておくことが、結果を正しく読み取るための前提になります。

第5章|項目6・7:写真報告・作業報告書と再発時の対応|説明責任を果たす書類づくり

6つ目の項目は、写真報告と作業報告書です。公共施設の工事では、完了後に提出される報告書が、発注者が履行を確認し、第三者に説明するための主な根拠になります。カビ除去の場合、作業の多くが天井裏や壁の内側、器具庫の奥など、利用者の目に触れない場所で行われます。だからこそ、どこを、どの順序で、どのように処理したのかを写真で追える状態にしておくことが重要です。仕様書には、撮影すべき場面と報告書の構成を具体的に書いておきましょう。

撮影すべき場面は、少なくとも「施工前」「養生後」「作業中」「施工後」の4段階です。さらに、範囲外で見つかったカビや、原因と考えられる漏水・結露の痕跡なども記録しておくと、次の修繕計画に役立ちます。写真には、撮影日・撮影箇所・図面上の番号がわかるよう、黒板や表示板を写し込むか、写真台帳で対応関係を示すよう求めるとよいでしょう。写真台帳とは、写真と撮影箇所・内容の説明を一覧にまとめた書類のことです。施工前と施工後を同じ画角で撮るよう指定しておくと、変化がひと目でわかります。

報告書の構成

記載内容

発注者側の確認ポイント

作業概要

施設名・作業期間・作業範囲・作業人員

仕様書の範囲と一致しているか

事前調査結果

調査方法・測定点・結果・推定される原因

調査時期と条件が記録されているか

使用薬剤

名称・使用量・使用箇所・SDSの写し

承諾した薬剤と一致しているか

写真台帳

施工前・養生後・作業中・施工後の写真

施工範囲ごとの作業記録が残るか

完了報告(写真・作業記録)

施工前と同条件の検査結果と比較

測定点・方法が施工前と同じか

所見と提言

原因への対策案・今後の管理方法

次年度以降の修繕計画に使えるか

報告書で見落とされがちなのが「所見と提言」の部分です。カビ除去の業者は、作業を通じて建物の水分の問題を最もよく見ている立場にあります。たとえば「北側外壁に面した壁の下部で含水率が高い傾向があり、断熱の不足による結露が疑われる」「天井裏の配管まわりに過去の漏水の痕跡がある」といった所見は、施設の保全計画を考えるうえで貴重な情報です。札幌市の資料によると、市有建築物は2008年度から保全計画に基づく計画的な修繕が一元的に実施されています。カビ除去の報告書で原因に関する所見を残しておけば、こうした修繕計画の検討材料として活用しやすくなるでしょう。

報告書の提出形式もあわせて指定しておきましょう。紙の報告書に加えて、写真の元データや報告書の電子ファイルを納品してもらえば、担当者が替わっても記録をたどりやすくなります。ファイル名の付け方や写真の解像度、施設台帳との対応関係などを指定しておくと、複数年度にわたる記録を同じ形で蓄積していくことができます。

7つ目の項目は、再発時の対応です。カビ除去では、施工後に同じ場所でカビが再び見つかることがあります。原因となる水分の問題が残っている場合や、施工範囲の外から広がった場合など、理由はさまざまです。仕様書で「再発しないこと」を条件にするのは現実的ではありません。建物の構造や使い方によってはカビが戻る可能性を否定できないためです。代わりに、再発が疑われたときの手順を定めておくことをおすすめします。

具体的には、「施工後の一定期間内に施工範囲でカビが確認された場合の連絡方法」「業者による現地確認の実施」「原因の切り分け(施工の不備か、水分の問題か、範囲外からの広がりか)」「対応の協議」といった流れを書いておきます。期間や対応の内容は、業者によって考え方が異なるため、見積依頼の段階で各社に提案を求め、比較の対象にするのも一つの方法です。また、再発時の判断材料として、施工後の点検をあらかじめ仕様に含めておくと、早い段階で変化に気づけます。

札幌の施設では、点検の時期にも工夫の余地があります。夏に施工した場合でも、暖房期間に入り室内外の温度差が大きくなる12月から2月ごろに一度点検を行えば、結露に由来する再発の兆しを確かめやすくなります。市内各区に点在する複数の施設を一人の担当者が受け持っている場合は、点検の日程を事前に決めておくと管理しやすくなるでしょう。

第6章|見積比較で注意したいこと|「一式計上」の分解と面積・体積の根拠

仕様書を整えたら、次は見積の比較です。公共施設の発注では、入札であれ見積合わせであれ、複数社の金額を公平に比べられることが前提になります。ところが、カビ除去の見積は業者によって内訳の書き方が大きく異なり、そのままでは比較が難しいことが少なくありません。特に注意したいのが「一式計上」です。一式計上とは、作業の中身を細かく分けずに「カビ除去作業 一式」のようにまとめて金額を示す書き方のことです。一式計上そのものが悪いわけではありませんが、中身がわからないと、何が含まれ、何が含まれていないのかを判断できません。

そこで、見積依頼の段階で「内訳は次の区分に分けて記載すること」と様式を指定しておくことをおすすめします。区分の例としては、事前調査費、養生費、除去作業費、再発対策費、報告書作成費、諸経費などが考えられます。すべての業者が同じ区分で見積を出せば、ある業者は検査費が含まれていない、別の業者は養生費が極端に少ない、といった違いが一目でわかります。金額の具体的な水準は現地の状況や範囲によって大きく異なるため、区分ごとに内容を確かめることが大切です。

見積の区分

確認したい根拠

よくある見落とし

事前調査費

検査の種類・測定点の数

調査が含まれず除去のみの金額

養生費

養生する面積・区画の数

利用者動線の仮設間仕切りが別途

除去作業費

部位ごとの施工面積(㎡)

天井・梁など高所の作業が別途

再発対策費

処理面積と使用薬剤

処理の有無自体が業者ごとに違う

完了報告費

施工前と同じ検査の実施

施工前の検査が含まれていない

報告書作成費

写真台帳・所見の有無

簡易な写真のみで所見がない

内訳の区分とあわせて確認したいのが、数量の根拠です。カビ除去の見積は、壁や天井の面積(㎡)をもとに算出されることが多く、室内全体の空間を処理する場合は体積(㎥)を基準にすることもあります。面積や体積の数字が業者ごとに違う場合は、どの範囲を測ったのかが違っている可能性があります。図面から拾った数字なのか、現地で実測した数字なのか、開口部を差し引いているのかなど、算出の方法を見積に明記してもらうと比較しやすくなります。仕様書の段階で発注者側が概算面積を示しておけば、数量のぶれそのものを抑えることもできます。

入札や見積合わせの前に、現地説明会や現地調査の機会を設けるかどうかも検討したいところです。カビの状況は図面や写真だけでは伝わりにくく、現地を見ないまま見積を出すと、業者は不確かな部分を安全側に見込んで金額を上乗せするか、逆に範囲を狭く見積もることになりがちです。いずれの場合も、実際の作業との差が生まれやすくなります。現地を確認する機会を公平に設けることは、見積の精度を高めることにもつながります。

比較の観点を価格だけに限らない方法もあります。自治体によっては、価格とあわせて技術的な提案や実績を評価する方式を用いることがあります。こうした方式を採るかどうかは各自治体の規程によりますが、少なくとも見積合わせの段階で、施工計画書の概要や使用薬剤、完了報告の内容、再発時の対応の考え方を各社から提出してもらえば、金額の差がどこから生まれているのかを読み解きやすくなります。仕様書や見積依頼書の内容に不明点があった場合に、業者が質問できる期間と回答の方法を設けておくことも、各社の前提をそろえるうえで効果的です。

札幌市の資料によると、市立学校では令和9年(2027年)夏までに普通教室等でのエアコン使用開始を目標とした冷房設備の整備が、PFI方式で進められています。PFI方式とは、民間の資金や技術を活用して公共施設の整備や維持管理を行う手法のことです。体育館についても令和15年度までの整備が示され、中学校が優先とされています。設備工事で天井や壁を開ける機会には、内部の状態を確かめられることもあります。関係する工事の担当者と情報を共有しておくと、カビへの対応を検討する際の手がかりが増えるかもしれません。

見積の比較表を作るときは、区分ごとの金額に加えて、各社の数量・検査の種類・報告書の内容を横並びで書き出しておくと、決裁の際に選定理由を説明しやすくなります。金額の差が大きい区分ほど、含まれている作業の中身を確かめる価値があります。

まとめ|7項目を仕様書に落とし込めば、見積の比較も完了確認もしやすくなる

公共施設のカビ除去は、発注前に作業内容を文書で定め、同じ条件で業者を比べ、完了後は報告書で説明責任を果たすという流れで進みます。その土台になるのが仕様書です。本記事でご紹介した7項目を、最後に一覧で振り返っておきましょう。

項目

仕様書に書くこと

見積・報告書で確かめること

①作業範囲の定義

部位と面積、図面の着色、範囲外の扱い

数量の根拠と除外事項

②事前調査

調査の種類・測定点・実施時期

原因の推定と季節条件の記録

③使用薬剤とSDS

薬剤の事前提出と承諾、SDSの添付

承諾した薬剤と実際の使用の一致

④養生・利用者動線

作業区画、作業時間帯、換気方法、周知

養生費・仮設費の計上の有無

⑤施工前の検査と記録

同じ方法・同じ場所での前後検査、判定の手順

調査結果と測定条件

⑥写真報告・作業報告書

撮影場面、写真台帳、所見、電子納品

前後の画角と原因に関する所見

⑦再発時の対応

連絡方法、現地確認、原因の切り分け、点検

各社の提案内容の違い

札幌の施設では、これに加えて季節の条件を意識しておくことが大切です。暖房期間が概ね10月から4月と長く、窓を開けにくい豪雪期があり、室内外の温度差が大きくなる時期に結露が起きやすいという北海道ならではの事情は、調査の時期、施工後の換気方法、再発点検のタイミングのいずれにも関わってきます。気象庁の平年値で札幌の初雪は10月28日、根雪の始まりは12月6日です。2026年度内の完了を目指す案件であれば、秋のうちに仕様書の準備に取りかかることをおすすめします。

Q. 予算が限られていて、事前調査まで含めるのは難しいのですが、どうすればよいですか?

A. すべての検査を盛り込む必要はありません。範囲や用途に応じて、たとえば含水率測定と作業写真の記録を最低限の条件とし、付着菌検査や落下菌検査は必要性の高い部屋に絞るといった組み立て方もあります。大切なのは、何を実施し、何を実施しないのかを仕様書で明確にしておくことです。どの検査を優先すべきか迷われる場合は、仕様書の作成段階からご相談いただければ、施設の状況に合わせた考え方をご説明します。

Q. 施工後に利用者から体調に関する相談があった場合は、どう対応すればよいですか?

A. カビと体調の関係は個人差が大きく、施工の結果だけで判断することはできません。体調に不安のある方には、医療機関への相談をおすすめいただくのが基本です。施設側としては、報告書に記載された施工内容や使用薬剤、SDSの写しを手元に用意しておけば、医療機関や保護者から問い合わせがあった場合にも情報を示しやすくなります。

7項目に共通しているのは、「あとから第三者が読んでもわかる形で残す」という考え方です。範囲は図面と面積で、薬剤は一覧とSDSで、検査は測定点と条件で、作業は写真台帳で、それぞれ記録として残します。こうした記録がそろっていれば、担当者が異動しても、利用者や議会、監査から説明を求められても、施工の経緯を筋道立てて示すことができます。反対に、仕様書が「一式」のままで報告書も簡易なものだと、施工の良し悪しを後から確かめる手段がほとんど残りません。発注の手間は少し増えますが、その分だけ施工後の説明や再発時の判断が楽になると考えていただければと思います。

仕様書は、一度作ってしまえば、似た施設や次年度の案件にも応用できます。今回の7項目をひな形として、施設ごとの事情に合わせて書き足していけば、発注の準備にかかる時間も少しずつ短くなっていくはずです。報告書に残した所見は、施設の保全計画を考えるうえでの記録にもなります。

カビバスターズ北海道では、素材を傷めにくいMIST工法®による除去、カビが生えにくい環境づくりのご提案と、含水率測定・付着菌検査・落下菌検査などの各種調査をワンストップでご提供しています。公共施設や指定管理施設の案件では、仕様書の作成段階でのご相談、事前調査のみのご依頼、施工前の検査を含めた報告書の作成にも対応しています。札幌・旭川・函館・帯広・釧路・北見をはじめ北海道全域に対応していますので、発注準備や見積の内容で迷われたときは、お気軽にご相談ください。※菌検査は施工前に行う有料オプションです。


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カビバスターズ北海道(MPソリューション株式会社)

所在地:〒064-0807 北海道札幌市中央区南7条西1丁目6-2

受付時間:平日9:00〜18:00(土日祝休み)

対応エリア:札幌市(中央区・北区・東区・白石区・豊平区・南区・西区・厚別区・手稲区・清田区)をはじめ、石狩・小樽・千歳・苫小牧・旭川・函館など北海道全域。地域ごとの対応は対応エリアをご覧ください。

料金の目安は料金ページ、札幌市内のご依頼は札幌市のカビ取りをご覧ください。

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